NHKドラマ 隠密八百八町

ドラマのみどころ

【ドラマのあらすじ・みどころ】

 文政二年(1819)秋。神谷又十郎(44)は杉崎道場という町道場の師範代をしていた。最近、武衛館からの移籍が多く、その門弟たちとの諍(いさか)いが絶えない。ある日、武衛館の門弟の前で目にも止まらぬ居合いを披露、その一部始終を聞いた楽翁(元老中・松平定信)は、又十郎に興味を持ち、水野忠成の悪政を正す「隠密組」への参加を持ちかけるが・・・。

 庶民のささやかな幸せを守るため、江戸八百八町を舞台に、正月時代劇『隠密秘帖(ひちょう)』の主役・神谷庄左衛門の息子・又十郎を中心に結成された「隠密組」が悪事を暴き、華麗に阻止していくエンターテイメント時代劇です。

脚本家のことば・・・金子成人

 この物語の舞台は正月時代劇『隠密秘帖』から35年が経った江戸の町である。

 主人公神谷又十郎は、『隠密秘帖』の主役・神谷庄左衛門の息子。『隠密秘帖』は歴史的事件を背景に、武家社会に於(お)ける個人の良識が組織の論理に潰(つぶ)されていく姿を描いたのだが、今回、『隠密八百八町』では江戸の市井が舞台となる。主人公神谷又十郎は浪人で、彼がまとめるいわゆる<隠密組>は組織に属さない庶民である。そんな彼らが権力に抗(あらが)い、挑むのが、『隠密八百八町』なのだが、底流には、神谷又十郎が父の死の真相に迫るというサスペンスも加味されている。

脚本家のことば・・・梶本惠美

 子供の頃、嵯峨の野を駆け回り育った。大覚寺や広沢の池では時代劇の撮影が行われていて不思議な思いで見ていたものだ。それがいつの間にやら「人情もの」「世話物」好きになっていた。今回、原作なしの「隠密もの」ということで自信はなく不安もあったが、夏より参加した『隠密秘帖』から『八百八町』へと、脚本家三人揃(そろ)ってのスト−リ−作りの打ち合わせを重ねる中で、自由自在に江戸を駆け巡る醍醐味(だいごみ)があることを知った。まだまだ未熟な私は金子先生から色々ご指南頂くことが出来たことも本当に有り難い。第4回「人には誰でも宝がある。己の命にかえても守りたい宝が」という又十郎の台詞は『隠密秘帖』の炎の中の又十郎の父の姿から降りて来た。放送が待ち遠しい。

脚本家のことば・・・横山一真

 大江戸の八百八町はまさに小宇宙。今の大都市・東京よりずっと怪しくて猥雑(わいざつ)で、人情味溢(あふ)れていて、魅力的!そこではどんなことも起こりうる、いつの間にか名も知れぬ隠密組が結成され、またいつの間にか消え去ったとしても少しも不思議ではありません・・・・。そんな八百八町を颯爽(さっそう)と駆け抜ける又十郎たち・・・・その姿を少しでも鮮やかに描ければ、と思っています。もっとも僕が書かせていただく第6回では、やむなく又十郎が大奥まで足を延ばす(?)ことになるはずですが・・・・。どうぞご期待下さい!

制作にあたって・・・山本敏彦

 土曜時代劇『隠密八百八町』の舞台は、正月時代劇から35年後の文政2(1819)年秋の江戸。当時流行(はや)った落首に「水野出て、もとの田沼にもどりけり」というものがあります。これは、正月時代劇で描いた拝金主義のため賄賂(わいろ)が横行、また飢饉(ききん)が重なり庶民が苦しんだ田沼時代の再来を歌っているものです。「水野」とは老中首座・水野忠成(ただあきら)のことです。政治の腐敗や、権力者の横暴はいつの時代も許すことができません。庶民の小さな幸せを守るため、主人公の神谷又十郎(舘ひろし)を中心に個性豊かな隠密組の仲間たちが集まり、江戸八百八町を舞台に、権力者たちの悪事を暴き、未然に防いでいく活躍をコミカルに描いていきます。そして、土曜時代劇には、父・庄左衛門の遺(のこ)した「備忘録」をめぐるもう一つのストーリー「親子の絆(きずな)」も見逃せません。土曜の夜は是非!土曜時代劇『隠密八百八町』をご家族でお楽しみください。

演出にあたって・・・一色隆司

 大切な人を押し込みによって殺されたと信じる神谷又十郎は、剣の腕を上げ馬庭念流の師範として江戸で評判となっていた。そして、そんな又十郎に謎の隠居・楽翁が隠密組の結成を持ちかける・・・。正月時代劇の神谷庄左衛門、土曜時代劇の神谷又十郎を見事に演じ分けてくださった舘ひろしさんの劇中での生きざまは、人と人との絆が希薄になっている現代社会を生きるわたしたちの心に深く語りかけてきます。

 どんなときも正義を貫けと教えられた又十郎は、この世の理不尽にまっすぐ立ち向かい、そして、人をあやめることなく事件を解決していきます。

 舘ひろしさんのさまざまな顔を時代劇ファンはもちろん、全ての方々に楽しんでいただける見どころ満載の娯楽作品に仕上がっております。又十郎の活躍にご期待下さい!

【スタッフ】

【脚本】金子成人(第1・2・7・8・9回) 梶本惠美(第3・4回) 横山一真(第5・6回)
【音楽】小六禮次郎
【主題歌】ふくい舞「いくたびの櫻」
【演出】一色隆司 黛りんたろう 土井祥平(NHKエンタープライズ)
【制作統括】山本敏彦(NHKエンタープライズ) 加賀田透(NHKドラマ番組部)