100万人の行動宣言

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とりくみ事例

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-行動宣言を使った授業・とりくみ事例

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『ファシリテーション』の手法で行動宣言を考えました!
新潟県 新潟市立白新中学校
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生徒がファシリテーターを務め学級会を進行
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「いじめを生まないクラスにするために自分ができること」を具体的に考え、発表!
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グラフィックライターが付せんに書いてあるみんなの意見を、グループ分けして模造紙に張り出す
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グループ分けされた行動を実行するために、どんな“力”が必要なのかみんなで考える
 
 
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“力”を育むためには、どんな行動から実行していくか優先順位を矢印でつける
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優先順位をつけたところで「いじめを生まないために必要な力」をしぼりこみ、クラスの宣言を作る
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クラスの行動宣言を実現するために、ひとりひとりの行動宣言を考える
宣言を見る
interview
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行動宣言の授業・とりくみの中身

Q1.ファシリテーションって何ですか?

ファシリテーション(Facilitation)とは、人々の活動が容易にできるように支援し、うまくことが運ぶように舵取りをすること。みんなのアイデアを持ち寄り、意見を出し合うことで、難しい問題を解決したり、新しいアイデアを創造していくことです。いま、教育現場や会社などでも広く取り入れられています。
特徴は、みんなの意見を紙に書いて視覚化すること。その上で、分類をしながら意見を深めていくことです。この過程で、みんなの意見が共有され合意形成がしやすくなったり、今まで出ていなかった新しい考え方の発見につながっていくのです。
ここで重要になってくるのが、話し合いの舵取りをおこなう人ファシリテーター(Facilitator)とみんなの意見を視覚化、分類をしていくグラフィックライター(Graphic Writer)です。
本校では、このファシリテーターとグラフィックライターを生徒がつとめることで、生徒たちが自分の意見や思いを仲間に伝えやすい環境を日ごろから作っています。

Q2.ファシリテーションの手法で行動宣言を考えたねらいは?

本校では平成25年度から全校体制でファシリテーションを取り入れています。班長会や学級会における目標や目指す姿の決定など学級活動場面だけでなく、各教科の授業場面、各種行事、部活動集会、委員会活動、学校生活のすべての場面で取り入れています。
ファシリテーションの手法を用いることにより、その話し合いに参加しているすべての生徒が自分の意見や思いを仲間に伝えることができます。また、可視化することにより、仲間がその意見を受け入れやすくなります。こういった相互の関係を土台にし、視野が広がったり、話が深まったりすることが期待されます。
今回ファシリテーションの手法を使って行動宣言を考えたねらいは、いじめは『1対多数』でおこなわれますが、実は傍観者の数が多い。その傍観者がいまおこなわれている、いじめや人間関係のトラブルにどう関わるかが大切だと考えています。だからこそ、クラス全員でファシリテーションの手法を通して合意形成することにメリットがあると思ったからです。

Q3.ファシリテーションを使った取組みの中身

6月

第3週
規律委員長(風紀委員長)から規律委員(風紀委員)に『いじめ防止やよりよい人間関係を構築するために自分たちができることを考えよう』という提案。昼休みの時間を使って、各クラスの規律委員と担任が打合せをおこないファシリテーションの手法で考えていくことを決めました。


第4週
昼休みや放課後を使って、規律委員とファシリテーターとグラフィックライターが担任と打合せをおこない準備をすすめました。具体的には以下の3つの点を確認することからはじめました。
①『仲間にやさしさをもって関わり、いじめを生まないクラスにするために』という議題の意味の確認
②どんな風に話し合いを進めていくのかスケジュールの確認
③意見を「個人付せん」に書いてもらう際の文章の良い例・悪い例

打合せ後は、規律委員の生徒と各クラスで選出されたファシリテーター、グラフィックライターが何度か話し合いの進め方など打合せをしていました。

矢印

6月27日
学活の時間を利用して学級会Ⅰをおこないました。一人一人の意見を共有することを重視。
意見の分類作業を中心におこないました。時間が足りなかったので、朝読書(15分)の時間も利用しました。

