受賞作品 (2013年)

星の子アルフェ
機関名 カナダ国立映画制作庁(NFB)
メディア/時間 映画/82分00秒
国・地域名 カナダ

作品は、まれな遺伝子障害を持つアルフェをめぐるものです。映画製作者の父親は、アルフェの視点から、彼女の周りの世界をきめ細やかに記録していきます。その結果、信じられないほど美しく、感動的な映画が生まれました。何が彼女にとって最善なのか、映画はアルフェの両親が向き合う選択を描いていきながら、配慮の行き届いた教育制度が、いかに特別の子どもだけではなく、その子とかかわり合う、いわゆる「健常児」たちをも変容させることができるかを示してくれます。また驚くほど前向きで喜びにあふれた幼いアルフェの個性が、作品に特別な価値を与えています。しかし、このような特質を映像に捉えるのは決してたやすいことではありません。だからこそ監督は高く評価されるにふさわしいのです。

大変栄誉ある賞を受賞したという知らせをはるか遠くの日本から受け、アルフェとその母、兄のコリンと私はとても驚き、光栄に思っています。なぜ私たちの小さな物語が地球の反対側の人たちの心を動かすことができたのでしょう。こんな壮大な魔法にタネや仕掛けがあるのでしょうか。アルフェ自身が決定的なメッセージなのでしょうか。彼女自身の存在に特別な意味があるのでしょうか。いえいえ、私たちの世界は速すぎ、生産性がありすぎ、すべてが行きすぎなのだとしたら…。ほんの少しの気遣いや休息、人間味が必要だとしたら…。アルフェはまさにそれなのです。この常軌を逸した世界での自由な存在として私たちに問いかけているのです。私は彼女の本質を映画で描きたかったのです。今日、日本から届いたこのすばらしいニュースは、それがある程度成功したということですね。つまり私たちは、ある程度この世界について理解を共有しているということですね。つまり私たちは現在の、時として破壊的な世界の現実を目の当たりにしている兄弟姉妹なのだということですね。私にとって大きなニュースです。この受賞をケベックで「星の子アルフェ」の制作に携わったすべての友人、同僚とともに感謝します。

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