カメルーンでは、娘を早く嫁がせるために、少女の胸に蟻の毒を注入して乳房を膨らませたり、強姦や早期の性交渉を防ごうと、砥石や刃物を使って乳房の発達を遅らせたりする慣習がある。こうした俗事は乳がんを始めとした疾病の原因となり、死に至るケースもあるが、この「拷問」」は、母親となった犠牲者であるはずの女性たちによって繰り返し行われ、医師やNGO団体からの警告にも関わらず連鎖は断ち切れていない。その現状の改善を訴えるドキュメンタリー・ドラマの企画である。

 今まさにアフリカの時がきたと感じています。
 カメルーンの少女たちにとっては朗報です。彼女たちを最も苦しめている慣習の一つ、長く包み隠されてきた因習が白日の下にさらけ出されたのです。
 欧米では乳房を露出しているだけで大騒ぎになるのに、なぜ私たちの社会では乳房を切り裂く行為が公然と行われているのか?この慣習についての社会認識を高め、少女たちの心理的・肉体的トラウマや疾病を告発することが、この企画の狙いです。完成番組がこの因習を断ち切るきっかけとなることを願っています。
 苦痛に直面する少女や女性たちの声なき声にかわり、放送文化基金とNHKの「日本賞」に絶えることのない感謝の念を表したいと思います。皇太子殿下より祝福のお言葉を頂戴できたなんて、なんと名誉なことでしょう!いまだに信じられません。
 将来、この拷問からカメルーンひいては他のアフリカ諸国の少女たちを解放することは不可能ではありまえん。世界中のアフリカ人女性にとって新しい視野が広がることを信じてやみません。少女たちの人生は、結婚や性的快楽だけで意味づけられてはならないのです。

 女性の身体へ向けられる暴力は今も世界に存在します。多くの女性たちが暴行やレイプなど、さまざまな種類の虐待にあい、数えきれない悲劇が起こっています。この企画は、我々がほとんど耳にしたことのない、若い女性の乳房がいかに改造され、その傷に生涯苦しんでいるか、という事実を伝えています。「乳房の告発」は、この問題を広く世に問い、議論に火をつける役割を担うでしょう。この作品が、カメルーンの現状を変える一歩となることを願っています。

TOP