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 子どもの視点からみた子どものためのニュースショー。対象年齢の4歳から6歳という年代は、子どもが家族だけの環境から、広く大きい世界に目を向け始める時期にあたる。この作品はその移行を、子どもたちに無理なく理解させ受け入れさせるための手助けになることを目指している。
 この日の主なニュースは女の子が新しく買ってもらったメンドリがいなくなってしまったというもの。(アニメのリポーターが早速他の子どもたちにニワトリのことを聞く。現地へ飛び、ヘリコプターでの中継などライブ感あふれるリポートも展開する。そこへ次のニュースが飛び込んでくる。今度は男の子が新しい長靴を買ったというもの。リポーターは彼にもメンドリ探しの情報提供を求める。)みんなが気をもんでいるうちに、ビッグニュースが。お父さんの協力を得て無事にメンドリが見つかったのだ。
 インターネットで集めた子どもたちからの本当の情報発信をもとに、巧みにデザインされたアニメーションと実写とを組み合わせ、子どもにとって身近なニュースショーという形をとることで、子どもの目を引きつけることに成功している。

 メディアは、時にそのガラスに曇りがあったとしても、私たちの世界を見せてくれる窓です。自分の生活をきちんと見たり、よく考えたりしない人は、自分の大切さや立ち位置に疑問をもつものです。その点で、就学前の時期に、地域社会の一員として自分自身を自覚するのは大事なことです。メディアはそういう子どもの学習を視覚的に支援します。2009年グランプリ日本賞受賞者は就学前の子どもの生活のなかに起きる身近な出来事をニュースという形で取り上げています。新しい長靴、おばあさんの家までの旅、いなくなってしまったペットなど、だれもが思い当たるような実際の出来事は、大人に置き換えれば、複雑で世界的な問題となるような事柄なのです。
 「きみのニュースはなーに?」は、幼い子どもがどのように学んでいくかを洗練された技術で理解させながら、子ども時代の本質を大切に取り扱っています。リポーターと司会者によって進行する形式は、質問に答えながら情報を集めるという点で効果的です。そうすることで子どもは自ら発見し、さらに発展させていくことができます。「きみのニュースはなーに?」は、技術革新の点でも代表選手です。アニメーションと実写映像をミックスすることによりコストと制作時間を効率化し、きめ細かく、楽しく、ストーリー性を高める点で、視覚的に豊かな環境を作りだしています。
 5つのカテゴリーのすばらしい受賞作品の中から、日本賞の頂点に立ったのは「きみのニュースはなーに?」です。日本賞の3つのポイントを満たしている点が審査委員に評価されました。そのポイントとは、対象となる視聴者の真のニーズを満たしていること、人が学習する方法について深い理解があること、メディアの可能性を最大限に活用していることの3つです。

 ジョン・バートン、ジョスリン・スティブンソン、そして私は、「きみのニュースはなーに?」のクリエイターです。幼児向けカテゴリーでの受賞、グランプリの受賞は大変光栄で、誇らしく思います。ニュースを送ってくれた子どもたちと制作チームのスタッフに感謝します。TTアニメーションでは、番組を見てくれている子どもたちのために、できる限りの高い技術を駆使し、高い質のコンテンツを制作しようと努力を続けています。
 番組の目標は、子どもたちに情報を発信する機会を与え、彼らの身近な環境である家庭や家族からもっと広い世界へ出て行くのを助けることです。歯が抜けること、髪をカットしてもらうこと、ボールを蹴ること、それらは子どもたちにとって重要なニュースです。多くの子どもたちが同じように経験することだからこそ、ニュースに共感することができます。それぞれの番組は22分間で、大きな速報ニュースと他の特集コーナーで構成されています。子どものエキスパーツとのインタビューやスペシャルリポート、交通情報、お天気情報があります。「きみのニュースはなーに?」は、子どもたち自身の経験や興味に焦点を合わせ、自分たちのニュースが他の人たちのニュースにもなりうるという世界を示しています。子ども時代の、子どもの目線での経験を称賛し、敬意を払おうとする番組です。
 私たちの仕事は、ただ聞くことです。

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