第35回「日本賞」最優秀賞

JAPAN PRIZE 2008 List of Prize

  この番組は、イスラエルの占領下のパレスチナにおける生活への重圧を伝える、ヨルダン川西岸にある2つの学校の日常的な苦闘のドキュメンタリーである。アルジャジーラ・テレビとの共同制作で作られた。イギリスに住んでいる教師や若者たちに、世界で最も問題のある地域に住んでいる、同じ立場の教師と生徒たちがどのような状況に置かれているか、を伝える。パレスチナ人と彼らの学校を取材しているので、必然的にパレスチナ人の立場から見た中東の紛争地域の現実を目の当たりにできる。
 イスラエルとパレスチナの対立は、今や世界で最も古い紛争の1つです。これに関するニュースは、日常的に私たちに伝えられますが、現場にいない私たちにとって、この問題への理解はテレビや他のメディアのニュースでしか得ることができません。だからこそ、この紛争の裏側で起こっている現実を知ることは大変重要なことです。次のことを想像してください。「50人の生徒と先生1人のクラスが吹き飛ばされること」「市街地の暴動や悲しみにより精神錯乱に陥っている人たち」「無給で働き続ける教師たち」・・・・ それらは、この番組の一部です。
 他にも素晴らしい作品はありましたが、特にこの作品は、審査委員全員が強く心を動かされました。争いの繰り返されるナブラスで、教えようとする人たち、そして、学ぼうとする子どもたちの辛い毎日をつぶさに見せてくれます。番組の上手い構成や力強いナレーションは、見ているものを強く引きつけます。
 この番組を通して、ナブラスで経験される、教師や両親、生徒たちの、並大抵ではない困難や苦労を、世界中の人々が知り、この紛争を改善することができれば、すべての子どもたちに最大の可能性を達成するチャンスを与えられるようになるでしょう。
 学校を取材するだけで、どのような環境に取り巻かれているのか想像がつくものですが、いわゆる紛争地域の学校では、よりよい未来を築くため、教育は生命線のように重要です。パレスチナでの生活の様子や教育が何を意味するのか、を視聴者につぶさに伝えようと、何か月もパレスチナの学校を取材しました。この番組を見れば、どんなに困難な状態でも、教育は存在することがわかるでしょう。私たちは取材中、学校における見たこともない深刻な問題に遭遇しました。1クラスに詰め込まれて授業を受ける子どもたち、イスラエルの刑務所に出たり入ったりする生徒たち、戦闘に巻き込まれ、殺される生徒たち・・・・。制作は困難を極めましたが、その学校の生徒が毎日味わっている困難とは比べものになりません。このような番組の取材を成功させる鍵は、取材される側からの「信頼」を得ることです。
 フラッシュバックTVは、ディレクターであるトム・エバンスと彼のローカルクルーを温かく迎えてくださったパレスチナの先生や生徒のみなさんに本当に感謝しています。そして、この番組に多大なご協力をくださったティーチャーズ・テレビとアルジャジーラ・英語チャンネルにも、お礼を述べたいと思います。このような番組が世界各国で放送されることを望んでいます。

イングリッド・ファルク
フラッシュバックTV
エグゼクティブ・ディレクター


 2か月間の取材の中で、パレスチナの学校の先生、生徒の方々に会えたことを本当に光栄で名誉に思いました。彼らは非常につらい困難に直面していましたが、教育に対する信念を、決して無くしていませんでした。キング・タラル男子校の教師のリーダーはいつもこう言っていました。「教育は、私たちのエネルギーの源です」。パレスチナ人は、より良い未来を築くために、教育がとても重要だと信じています。その信念と普遍的な回復力、精神、パレスチナ人の気質には触発されました。彼らのホスピタリティや寛大さは世界的に有名です。
 私はこの私を受け入れたくださったすべての人に感謝します。毎日毎日繰り返される困難な状況、それを乗り越えようとするチャレンジを見せてくれて本当にありがとうございました。

トム・エヴァンス
フラッシュバックTV
ディレクター

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