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新年度で引っ越した人は注意! 「不在者投票」の活用を

  • 2023年3月3日

4月に行われる統一地方選挙。春は就職や進学、転勤などで“人の移動”が盛んになりますが、選挙直前に引っ越した場合、投票できるのでしょうか?「不在者投票」という制度を活用できる可能性があります! 詳しく解説します。(札幌放送局  飯嶋千尋)


「不在者投票」とは?

選挙権があれば、住民票がある自治体で有権者として選挙人名簿に登録されています。選挙は住民票がある自治体で投票するのが基本です。もし、投票日当日に投票に行けない場合は、その前に「期日前投票」することもできます。
ただ、なんらかの事情があってそもそも投票所に行けないケースもあります。
そこで登場するのが「不在者投票」。長期の出張や旅行、入院などのため住民票がある自治体の投票所に行くことができない有権者が滞在先で投票できる制度です。
不在者投票の方法と、引っ越した際の注意点について解説します。


具体的な手続きは?

不在者投票の手続きを具体的にみていきます。

まず、選挙人名簿に登録されている自治体の選挙管理委員会に「不在者投票宣誓書」を郵送し、投票用紙や必要書類を送ってもらいます。

その用紙を使って、新しい住所地(※直前に引っ越した場合)や滞在先(※長期の出張や旅行などの場合)の自治体の選挙管理委員会などに出向いて投票します。具体的な投票場所や時間はその自治体にお問い合わせください。なお、実際に投票用紙に記入するのは、その自治体の「不在者投票記載所」です。

不在者投票は投票日前日まで行われていますが、郵送には時間がかかることから、北海道選挙管理委員会は早めに手続きするよう呼びかけています。詳しくはお住まいの自治体の選挙管理委員会のホームページを参照してください。

このほか、選挙管理委員会があらかじめ指定した病院や老人ホームならば、入院・入所者がそこで不在者投票できます。その施設の長が「不在者投票管理者」となって選挙管理委員会から投票用紙を取り寄せ、投票後は選挙管理委員会に投票用紙を送ります。
また、郵便を使った不在者投票もあります。重度の障害がある有権者は自宅で投票用紙に記入して郵送できるほか、自分で投票用紙に記入できない場合は代理人に記入してもらい郵送することもできます。この郵便投票の利用には条件があり、あらかじめ選挙管理委員会に申請する必要があります。そのうえで、投票用紙を投票日の4日前、つまり統一地方選挙の前半戦(北海道知事選挙・北海道議会議員選挙、札幌市長選挙・札幌市議会議員選挙)は4月5日までに、後半戦(そのほかの市町村長選挙・市町村議会議員選挙)は4月19日までに、それぞれ請求する必要があります。

投票所で直接、投票できない有権者のために不在者投票の制度が整っています。貴重な1票を無駄にしないよう、ぜひ制度を積極的に活用してください。


統一地方選挙 引っ越しで投票できない人も!

ただ、新年度の進学・就職や転勤などにより住民票をこの春移す人は注意が必要です。
実は、選挙人名簿の登録は、引っ越し先の自治体で住民登録後すぐ行われるわけではありません。その自治体に「3か月以上、住民登録していること」がまず必要で、その有権者を対象に、年4回(3月、6月、9月、12月)の定期的な登録(※「定時登録」といいます)と、選挙にあわせての登録(※「選挙時登録」といいます)が行われます。定時登録は対象の月の1日に、選挙時登録は公示や告示の日の前日に行われるのが通常です。

この時期、進学や就職などで住民票を移す人も多いと思いますので、いくつかの具体例から、どういう対応ができるのか見ていきましょう。

【ケース①就職のため札幌市内で引っ越す大学4年生】
道内には大学が多くあります。札幌市にある大学に市内の実家から通っていたAさん。この春、卒業して市内の企業に就職することになりました。就職を機に札幌市清田区の実家を出て3月20日に札幌市中央区に引っ越し、その日のうちに住民票も移す予定です。生まれ故郷の地域の選挙、ぜひ投票したいと思っています。この場合はどうしたらよいのでしょうか?

北海道知事選挙・北海道議会議員選挙、札幌市長選挙・札幌市議会議員選挙で、不在者投票をオススメします!

先ほど少し説明したとおり、選挙人名簿の登録は、引っ越し先の自治体で住民登録後すぐ行われるわけではありません。今回は「選挙時登録」により、それぞれの告示日の前日、3月22日(=北海道知事選挙告示日の前日)、3月25日(=札幌市長選挙告示日の前日)、3月30日(=北海道議会議員選挙・札幌市議会議員選挙告示日の前日)の3回、登録が行われます。Aさんの場合は、それぞれの登録の段階では札幌市中央区には3か月以上住んでいないので、実家のある札幌市清田区の名簿に登録されています。

では、選挙人名簿に登録されている場所から引っ越しても、投票はできるのでしょうか。統一地方選挙では、選挙人名簿に登録されている自治体から転出していないかどうかがポイントになります。これは、“国政選挙”と“地方選挙”の違いとして、公職選挙法に定められています。
もし、今回の選挙が国政選挙だった場合、Aさんの場合、東京に住民票を移していたとしても、選挙人名簿に登録されている札幌市清田区に戻って投票日に投票することもできますし(※清田区に設置された期日前投票所を利用することも可能です)、現実的に不在者投票を選ぶこともできます。
しかし、都道府県知事選挙や都道府県議会議員選挙、市町村長選挙、市町村議会議員選挙は“地方選挙”に位置付けられています。そのため、国政選挙とは違って、選挙人名簿に登録されている自治体から転出すると転出前の自治体で投票することはできません。転出先の自治体の選挙人名簿に登録されるまでは、転出前の自治体の選挙人名簿に登録されたままになるからです。
ただ、Aさんの場合、“北海道”“札幌市”内での引っ越しのため、選挙人名簿に登録されている自治体は変わりません。そのため、Aさんは4つの選挙で投票することができるのです。

