第35回「日本賞」最優秀賞

JAPAN PRIZE 2008 List of Prize

※第1回から多年にわたり「日本賞」の発展に尽力した前田義徳NHK元会長を記念した賞

 8〜14歳の子どもに向けたマガジン・スタイルの科学番組。2005年の9月から3年以上にわたり毎週放送されている。身の回りに潜む科学や技術の仕組みを、番組リポーターのロブ博士が、軽快なフットワークで解き明かしていく。彼の機知とユーモアにあふれた進行が人気の一因でもある。この番組は、オーストラリアの子どもたちに科学技術への関心を持たせようという狙いで始まったが、今では教育者や大人からも反響が来るようになっている。
 今回紹介されたエピソードでは、人体の運動メカニズムに焦点をあて、パラリンピック近代五種の選手がスポーツ義足の機能を紹介するほか、専門家が磁気刺激装置を使って脳波のしくみを解説したり、小学生が運動と記憶の関係を調べる実験を行う。
 私たち審査委員は、シリーズ部門という極めて意義深い部門の最優秀作品に科学番組シリーズの「スコープ」を選びました。内容の斬新さ、科学教育への質の高いアプローチ、そして科学を楽しく面白いものとして仕上げた点を評価したからです。
 この番組を見ることにより、若い視聴者(8〜14歳)は見聞と理解を拡げ、また、科学雑誌を読んだときのように、テレビというメディアの枠を超えた世界に飛び出すことができるように思われました。
 テンポの良い場面展開、工夫された音声とさまざまな音響・映像効果の組み合わせ、科学的な話題への取り組み方、さらに各トピックの様々な要素をひとつひとつ掘り下げてゆく探究方法が、能動的にテレビを見る子どもたちに対して効果的に作用しています。
 奇抜なスタイルで、複雑な科学の世界を、見るのも理解するのも面白いものとして伝えたドクター・ロブの存在も、番組の大きな魅力のひとつでしょう。教育番組は、子どもたちに、批判眼をもちながら自分たちの生き方や将来の夢を選択し、積極的に社会に参加する力を与えることができるのです。
 応募されたエピソードでは、人体の動きを調べ、技術的領域の話を日常体験に置き換えて説明しています。
 小規模ながらも働き者ぞろいの「スコープ」チームにとって、前田賞の受賞は、たいへんな名誉であり、すばらしいご褒美にもなりました。番組を代表して、シリーズ進行役のドクター・ロブ・ベルが賞杯を受け取る機会を得ましたが、まさに、私たちのチームが「小人物」の集まりではないことを証明できたのではないでしょうか。(編集注:ドクター・ロブは、身長2メートルはあろうかという背の高い方です。)
 「スコープ」開発の目的は、楽しく、面白く、時にはおかしなテレビ番組に姿を変えた科学の世界に、毎週子どもたちに浸ってもらうことでした。視聴者の興味と関心を引く話題を提供しながら、身近に存在する科学に関する学習機会を与える。それが、私たちが最も大切にしている点です。最優秀教育シリーズ番組に選んで頂き、私たちが目標に向かって正しい道を進んでいるのだということが確認できました。授賞式に参加したドクター・ロブは、シリーズ番組部門の運営と審査に関わった多くの人たちから、驚くほどの好意的なご意見やお褒めの言葉を頂いたことに、特に感銘を受けておりました。

スティファン・ウォーラー(シリーズ・プロデューサー)

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