第35回「日本賞」最優秀賞

JAPAN PRIZE 2008 List of Prize

 ネパールではほとんどの国民が基準線以下の貧困生活を強いられ、子どもたちの14%がいまだに初等教育を受けていない。子どもたちの11人に1人は、5歳の誕生日を迎える前に、下痢やマラリアや赤痢などで死亡し、下痢だけをとっても、毎年1万3千人の子供たちが命を落としている。ネパールでは下痢は恐ろしい病気と見なされ、人々はその恐怖の中で暮らしている。この国の衛生教育は著しく遅れており、学校でも家庭でも子どもたちが充分な衛生教育を受ける機会は少ない。
 11歳の少女を主人公にしたこのドキュメンタリーは、5歳から12歳の子どもに向けて、単純ではあるがお金のかからない手を洗う行為は、病気にかからないための最も重要な方法である、という強いメッセージを送っている。番組は少女の独白で始まり、農村部の子どもたちへのインタビューや、実際の衛生関連のデータや統計結果を紹介する。子どもたちが、個人衛生の大切さを文字通り「その手」につかめるよう、彼らを促すことがこのドキュメンタリーの目的だ。
 少女が変わることで、家族の意識が変わり、家庭生活が変わってゆく。少女は自分の手を友達に見せながら誇らしげに言う。「ほら見て、わたしの手!」
 私たちは、識字が現代社会の必要不可欠なツールであることを充分に理解していますが、世界には、いまだに読み書きのできない大人や子どもが数多く存在しているのが現実です。
今回応募された企画はすべて、それぞれの国や地域が直面する問題に焦点をあて、それらに対するいっそうの理解を促すものばかりでした。
 「ほら見て、わたしの手」は、ネパールの子どもたちの社会的な営みにおける大きな問題を提示した、きわめて重要な企画でした。
 審査委員たちは、このドキュメンタリー企画のシンプルなストーリー構成に込められた強いメッセージを受け取りました。地域社会が衛生問題への取り組みを始めるよう、積極的に訴えかけるプロデューサーの姿勢に賞賛を送ります。

TOP