ページの本文へ

NHK北海道WEB

  1. NHK北海道
  2. NHK北海道WEB
  3. アナブロ
  4. 北のことばお兄さん あなたの疑問に答えます!⑪

北のことばお兄さん あなたの疑問に答えます!⑪

  • 2024年4月30日

音更町出身の伊林です。お寄せいただいた、あなたの疑問にお答えする第11回です!
「北のことばお兄さん」は定時番組としての放送は3月で終了しましたが、放送で紹介しきれなかった皆さんの疑問にお答えします。
今回は▼「了解です」の使い方が気になる についてです!

(*この記事は4分程度で読めます)

Q 「了解です」を、後輩が上司に使っているのが気になる…。

 世の中に一定程度“部下・後輩が、上司・先輩など目上に対して「了解しました」「了解です」を使うのは失礼だ、避けるべき”という考えがあるのは事実です。
一方で、専門家の中には「『了解』『承知』ともに失礼な要素はない。『了解いたしました』のように語尾を丁重にすれば、敬語としては十分」という見方をする人もいます。

まず、“目下から目上に「了解しました(了解です)」を使うのは失礼”という考えから見ていきます。
NHKのサイト「大学生とつくる就活応援ニュースゼミ」内、“就活ゼミ的春季講座「就活用語」面接編(下)を見てみます。

この中で、学生の“面接でのことばづかい”についての質問に、マナー講師の方は…。
 

(学生)相手とやり取りする際の言葉ですが、相手の方が話したことに対して分かりましたという時に、「了解しました」「わかりました」「承知いたしました」の、どの言い方がよいのでしょうか?     

(マナー講師)「了解しました」は、上司が部下に対してOKだよという意味合いが入っているんですね。みなさん、結構、間違って使っていらっしゃるのですが、学生の立場で「了解しました」というのは避けた方がいいと思います。 

(学生)間違いなのですか?  

(マナー講師)おススメは「承知しました/いたしました」「かしこまりました」です。

転職エージェントのサイトの中にも“「了解しました」をビジネスシーンで使用するのはおすすめしない。「了解しました」は同僚や年下に対することば”と記載しているものがあります。

では、国語辞典はどうでしょうか。NHK札幌放送局にある国語辞典を調べてみると、三省堂国語辞典に詳しい記述がありました。

三省堂国語辞典
りょうかい[了解]
相手の言っている内容を理解して、同意すること。「お互いの―事項・―を求める・―できない・―しました」〔軽く『―です』とも〕
!目上に失礼な語と言う人がいるが、以前から「了解いたしました」など、丁重表現として使われる。

更に、同辞典の「承知」の項目も見てみると、後半に…。

三省堂国語辞典 ※「承知」の項目内から一部抜粋
しょうち[承知]
区別 「承知しました」は丁重な表現だが、「了解しました」はふつうの丁寧表現。ただし、「了解いたしました」と言えば、じゅうぶん丁重な表現になる。「承知いたしました」はより丁重な表現。 

この国語辞典の編者の1人、飯間浩明(いいま・ひろあき)さんは、2023年5月の雑誌の記事内で以下のように述べています。
「…議論になるということは、どちらの言い方にも一定の支持者がいるということです。『了解しました』は嫌いだ、と言う人の前でわざわざ使う必要はありません。一方、言葉の歴史を見ても、『了解』『承知』ともに失礼な要素はないのです。『了解いたしました』のように語尾を丁重にすれば、敬語としては十分です」。

職場の雰囲気に加え、後輩・部下と先輩・上司との親密さなど色々な要素があるので、「いかなる場でも『了解しました』を使うべきでない」とまでは言えないのではないでしょうか。

ただ、冒頭で記したとおり「就職活動やビジネスなどの場で目上に『了解しました』は失礼」という認識が広まっているのも事実で、改まった場では避けるなど状況に合わせた対応も必要でしょう。

文法や敬語表現の専門的観点からは更に詳しい考察や検証があるのかもしれませんが、この場では割愛させていただきます。

“ちょっと人に話したくなることばの知識”をお届けしてきたミニ番組「北のことばお兄さん」。
ことばについてのブログを見れば「『○○○』って、本当はこういう意味なんだよ!」と思わず人に話したくなること間違いなし!
伊林が書いたブログはこちら

ページトップに戻る