ねらい授業のねらい

『いじめをうまないために、自分たちにどんな行動ができそうか具体的な姿を共有することで、ひとりひとりの視野を広げること。

● 授業展開案

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生徒の活動 進行
生徒の反応(生徒から出そうな質問や疑問)
評価と支援
(先生が具体的にやること)
資料
個人で付箋に書く練習をおこなう(10分) ★付せんの書き方を練習する。

教師「いじめを生まないために何ができるかと考えたとき、みなさんだったらどんなことがうかびますか?」
生徒A「困っている人がいたら助けます」
教師「そうだよね。今日から、本気でいじめを生まない行動をクラス全員で実行するために、具体的な場面での行動を考えていきたいと思うんだ。では、Aくんは、“仲間の困っている場面”を考えたとき、どんな場面が浮かびました?」
生徒A「教科の先生に、プリント配布を頼まれた友だちが配るの大変そうだった場面です」
教師「具体的で、想像しやすいね~。では、そういう場面で、どんな言動を起こすことが“仲間を助けること”につながるかな?」
生徒A「“手伝うよ”と言って、半分プリントを配ってあげることです」
教師「そんなことを言ってもらったら、その仲間はすごくうれしいだろうね。他のみなさんはどうかな?いまの生徒Aくんが挙げた例は、聞いている私たちが想像できますよね。想像できるということは、実際に行動にうつしやすそうだよね。
では、このように、いじめをうまないために自分ができる具体的な姿を具体的な場面とともにあげていきましょう」
・付箋を1人3枚配布。個人にネームペンをもってこさせる。
・教師がまず、付せんの書き方を具体的に教えるために、生徒とやりとりをしながら、1~2例付せんのかき方の手本を板書する。
・机間巡視し,書けない生徒への支援を行う。
・付せん75×75mm
・模造紙
学級でシェアリングする(40分) ★「仲間にやさしさをもって関わり、いじめを生まないクラスにするために」自分ができることを発表してもらいます。

・生徒一人一人が具体的な場面で、どんなことをするのか?発表

A「授業で配布するプリントなど、大変そうな時は手伝ってあげる」
B「口喧嘩や言いあいをしているのを目撃したら、まわりの人が落ち着かせる」
C「『バカ』とか『うるさい』とか暴言を吐いている人がいたら自分から、自分から「相手が傷つくからやめようよ」と止める」

・グラフィックライターは、意見が書いてある付せんを、似たような意見ごとにグループ分けして一枚の模造紙に貼り付けていく。
・上記の場合 Aは【授業】の観点でできること。BCは【言葉】について二つのグループに分類

D「授業中の発言で間違えてしまった人がいたら、『おしいよ』『どんまい』など声をかけ発表した人が不安になる言動はしない」
グラフィックライター「Dさんの意見は【授業】の観点と、【言葉】の観点どちらに分類したらいいですか?」
E「【授業】と【言葉】どちらにも分類できるけど、【フォロー】という新しい観点のグループを作った方がいい」

・意見の分類で迷った時は、クラス全員に問いかけて分類方法を考える。ここで新しい分類方法の観点が出てきてもOK。
・大切なのことはどの分類が正しく、どの分類が間違っているということではない。みんなで共通意識を持って分類していくことが大切。
・立候補をしたファシリテーターとグラフィックライターのサポート。(学年の実態に応じて,グラフィックライターは先生がしてもよい。)
★具体的な姿として発表できない友だちには、ファシリテーターが丁寧に聞き返しながら具体的な姿を引き出していく。

生徒X「ひとりの人をつくらないようにする!」
ファシリテーター「具体的には?」
グラフィックライター「具体的な場面から考えると、みんなもイメージしやすい。どんな場面かな?」
生徒X「移動教室の場面!」
ファシリテーター「移動教室の場面で、ひとりになる可能性があるときってどんなときかな?」
生徒X「体育で着替えた後に、ひとりで体育館に向かう人がいるから、そういう場面をつくらないようにしたいです。」
ファシリテーター「場面がよくわかった。じゃあ、誰かひとりで移動している人がいたらXさんだったらどうする?」
生徒X「一緒にいこう!と声をかけます!」
ファシリテーター「なるほど。そうやって周りをよく見て、気づきあえることは、いじめをうまないことにつながるよね。」

・具体的な場面や行動がパッと伝えられない生徒もたくさんいます。そんなときは、ファシリテーターが中心になって、仲間のいいたいことを引き出そうとしていきます。
・本当に困ったときは、担任がアドバイザーで入りますが、生徒たちが頼ってくるまで任せています。

