第35回「日本賞」特別賞

JAPAN PRIZE 2008 List of Prize

※国家・民族間の相互理解を促し、または文化の交流に貢献する優れた作品

  巡礼の男たちがたどるチベット仏教の聖地ラサまでの厳しく長い道のりを、7か月間、のべ2,100キロに渡って追いかけたドキュメンタリー。
 10月の終わり、四川省のチベット族の村から5人の男が巡礼の旅に出る。3人は五体投地を繰り返しながら、年配の2人は食糧や旅の装備を積んだワゴンを引きながら、遠いラサを目指す。トラックが行き交う舗装道路、険しい崖、さらには凍てつく氷河の上でも、男たちは大地に身を投げ出す。何足も靴を履きつぶし、体中にアザやまめを作る。しかし、彼らに苦悶の表情はなく、旅に出た理由を穏やかに語るのだった。
 シルクロードよりも古い歴史を持つという茶馬古道の美しい風景と少数民族の文化遺産を背景に、ひたむきに祈りを捧げながら歩く男たち。その姿を通し、幸せとは何かを問い、自分を見つめ直すことの意味を訴えかける。
 テレビは世界への窓です。そして時には魂への窓にもなります。国際交流基金理事長賞受賞番組はこの窓を開き、厳しい修行に身を投じる人間の姿を、雄大な自然を背景に、力強く描き出しました。5人の男がチベット仏教の聖地まで2100キロの巡礼の旅に出かけます。数歩ごとに五体投地し、祈りを捧げる彼ら。巡礼者たちは、自己犠牲を通して希望の光を見出そうとし、生きることの意味、そして意味のある生きざまについて思いを巡らせます。彼らの理解が深まるにつれ、視聴者である私たち自身も変わってゆきます。番組は、雄大な映像と詳細な描写、普遍性とエキゾティズムのバランスをとりながら、題材にふさわしいテンポで穏やかに展開します。テレビの力を生かして、文化を超えた共感を生み出した傑作です。

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