第29回「日本賞」<2002年>受賞番組

 
番組内容
 もしも、動物や鳥、そして人間に骨が無かったら…人間もその他の動物も体をささえる事ができない。こうした仮定の話をきっかけとして、この番組では、シンプルでユーモラスなアニメーションを用いて、骨の役割やその仕組みをわかりやすく表現している。さらに、骨の状態は、レントゲン写真を使って見られることも紹介している。骨にひびが入ったり、骨が折れたらどのような状態になるか、それを治療するにはどうするかという話にまで発展する。また、人間の骨格だけではなく、動物や鳥、そして古代の恐竜にも骨がある事や、それらの構造にも触れる一方、エビやクラゲなど、骨の無い生物の存在も説明している。さらには、「骨」に関連する話として、遺跡の発掘や、博物館の展示にも目を向けさせている。
 
審査講評
 この番組は、言葉をあまり使わずに、映像と音楽や効果音との巧みなコンビネーションによって骨の機能や役割を子どもたちに感覚的にわからせる優れた番組である。もし骨がなかったらどうなるだろう?という問題提起をして、ユーモラスなアニメーションを使いながら子どもたちに考えさせるなど、硬い骨の話をやわらかく料理し、見てわかりやすい番組に仕上げている。テンポのよい編集や優れた音の使い方が注目に値する、質の高い教育番組である。
制作者のコメント ヘレン・ラングレン、プロデューサー
 子供のための科学教育において、骨格は基本的なテーマです。子供達は骨格に興味を持っています。と、同時に、怖がってもいるのです。科学番組のプロデューサー、また、子供のための科学書の著者という立場から、私は常に「別の角度」を模索しています――もしも、こうだったら?、もしも、こうでなかったら?、どのようにして?、なぜ?

 「骨格」、「骨格」、「骨格」…私は長いことこのテーマについて考えました。

 なぜ骨格があるのか?もしも骨格が無かったら?…考えた末、このテーマはアニメーターに任せるしかない!と思いつきました。こうして、まず二人だけで制作が始まりました。私が台本を書き、マリア・ベスコウが原画を描き、アニメーションを担当しました。マリアは、自宅のコンピュータで7週間かけてアニメを完成させました。ディレクター、編集者、ミュージシャン、二人の音声技術者が加わり、スタッフも6人に増えました。有名な若手俳優がスウェーデン語のナレーションを読み、それから数週間で作品は完成しました。

 この頃には、アニメーターのマリアも疲労困憊していましたし、私自身も入院するはめになりました。しかし、制作スタッフ全員が、この作品に満足しています。これは、私達の子供のように貴重なものです。 この賞をいただき、感激です。

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