ここで1つ注意が必要です。Aさんが投票できる4つの選挙では、登録されている自治体で投票する必要があります。もちろん、投票日に札幌市清田区に戻って投票することもできますが、新生活が始まってなにかとあわただしい時期だと思いますので、冒頭で具体的な方法を説明した不在者投票をおすすめします。

なお、進学や就職の際に住民票を実家のある自治体に残したままにする方もいると思いますが、不在者投票は手続きに手間がかかります。こうした手間を避けるためにも、進学や就職で実家を離れる場合は、住民票は忘れずに新住所地の自治体に移してください。もちろん、引っ越し先でさまざまな住民サービスを受けるためには住民登録が基本になりますし、特別な理由がない限り、引っ越した日から14日以内に移すことが法律で決められていますので、忘れずに。

【ケース②進学で札幌市から帯広市に引っ越す高校3年生】
札幌市で育った高校3年生のBさん。この春、帯広市の大学に現役合格。親元を離れて人生初、念願の1人暮らしを始めます。Bさんは3月20日に18歳になり、選挙権を得ての初めての選挙となります。Bさんは入学式直前の4月2日に住民票を帯広市に移します。どういう手続きをとったらいいのでしょうか?

北海道知事選挙と道議会議員選挙で期日前投票・不在者投票をオススメします。札幌市長選挙と札幌市議会議員選挙では、住民票を移す前にぜひ期日前投票を!

Bさんは、札幌市から転出したことがないので、3月20日に18歳を迎えたあと、北海道知事選挙の告示日前日、3月22日に選挙時登録で札幌市の選挙人名簿に登録されます。
北海道知事選挙と道議会議員選挙では、Aさんと同様に北海道内での引っ越しですので不在者投票を利用することができます。さらに、Bさんが転出するのは4月2日なので、住民票を移す前に札幌市の期日前投票を利用することもできるのです。
ただ、札幌市長選挙と札幌市議会議員選挙では、札幌市を出てしまうので住民票を移した4月2日以降は投票することはできません。住民票を移す前であれば札幌市で投票することができますので、転出前に期日前投票することをおすすめします。
ただ、告示日から投票日までに誕生日を迎える人は、期日前投票をする日に18歳になっていなければ、Bさんのように期日前投票を利用することができませんので注意が必要です!

【ケース③転勤で道外に出る社会人】
社会人のCさんは、この春、3年間務めた札幌支社から大阪支社に異動が決まりました。大阪市への引っ越しは3月20日に行い、その日に住民票も移す予定です。初めての関西ライフを楽しみにしているCさんの場合は?

▼北海道知事選挙・北海道議会議員選挙、札幌市長選挙・札幌市議会議員選挙→投票できません!
▼大阪府知事選挙・大阪府議会議員選挙、大阪市長選挙・大阪市議会議員選挙→投票できません!

Cさんは北海道札幌市で選挙人名簿に登録されていますが、AさんやBさんと違って大阪市への引っ越しにより、“北海道”からも“札幌市”からも出ているので、北海道知事選挙・北海道議会議員選挙、札幌市長選挙・札幌市議会議員選挙には投票することができないのです。

では、引っ越し先の大阪市ではどうでしょうか。
Aさんが引っ越し先の大阪市で選挙人名簿に登録される条件を満たすのは「3か月以上、住民登録していること」というルールに基づき、6月20日以降になります。それ以降選挙がなければ、選挙人名簿に登録されるのは通常、定時登録の9月1日になるので、今回の大阪府知事選挙・大阪府議会議員選挙、大阪市長選挙・大阪市議会議員選挙ではまだ大阪市で登録されていないため、投票することはできません。

札幌市選挙管理委員会では、異動届を出した人向けて届けを出した後の投票について解説したチラシを作り、各区の住民異動の窓口で配布しているということです。


引っ越しの際はきちんと手続きを!

引っ越しでは次の2点に注意してください。

①引っ越したら忘れず住民登録を
住民登録しないと新住所地の自治体では投票できません。
旧住所地で「転出届」を出したあと、新住所地に「転入届」を出さずに4か月が過ぎると旧住所地でも選挙人名簿から削除され、すべての選挙で投票できなくなります。

②郵便局に「転居届」を
選挙の際、投票所で使う「投票所入場券」は選挙人名簿に従って選挙管理委員会から送られます。
引っ越し後に旧住所地の自治体でなんらかの事情から突然、選挙が行われることもありえます。この場合、「知らない間に選挙が行われていた」という事態を避けるためにも、「投票所入場券」がきちんと新住所地に届くようにしておきましょう。
郵便局に「転居届」を出しておくと、1年間、旧住所あての郵便物が新住所に転送されます。

次の選挙に向けて、1票を無駄にすることがないよう、手続きを進めておくことをおすすめします。

2023年2月22日公開
2023年3月3日更新

 

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