キャスト | 陽だまりの樹

【義に生きた男】伊武谷万二郎(市原隼人)

万二郎は常陸府中藩(いまの茨城県石岡市あたり)に仕える、無骨で一本気な武士。曲がったことが大嫌いな父譲りの性格が災いしてか、出世の道からは遠のいているが、我流剣法で並みいる剣客を倒すほどの腕前を持つ。

腐敗が進んで朽ち果てようとする徳川幕府を憂え、その支えになりたいと一念発起して、幕府や国のために生きた義の男であった。米国使節の警備役から幕府陸軍歩兵隊の創設に関与して、最後まで徳川幕府とともに命運を共にする。

【情に生きた男】手恬ヌ庵(成宮寛貴)

手恷。虫の曽祖父に当たる蘭方医。大坂の適塾で西洋医学を学び、父・良仙と共に種痘所(後の東京大学医学部)の創設に奔走した。

直情型の万二郎とは正反対の、ちゃらんぽらんで女にだらしがない遊び人だが、患者の命を救うことには心血注いで奮闘する、情に厚い男。その情が初めは敵対視していた万二郎の心をほだして、終生の友となる。武士や戦争を嫌っていたが、時代の流れに押されて軍医として戦地に赴くことになる。

おせき

(黒川芽以)

万二郎と良庵が想いを寄せる善福寺の娘。父たっての願いもあり、夫となる人には寺を継いでほしいと考えている。争いを嫌い、人の命をあやめる武士をあまりよく思っていない。痘瘡(とうそう)で弟を亡くしており、種痘を江戸に広めようとする良庵の手伝いを買って出る。万二郎と良庵の間で心揺れるが、ある事件を機に尼寺に出家してしまう。

伊武谷千三郎

(西岡コ馬)

常陸府中の下級藩士。万二郎の父。愚直で不器用な性格が災いして出世から外れてしまった。いまは隠居して内職に精を出している。蘭方医を目の敵にする奥医師たちが差し向けた刺客から、良庵の父・良仙を守ろうとして非業の死を遂げる。

おとね

(池上季実子)

万二郎の母。夫を献身的に支え、子を厳しく育てる、武家の女の鑑(かがみ)である。凛としたおとねの叱咤(しった)激励(げきれい)には、さすがの万二郎も逆らうことができない。夫の命を奪った刺客の身内・綾が伊武谷家に現れた時、気立ての良いおとねの心に鬼が宿る。

手恬ヌ仙

(笹野高史)

良庵の父。蘭方の名医として人々から信頼されている。江戸に種痘所を開設することが悲願で、たびたび命を狙われながらも、あの手この手で幕府に働きかける。名誉や功名心よりも民衆の命を助けることに心血を注いだ。

お中

(古手川祐子)

良庵の母。女癖の悪い夫の良仙とその道では父にそっくりな息子の良庵に毎度泣かされているが、それでも明るく家庭を切り盛りして、医術に励む夫と息子を支えるしっかり者の江戸女。

おつね

(大塚シノブ)

良庵の妻。大坂から江戸への道中、ふとした出来心で良庵が手を出してしまったことから、良庵の妻となる。気が強くしっかり者で、いい加減で気弱な亭主の尻をひっぱたいて後押しをする。

お品

(笛木優子)

安政の大地震で万二郎に命を助けられた商家の娘。万二郎の妻になりたいと願うが、刺客・丑久保陶兵衛に手込めにされ身ごもってしまう。陶兵衛が万二郎を襲わないように、陶兵衛の妻の座に耐え忍ぶ。

(大塚千弘)

楠音次郎の妹。万二郎は兄の敵だが、彼の献身に心が揺れる。陶兵衛と闘う万次郎を助けようと身を挺し、意識不明の重体に陥ってしまう。万二郎の手厚い看護により奇跡的に回復する。

藤田東湖

(津川雅彦)

万二郎が敬愛して止まない水戸藩士。水戸学の大家として全国の尊王志士に影響を与えた、万二郎の精神的支柱である。万二郎に「倒れかけた大樹の支えになれ」と諭した後、安政の大地震で命を落とした。