IPCEM&イベント (2013年)

第40回 教育コンテンツ世界制作者会議(IPCEM) 2013.10/22-23 NHK放送センター(東京・渋谷)開催リポート

session1 学校の未来〜MOOCsの可能性と課題〜

無料で大学の講義を受けられるMOOCs(大規模オープンオンラインコース)は教育の現場をどう変えていくのか。可能性と課題を議論した。

パネリスト

江川雅子 江川雅子(日本)
東京大学 理事
アンドリュー・ング アンドリュー・ング
(アメリカ)

Coursera(コーセラ)共同設立者・共同最高経営責任者
モハマド・H・カヨーミ モハマド・H・カヨーミ
(アメリカ)

サンノゼ州立大学 学長

モデレーター

田中瑞人 田中瑞人
NHK 制作局青少年・教育番組部 チーフ・プロデューサー

 近年アメリカでは、大学のコースをオンライン上で受講できるMOOCs(Massive Open Online Courses: 大規模公開オンライン授業)が爆発的に広まっている。サンノゼ州立大学ではMOOCsを取り入れた教育改革を積極的に進めている。生徒は大学の講義を受ける前に自宅のパソコンでMOOCsの講義ビデオで予習し、大学では演習や議論などを行う。授業で学校と自宅学習の役割を逆にした「反転授業」と呼ばれる学習方法だ。カヨーミ学長は、この「反転授業」により教室での時間を有効的に使うことができ、学生の成績が向上したという。現在は、学生が苦手とする科学、数学、工学の基本コースにMOOCsを導入し、履修者率を上げることを目指している。

 3大MOOCsと言われるのが、コーセラ(Coursera)、エデックス(edX)、ユダシティー(Udacity)だ。そのうちの1つであるコーセラは、2012年4月に設立され、今や世界中で40か国以上の大学が導入。約450コース、500万人の受講生が参加している。宿題や課題の提出もオンライン上で行なうが、1人の教師が数万人の生徒の課題を評価するのは難しい。そのため、学生同士で課題を評価するといった方法をとっている。また、学生の受講状態を数値化したデータを分析し、効率的な勉強方法の提案を行なう。コーセラ共同制作者のング氏は、「教育は基本的人権であり、万人に平等に提供されなければならない。オンライン教育によってそれを実現できれば世界を変えることができる」と語った。

 2013年の夏、日本の大学として初めてMOOCsを導入したのが東京大学である。4週間の期間限定で配信した理論物理学者の村山斉教授の講座は、3,700人以上が修了した。この数は、東京大学で学ぶ留学生の数よりも多い。江川理事は、MOOCsに参加した理由は、東京大学の教育の質の高さを世界にアピールすることであり、今後は、現役東大生に対する教育の質の向上にもつなげていきたいと話す。

 MOOCsは高校生や社会人を含めた幅広い人々が受講できるためその多様性に対応し、彼らを飽きさせない工夫が必要だが、今後、受講生のデータを活用することで、個人に合わせた学習を提供するなど、サービスの質を改善することで、MOOCsの可能性はどんどん広がっていくだろう。IT技術の発展により生まれたMOOCsは、従来の教育のありかたを大きく変えていく可能性がある。

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