第31回「日本賞」<2004年>優秀番組

最優秀番組紹介 エントリーリスト
番組部門 教育ジャーナルの部
番組名 草の根せんせい
機関名 北陸放送
国名 日本
 養護学校のベテラン教諭・野間比南子先生の仕事ぶりを描いたドキュメンタリー。野間先生は、障害児の母のような立場であると同時に、「障害児をもつ母親」にとっても母のような存在である。障害のある人たちが“養護学校卒業後に生き生きと暮らせる”社会を目指して、日夜、奮闘。明るく、おもしろい野間先生は、教師退職後に妻を支える夫とともに、いつも周囲をなごませる。 教え子がトイレで用を足せるようにズボンや下着に工夫を暮らす。障害児が働ける場所を運営するために上手に物を販売しながら寄付を募る。健常児の前で紙芝居を披露させ、小さい子どもに慕われる状況を作る。
 暗く重厚に伝えるのではなく、野間先生、その夫と障害児たちとの関わりを魅力的に描き、見る者を動かす力のある番組となっている。
番組名 自分を歌に
機関名 フランス5
国名 フランス
 フランスの音楽家、教育者であるルック・シュナイブリングは、日常生活で問題を抱え悩んでいる人々に対し、歌で自分を表現する、というミュージックセラピーを行っている。13歳のスティーブンスは、母親やクラスメートとの人間関係がうまくいかないと歌い、15歳のマーメッドは、弟がピストルの暴発事故で死んだのは自分のせいだ自責の念にかられている。読み書きができない移民女性のグループはフランス語を使えるようになり、社会に受け入れられたいという願いを歌う。清掃作業にたずさわる人たちが社会からもっと良いイメージで見られるようになりたいという夢を歌う。
 ルックは、自分自身について語る機会が少ない人々の悩みや、挫折、失敗、傷ついた経験などを信頼される聞き手として聞きだし歌詞を作る。その聞き取りの過程はカウンセリングそのものとも言える。自分自身を語った歌が目指すものは自分をよりよく理解することで他人から評価されることを目指したものではない。
 人々から悩みを聞きだす際、ルックは決して自分の考えを言うことはない。悩み苦しむ人々にその人だけの芸術的な「はけ口」を提供することが彼の願いなのだ。
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