IPCEM&イベント (2013年)

第40回 教育コンテンツ世界制作者会議(IPCEM) 2013.10/22-23 NHK放送センター(東京・渋谷)開催リポート

session4 Visualize invisible:科学番組大集合

学校放送番組からバラエティ実験番組まで、科学をテーマにした番組の多様な制作手法を見ながらその教育的効果について考えた。

パネリスト

ダニエル・クラーク ダニエル・クラーク
(イギリス)

Children's BBC (CBBC)  エグゼクティブ・プロデューサー
中山迅 中山迅(日本)
宮崎大学教授
(専門:理科教育・科学教育)
   

モデレーター

森美樹 森美樹
NHK 知財展開センター企画推進部 チーフ・プロデューサー

 このセッションでは今年、あるいは過去「日本賞」に応募された科学番組を中心に国内外の多彩な作品を紹介し意見交換をした。今年の応募作品から見た感想として中山氏は、学校の授業で使えるかどうかという観点でみると、説明中心ではなく、子どもたちに十分な思考の時間を与えることが大事であると述べた。またクラーク氏は、イギリスでは娯楽性を持ちつつ、「純粋な科学」として正しい情報を提供することに重点を置いている、としながら、今回の応募作品の中では、科学に技術の要素を取り入れたアプローチが興味深いと語った。

 また科学番組のトレンドの1つである、非常に大規模な仕掛けや実験を取り上げる番組の例が、日本、アメリカ、イギリスから紹介された。このトレンドの背景には、チャンネル間の競争がますます激しくなる中で、難しい科学の理論を、楽しく分かりやすく見せ、いかに視聴者の関心を引き付けるかということが制作側にとって重要な課題になっていることがあると指摘された。また今年日本で話題となったNHKスペシャル「世界初撮影! 深海の超巨大イカ」について、中山氏は、ダイオウイカを発見したときの苦労や感動を、科学者と視聴者が共有できたところに大きな価値があると述べた。またクラーク氏は、この番組は、世界の先駆者的な役割を担って撮影技術を開発してきたNHKならではの作品であり、時間と費用がかかると思うが、科学番組の理想形であり、世界中でたくさんの視聴者を獲得できると思うと述べた。

 最後に、最近の作品例として、素粒子、ブラックホールといったように大人にとっても理解が難しいテーマを科学者が子どもに紹介する番組や、そもそも「科学とは何なのか」というテーマに向き合う取り組みが紹介された。
 中山氏は、日本の科学番組は、番組を見終わった子どもが真似してできるような実験を紹介してきた、それが日本の教育番組の良いところだと語った。一方、クラーク氏は、規模が大きく子どもができないものを見せるのがBBCのやり方だという。だが、今後は子どもが真似できるような実験も番組で紹介していきたいと、今後の展望を語った。

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