(エドウィナ・ワディ)
ジャスリン・フォード制作・監督のこの映画作品は、チベット人たちの生活を紹介する貴重な扉になりました。故郷の村だけではなく、中国の大都市で懸命に生きる彼らの姿も伝えています。フォード氏は、この大叙事詩の主人公であるザンタと偶然に出会います。彼女が断ち切ることのできない因習にとらわれた家族関係 ―― それがこの作品の背景にあります。ここから私たちは、より良い人生のスタート地点に息子を立たせたいという母親の愛情、さらには今も続くチベットの家父長制度を目の当たりにしてゆきます。この作品は、教育の重要性、家族の絆の大切さ、また異文化間での相互理解の必要性などが、さまざまな面で描かれています。そしてまた、人の優しさを描いた物語でもあり、運命を変えてゆこうとする主人公の決意の物語でもあるのです。