パレスチナから難民として追われた祖父母、シリアに生まれ育った父母、そして行動や思考の自由・他文化との接触を求める女子高生4人を中心に描いたドキュメンタリー。ラップに夢中で学内にバンドを結成したいと思っている2人は、パレスチナ人のアイデンティティーを求める教師に反対されながらも男性ラップグループの収録スタジオを訪れ、クラスで校長にラップを披露し理解してもらうよう努力を続ける。これまでほとんど記録されたことのない教育の近代化に取り組む中東の一国シリアが直面している問題を、子どもの目を通して世界に提示している。

 イギリス公開大学ワールドワイドは、ターゲットとする視聴者との効果的なコミュニケーションの促進を目指して努力を重ねています。若者たちは私たちの未来ですが、彼らは相変わらず、関心を引くのが難しい、目の肥えたグループでもあります。公開大学の放送部長としてこのプロジェクトに関わった私は、微妙で不安定な社会・政治情勢のただ中に生きる若者に焦点をあてた私たちの作品が、このような賞を受けたことを知り、感激いたしました。この番組は、意見を言っても無視されがちな人々に声をあげさせます。青少年部門の最優秀作品に選ばれたことは名誉でもありますが、同時に責任も感じています。教育放送の力と、優れた作品の影響力を再認識させられるからです。

 我々「日本賞」青少年部門の審査委員は、私たちの心を引きつけ、驚かせてくれるような作品に出会えることを待ち望んでいました。そして、勇気があり政治に強い関心を持つ10代のラッパーの女の子2人を取り上げた、このストレートで前向きな作品に出会うことができました。
 これは若い女性が自由を求めて奮闘する物語であり、また現在も続くイスラエルとパレスチナの問題を若いアラブ人の視点で捉えています。あまり例のないことです。
 しかも、この作品はこれまでメディアにほとんど登場したことのないシリアで撮影されたのです。

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