第29回「日本賞」<2002年>受賞番組

 
番組内容
 マニラの貧困家庭に育った勉強好きな少年ニッキーは、学校に行く傍ら、家計を助けるために物乞いをして暮らす。学校は大好きだが、昼食のお弁当を持っていくお金もない。洋服は大人のお下がりを着て登校する。しかし両親はそうした息子が稼ぐわずかな収入に頼って暮らす。貧困層が直面する教育問題にフィリピン政府の対策は追いついていない状況だ。貧しさと闘いながら、勉強する意志を強く持つ少年の暮らしを通して、フィリピンの教育環境に対する問題提起をする番組。
 
審査講評
 この番組は、フィリピンの制作者が、自国の経済事情、教育格差に対する問題意識から、その状況の改善に役立つことを願って制作したドキュメンタリーである。敢えて子どもたちを取り巻く厳しい状況を描き、人間としてのモラルを人々に考えさせることに成功している。この番組制作機関は、限られた番組予算と技術的な環境しか持たないプロダクションであることが予想できるが、そうした困難を情熱をもって乗り越え、次世代を担う子どもたちにとって教育が必要不可欠であることを見事に訴えている点が賞賛に値する。

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