マリー＝フランシーヌ・エベール作、ジャニス・ナドー画の絵本NoFish Where to Goが私の友となってから、ほぼ7年になります。私はこの絵本をアニメ映画にしたいと考えました。このプロジェクトをスタートしたのは2010年秋のことでしたが、私たちはすぐに二つの難題にぶつかったのです。一つは、絵本の原作者二人にアニメ映画の監督（ニコラ・ルメイ）を加えた三人が一つのチームとして協力してうまく仕事を進めていくことができるのか？ さらにこのすばらしい絵本の良さを十分に生かした映画化が果たして可能なのか？ もともと、私は物語の「本質」だけを残すということしか考えていませんでした。私が望んでいたのは、絵、静寂の時間、音、何もない空間そしてさまざまな色が、千の言葉にも値し、世界中の子どもも大人も、誰もが容易に理解できるようにしたいということでした。何より大事なのは、見る人が心を動かされるものでなければならないということ、人間の最悪の性質に直面した時でも、最善なるものを信じ続けられるようにすることでした。