矢印

7月3日
学活の時間を利用して学級会Ⅱをおこないました。
主な作業は“力”分けから宣言文を作る工程です。


7月4日
朝読書(15分)個人手形宣言文作成

ねらい授業のねらい

学級会Ⅰで クラス全員で共有されたことを、自分たちのクラスならではの文言にコンパクトにまとめる。
クラスの文言をもとに、改めて自分自身が頑張ることを、仲間に発信する。具体的に自分ができることを考え書くことがねらい。

● 授業展開案

PDFで開く
生徒の活動 進行
生徒の反応(生徒から出そうな質問や疑問)
評価と支援
(先生が具体的にやること)
資料
グループごとに力分け ★学級会Ⅰでグループに分類した行動を、実行するためにはどんな“力”が必要なのかひとつひとつ考えていく。

例)
・まずは、言葉の観点で分類したもの事例A
①「口喧嘩や言いあいをしているのを目撃したら、まわりの人が落ち着かせる」
②「けんかになる前に終わらせる」

事例Aは「伝える力が必要。自分から落ち着かせたり、やめるようにうながしたり伝える力が必要」

・次に、言葉の観点で分類したもの事例B
①「『バカ』『まぬけ』など人を傷つけるような言動もいじめなのでそのような言葉は慎む」
②「軽い気持ちで人を傷つけるような言動をした人に自分から注意すする」
③「『うるせえ』といった言葉を友だちに言わない」

事例Bは「相手のことを考える力。相手のことを考えれば、暴言とか身体的な特徴を言わないと思う。」
・立候補をしたファシリテーターとグラフィックライターのサポート。(学年の実態に応じて,グラフィックライターは先生がしてもよい。)
力を育むステップを考える ★“力”を育むために、実行していく順番や難しさなどを話す。

例えば)
事例Aの「伝える力」と事例Bの「相手の気持ちを考える力」を比較した場合、事例Bの「相手の気持ちを考える力」は自分の意識を変えれば比較的簡単にできる。
そこからまずはじめて、最終的には事例Aの「伝える力」を育んでいこうなど話をしていく。最初からハードルが高いと、本当に口だけの約束になってしまいます。
クラスの宣言文づくり ★その上で、両者に共通して必要な力とは?

→「相手のことを思いやって会話する力」
であることに気がついていく。



★他のグループも同じように考え、「いじめを生まないために必要な力」をしぼりこみ、自分たちのクラスならではの宣言を作る。

→「Smaile宣言」
S 積極的に
m みんなを巻き込み
i 色んな人の良さを見つけ認め
e 笑顔あふれるクラスにします
個人の宣言文づくり(15分) ★クラス全体の目標を達成するために、
自分ができる宣言を最終的に考える。

Q4.この授業をすすめるにあたっての工夫、大事にしたことなどあれば、教えてください

学級会をコディネートする生徒が、当日担任の手を借りずに自分の役割を自信をもって全うするために、事前の打合せや準備はじっくり時間をかけます。成功体験を踏ませることが、その生徒の達成感につながり『次もがんばってみようかな』という意欲にもつながります。一方で、頑張って学級会を引っ張る仲間の姿を見て『自分もこんな風に頑張ってみたいな』と、クラスの仲間にとってもよき目標になります。
学級会Ⅰが終わった後、クラスメイトから出た意見の分類を改めて見直すこと。学級会Ⅱでどんな流れにしていくのか?どのグループから考え始めた方が、みんなから意見がでやすいかなど、担任とファシリテーター、グラフィックライターが十分に打合せをしています。

学活1時間にすべての内容をつめこむのではなく、朝読書や翌週の学活の時間も活用しながら、生徒一人一人が自分の考えを整理したり友だちの意見を理解し受け止めるための時間を十分にとりながらすすめていきました。

ファシリテーションの手法を使っての授業の肝は生徒たちが深く考えて、しっかり言葉にすることです。この生徒たちの能力は普段の授業・学級経営の賜物です。これは一朝一夕ではできない資質・能力のひとつであると考えています。教師が普段からしっかりと生徒たちに向き合って育てていくということはいうまでもありません。
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