「風の峠~銀漢の賦~」ドラマのみどころ

人生の峠を越した男がふたり、命を賭けて峠を越える。
ひとりは不器用に亡き友との義に生きてきた男。
ひとりは大義のために友を斬り、敢えて出世に生きた男。
義の置き処を違えた二人が老境を迎えたとき、暗殺者と逆臣として相見えることになった…!

「風の峠~銀漢の賦~」

原作者のことば ・・・葉室麟

『銀漢の賦』を書いて一番、不思議だったのは「銀漢」という言葉だ。漢詩から選んだもので、初めて知った言葉だと書いている間は、思っていた。ところが、本にしてから高校時代の旧友に「あれって運動会の応援歌にあるよな」と言われた。その瞬間、

――銀漢、空に映ゆるとき

という歌詞が頭に甦った。高校生のころ、竹刀を持った応援団の先輩に怒鳴られながら歌った歌詞だったのだ。なぜこの言葉を小説で使ったのだろうか。

単純に言ってしまえば「銀漢の賦」は年老いた男が昔の友達を思い出す話だ。自分自身の過去をたどりつつ、小説を紡ぎ出す作業をしていたとき、青春とからみつく単語が不意に浮かび上がってきたのではないか。

言葉は人生の忘れられない場面とつながっている。そんな思いでテレビドラマを楽しませていただこう。友達を思い出して、少しだけ泣くかもしれない。

脚本家のことば 「人は覚悟と心映え」・・・森下直

時代劇は古臭い、というイメージがあるように思います。でも、今は使われない言葉も、所作も、衣服も、風景も、その中で語られる日本人の心も含めて、私にとってはファンタジーで、何かトキメクものがあります。

それは、言葉のすがすがしい言い切り、なのかもしれません。特に好きなのは、「人は覚悟と心映え」という台詞です。源五、将監、十蔵の生き方は、この体現です。彼らはどう生き、どう死ぬか。それがこの作品の大きなテーマですが、実はその先にもう一つ、見えてくるものがあります。

命は一人に一つしかありません。自分の命を見つめ、抱きしめて生きる覚悟、のようなものが、そよ風のようにふわりと皆様に届いたら、脚本家として幸せであります。

演出のことば「江戸版ディア・ハンター」・・・黛りんたろう

私の好きな映画のひとつに、「ディア・ハンター」があります。ご存知のように、ベトナム戦争の戦友たち三人の、哀切なる「その後」を描いた名作ですが、今回のドラマは、これに似た構造を持っています。かつて強い絆で結ばれていた三人の男たち。しかし歳月を経て、ひとりは政界の実力者に、ひとりは出世から見放なされた鉄砲衆に、そしてもうひとりは百姓一揆の首謀者に。運命は、百姓の命を奪い、それが元で、残されたふたりは「絶交」を余儀なくされる。おのれの「生」を生き切る場所を探すふたりは、やがて熱く友情を復活させる。・・・これは中村雅俊、柴田恭兵、両主役が「命の火花」を燃やす、とてつもなく過激な「男のラブスト―リー」です。

制作のことば「青春ドラマに捧ぐ」・・・海辺潔

青春ドラマが好きだった。『俺たちの旅』では強がるカースケの不器用さに共感し、『俺たちは天使だ!』では場を明るくするダーツの軽妙さに声をあげて笑った。

『銀漢の賦』を制作するにあたり「これは青春ドラマでなければならない」と考えた。

平熱の高い人、あるいは惜しみなく熱量を発し続けてきた人にしか、この時代劇の登場人物は演じられないと思ったのだ。その確信は当たった。

『風の峠』は『俺たちの旅』であり『俺たちは天使だ!』である。そして『夜逃げ屋本舗』であり『あぶない刑事』でもある。全部NTV作品なのが癪だが、一級の青春ドラマを見てきた世代にこそ、この時代劇を見て貰いたい。

「風の峠~銀漢の賦~」

 木曜時代劇『風の峠~銀漢の賦~』

2015年1月15日(木)スタート [連続6回]
総合テレビ 毎週木曜・午後8時00分~8時43分放送

【原作】
葉室麟 「銀漢の賦」

【脚本】
森下直、西井史子

【音楽】
小六禮次郎

【主題歌】
泉谷しげる「漢(オトコ)ありて」

【出演】
中村雅俊、柴田恭兵
桜庭ななみ、平岳大、池田鉄洋、吉田羊、中村獅童、高橋和也、麻生祐未 ほか

【演出】
黛りんたろう、川野秀昭

【制作統括】
海辺潔、原林麻奈