バングラデシュでは公共放送はあるが、教育専用のチャンネルは存在しない。また、経済格差などから教育の機会不均等の問題があり、質の高い教師や教育機関も不足している。そのためバングラデシュ政府は、教育の機会均等を目指して、2014年3月までにメディアを活用した教育を提供すると決めた。だが実際には、インフラが整っていない地方の学校にマルチメディア教育システムを構築するのは難しい。そこでハサン氏は、一般に普及しているテレビやラジオのメディアを活用して、教育番組を提供することが有効的だと語った。将来的には教育テレビの設立を目指していると言う。
一方、ボツワナでは2011年に教育テレビ(BETV)が設立され、1日2時間の試験放送が行なわれている。また、政府が学校へのテレビ設置を援助し、教育番組が授業の一部に取り入れられる。セラベ氏は、まずは海外番組を購入し、教育テレビの内容を充実させ、2015年までには放送設備と人材を増やし、本放送を始めたいと言う。自国で番組制作することは、カリキュラムに即したものを作っていける一方で、ユニバーサルに通用するものを作ることで、国民が世界市民であることを認識する意義もあると語った。
また、インドでは300以上の民間放送局があり、公共放送以外にも子ども向け番組や教育番組が増えている。しかし、民放放送ではスポンサーの意向が反映されるため、純粋な教育番組を作るのは難しいとクリッシュナラオ氏は言う。また、政府がIT技術者の育成に力を入れるなど教育政策が進められるインドでも、理系の教師が不足している。それを補うのはメディアである。クリッシュナラオ氏は、今後はテレビのモバイル化が進むため、小さい画面に対応した教育番組を提供する必要があると語った。
学習において、生徒と教師の直接的コミュニケーションは大切である。だが、国民に教育の権利を平等に提供するためには、テレビを中心としたメディアの活用が最も効果的であると皆の意見は一致した。