第29回「日本賞」<2002年>受賞番組

 
photo
文部科学大臣賞
番組名 世紀を刻んだ歌  イマジン2001−2002
機関名 日本放送協会 (NHK)
 
番組内容
photophoto
 20世紀の名曲が誕生した時代背景や、その曲に込められたメッセージを通して、若者が今直面する課題にどう向かっていけばいいのかを提示するシリーズの番組。2001年9月の同時多発テロ以降ジョン・レノンの「イマジン」はアメリカで放送自粛になったにもかかわらず、静かなブームになる。東京の中学校では社会科の授業でイマジンを取り上げ、中学生が世界平和とは何か、そのためにどう行動すればいいのかを考えた。曲のメッセージに共感した中学生たちは世界平和への願いを手紙に書き、オノ・ヨーコに送る。
 テロ以降、アメリカでは平和な生活がもろく崩れることを知った人々の間で心の不安を訴える声が高まった。ここでも「イマジン」の歌詞のもつ意味を生徒に考えさせる先生がいた。「イマジン」の歌詞を通じて心を癒す試みである。曲のもつ意味を日本とアメリカの人々が考え、音楽とその歌詞にこめられたメッセージが民族や世代を超えた人々に訴えるものであることに気づく。
 
審査講評
 この番組は、ジョン・レノンが「イマジン」を作曲した1960年代から70年代の時代を描くと同時に、2001年9月11日のアメリカの同時多発テロを含む、その後30年間の平和を求める世界の動きとこの曲との関わりについて伝えている。この番組は、「イマジン」という曲の力によって、国や文化の違いを越えて、世界中の人々がお互いを理解しあうことの大切さを伝え、若者の国際理解を奨励している。若者たちに、自分たちが何をしたいか、実際何をするのかについて、自分たちの創造力をどう使うかを考えさせ、よりよい世界を作り出すために、お互いの違いを認めようとすることの重要性を語りかける。このインパクトの強いメッセージは日本とアメリカ両方の若者を結び付け、また、60年代に青春を過ごした親の世代とその子どもの世代が、この曲の描く夢を共有することを促す。この番組はさまざまな制作手法を効果的に組み合わせながら、教育的でかつ楽しめる番組として完成させた。
制作者のコメント 増子 明洋、チーフプロデューサー
photo
 この番組は、あの同時多発テロの後、世界でまき起こったイマジンという楽曲にまつわる出来事を淡々と記録したものです。平和、安寧、闘争、再起・・・事件に心が突き動かされた人々の中に流れたイマジンを通じて、人間に与える音楽の計り知れない力を考えてみようと思ったのです。企画発案からロケまで3週間、ロケ3週間、ポストプロダクション3週間。イマジンを愛する多くの人の協力で怒涛の様に番組は出来ました。この場を借りまして皆様に御礼申し上げます。

TOP