第33回「日本賞」参加者のことば
 
トニー・メイベン
ディレクター、国立教育メディアセンター
パプア・ニューギニア
 まず初めにもう一度お礼を言いたいと思います。日本賞への参加は、パプア・ニューギニアからの参加者にとって、本当に素晴らしい体験でした。番組の視聴、エクスカーションなど、すべてのイベントがそつなく運営されていました。ディスカッションでは、どのように番組が作られたかについて、多くの意見が交わされました。視聴対象にどのように効果的なメッセージを送るのか? --- そのような意見交換は、私たちにとって貴重な教育的体験でした。
 私はこのフォーラムを存分に楽しむことができました。私の教育番組制作経験は浅く、制作する番組の視聴対象は年少の子どもたちに限られています。それ以外の視聴対象の番組制作はあまり経験がありません。今回、子どもから大人までと視聴対象が多様な教育番組を見ることができ、それぞれの対象に合った番組の作り方があることを学んだのです。創造性あふれる番組の数々から、本当に多くを知ることができました。
 ウェブ部門のプレゼンテーションで見た、ウェブサイトのインタラクティブ性と教育効果はとても興味深いものでした。残念なことに、わが国ではウェブを使いこなせるほどインターネットが普及していません。しかし、それぞれのプレゼンテーションから得たアイディアは、今後、教育番組に関連したウェブサイトを構築する際に生かしたいと思っています。
 
ウルリカ・マルタ・アルラート
スウェーデン教育放送(UR)
TVプロデューサー/プロジェクトマネージャー
 「日本賞」は素晴らしい経験でした。主催者である NHK と、運営に尽力してくださった事務局の皆様にお礼をいいたいと思います。「日本賞」は大成功に終わりました。私は、まず東京が大好きになりましたし、今後きっと長い付き合いになるであろう友人を見つけることもできました。友人と行ったカラオケがとても楽しかったので、家族のクリスマスプレゼントに、カラオケマシンを購入してしまいました。
 テレビ番組の制作者として、番組視聴後の意見交換が最も素晴らしいと感じました。ただ、番組を視聴した後、すぐに意見交換ができればよかったと思います。そのほうが番組への印象も残っていますし、もっと生き生きとした議論が期待できるのではないでしょうか。
  私の制作した ラジカル・チアリーダー については、いろいろな意見を聞くことができました。同時に、文化の異なる国で起こっている様々な出来事を知ることができました。たとえば、アフガニスタン、日本、インド、韓国、イタリアで女性がどのように教育されているか、などです。ディスカッションの時間が終わってパーティが始まっても、まだ意見交換は続いていました。少なくとも12人の方が私の番組を持ち帰って、同僚に見せたいと言ってくれました。私も、世界中の専門家から学ぶことがたくさんあります。彼らと同じように、エントリーされた番組のコピーをいくつかの国から送ってもらい、何を放送するか話しあいたいと考えています。このように、日本賞が終わった後でも、ネットワークは拡大していくのです。
 
アブドゥール・カイユーム・カリム
エデュケーション・フォー・オール 代表
アフガニスタン
  私は、昨年、企画部門で放送文化基金賞を受賞し、今年になってその番組を完成させました。その上映会に出席できたことは大きな喜びです。参加者フォーラムでは、一次審査を通過したエントリー番組のいくつかを視聴し、意見交換会にも参加しました。また、ウェブ部門や企画部門のプレゼンテーションも見せていただきました。授賞式やさまざまな社交の場で、世界中の参加者との友好を深め、今後の協力関係の基礎を築くことができました。
 「日本賞」は、年ごとに、高い成果を上げるようになってきています。世界各国のメディア関係者を集め、将来、より良い世界が実現するために、互いに学習しあう場を提供している点です。日本賞事務局と、世界に安らぎと平和を与えようと努力を惜しまない方たちの成果に、お祝いのことばを送ります。そして、日本賞事務局、放送文化基金に対して、再度お礼を言いたいと思います。番組を作るきっかけを与えていただき、本当にありがとうございました。世界の平和を願っています!
 
山本 正興
テレビ長崎 編成業務局長
日本
 日本のドキュメンタリー番組は、文化の異なる国々でも受け入れられるのだろうか?ひょっとしたら私たち日本の作り手は、受け手が同国人であることに甘えて、演出・構成の創意と工夫に怠慢だったのではないか?このような懐疑を自らに向けていた私にとって、まさに言語や習慣の違う各国の制作者が意見を交換し合うフォーラムは、貴重な体験でした。
 今回、私共が出品した作品は、グループホームで暮らす認知症のお年寄りを取材したものです。編集のテンポもゆっくりであり、ナレーションが物語を進めていきます。民間連盟賞の教養部門で優秀賞をいただいたとはいえ、外国の方たちにとっては評価の対象外と思っていました。そのような気持ちで臨んだフォーラムでしたが、意外にもカナダやドイツそしてイギリスのプロデューサー達が賛辞を送ってくれました。若干の社交辞令を含んでいたとしても、私には大きな自信であり、「よし、行ける!」と思いました。彼等の意見を踏まえ、従来の文法に固執することなく、世界の多くの人に見てもらえる普遍的なドキュメンタリーを日本の西端で作り続けていきたいと考えています。