東西冷戦の象徴であるベルリンの壁。1961年から1989年まで28年間にわたりドイツを西と東に分断し、東ドイツ国民の西への流出を防ぐことを目的とし建設された。200万トンのコンクリート、70万トンの鋼が使われ、銃を構えた兵士をはじめ、地雷や番犬などが配備され厳しく警備されていた。しかしこの壁を越え西側へ脱出した人々は5,000人を超えると言われている。番組はその中でも奇想天外な方法で脱出に成功した事例を調査し紹介している。これまで数多く語られてきた「壁」を、卓越したCGIにより超現実的に作り変え再構築した作品。

 2010年の国際交流基金理事長賞をいただいたことは大変名誉なことです。ひとつには私たちの仕事を認めていただいたことであり、またもうひとつには知識や洞察を生き生きと興味深く伝える歴史ドキュメンタリーの形式を今後さらに発展させていくよう励ましをいただいたことであると感じております。この映画では高性能CGIの使用によって、一国の人々を閉じ込めようとするのがいかに愚行かを鮮明に映し出すことができました。
 この映画の実現を可能にしたすべての方々に感謝いたしたいと思います。彼ら全員がこの賞を受けるに値するのは言うまでもありませんが、とりわけ自由のために当時命を懸けた人々に謝意を表明したいと思います。彼らの自由への熱望がドイツ分割の不当性を繰り返し世界の注目にさらすことになりました。ベルリンの壁を打ち崩し、ドイツの内側に存在した境界を取り除くことにおいて彼らの果たした役割は語っても語り尽くせません。私たちは感謝と賞賛をもって彼らの業績を称えたいと思います。この映画は彼らの物語なのです。

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