第29回「日本賞」<2002年>受賞番組

 
番組内容
 西アフリカのシエラレオネでの10年に及ぶ内戦で、革命軍に拉致された数千人以上の子ども達は、兵士として残酷な行為を強いられてきた。1999年には7千人の子ども達が解放された。この番組では、そうした子ども達を受け入れる町「フリータウン」と3人の子ども達の里帰りを追う。 親元に帰るにしても、国内の殆どの街は破壊されており、自分の家さえ見つけるのに苦労する。社会福祉委員との「親探しの旅」の途中、男の子の一人は、内戦中に自分が民間人を殺害した現場に寄り、その時の状況や心境を語る。家族や友人達との再会の歓びは束の間。未来への不安を抱えた新たな旅立ちであることを思わずにはいられない。
 
審査講評
 この番組は戦争で取り返しのつかない傷を負わされた子どもたちを赤裸々に描いた作品である。危険な地域で取材を続けた番組のレポーターと撮影クルーの正義感とひたむきな姿勢があったからこそ、悲惨な状況にある子どもたちの姿を忠実に捉え、説得力のある情報が得られたのであろう。取材者の確固たる問題意識とメッセージ性の強さに加え、レポーターの心のこもったナレーションが効果的に配された、優れたドキュメンタリーとして評価された。

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