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1916年、第一次大戦下のドイツとフランスは、フランスの防衛拠点ベルダンで壮絶な攻防戦を繰り広げていた。戦車や催涙ガスなど当時最先端の近代技術を動員したこの戦いは、独仏両軍にけた違いの犠牲を生む。
この番組は、大規模で堅牢なボー堡塁(ほうるい)とその周辺で対峙する独仏両軍の6人の兵士と軍医の視線で、戦争のもつ限りなく非人間的な側面を描き出す。
ドイツ軍に包囲された堡塁の中で部下たちが飢えと乾きに苦しみながら極限状態に追いやられるのを見かね、精一杯の抵抗の末、ドイツ軍に降伏するフランスの司令官レナル。目前で朋友や部下を次々に失い、上層部の指令に疑問を募らせていくフランス軍中隊長デルベ(高校の歴史教師)。何のために誰と戦っているのか納得できないまま前線に送られ、地獄を見るドイツ軍の隊長ロズナー(弁護士)。愛する妻子を最後まで想い続けながら敵の銃弾に倒れるフランス軍兵士カテックス(公務員志望)。自らの病も顧みず不眠不休で負傷兵の治療を続けるユダヤ系ドイツ人軍医ストラウス。この戦いで部下の7割を失いながらバイエルンの最高勲章を手に生還するドイツ軍司令官フォン・アンドレアン。
いずれも、実在した、職位も立場も異なる6人の男たち――この番組は、彼らが残した手紙や日記にもとづいて再現した戦場シーンのドラマ、当時の資料映像、そして、変化する国境線を表わす CG の地図で構成されている。結果として無益な大量殺戮と消耗戦以外の何ものでもなかった「ベルダンの戦い」を今に伝える記録であると同時に、この戦いの中で命を落とし、あるいは心身に深い傷を負いながらその後の人生を送る6人の「個人の物語」でもある。 |
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