ページの本文へ

NHK北海道WEB

  1. NHK北海道
  2. NHK北海道WEB
  3. ほっとニュースweb
  4. 【解説】白老町議会「自主解散」否決 そもそもなぜ?

【解説】白老町議会「自主解散」否決 そもそもなぜ?

  • 2023年2月6日

町長の辞職に伴い3月に町長選挙が行われる胆振の白老町で、町議会議員選挙を同じ日に実施して経費の削減などにつなげようと議会の「自主解散」を求める決議案が提出されましたが6日、採決の結果、否決されました。(苫小牧支局  臼杵良)

白老町では町長が1月、辞職したのに伴い3月5日に町長選挙が行われます。
これを受けて、町議会議員14人のうち10人が連名で町長選挙と議員選挙を同じ日に実施して経費の削減や投票率の向上などにつなげようと、11月の任期満了を前に議会の「自主解散」を求める決議案を提出していました。
この決議案について6日の本会議で審議が行われ、賛成する議員は「『自主解散』を求める陳情書が町民から出されていて、町民の声に耳を傾けるべきだ」などと主張しました。
これに対し反対する議員は「議論が深まっていないほか、選挙までの時間が短く、立候補予定者が十分な準備期間を取れない」などと主張しました。

地方議会の解散には特例法に基づき、出席した議員の5分の4以上の賛成が必要で、全員が出席して採決を行った結果、賛成は10人と必要とされる12人に満たず、決議案は否決されました。

白老町の議会は「自主解散」を検討しましたが、結局、実現しませんでした。なぜ、このような議論が繰り広げられたのでしょうか? 取材を続ける苫小牧支局の臼杵記者が“深掘り”します。

そもそも「自主解散」ってどういうこと?

地方議員は任期が4年で、4年ごとに選挙が行われます。この4年を待たずになんらかの理由で議会が「解散」すると、次の議員を選ぶ選挙が行われることになります。
議会の解散には複数のパターンがあります。住民によるリコール請求を受け住民投票を行った結果の解散、議会で不信任を議決された首長による解散、そして議員自らが解散を選択する「自主解散」です。

「自主解散」は、東京都議会の議長選挙をめぐる汚職事件をきっかけに1965年(昭和40年)に施行された特例法に基づく制度です。当時、多くの議員が議会の刷新を望んだものの、一部の議員の反対で総辞職できない事態に陥ったことから、特例法が制定されました。
特例法では「4分の3以上の議員が出席し、出席議員の5分の4以上が賛成した場合」に解散できることになっています。
「自主解散」となった場合、議員はその日のうちに失職することになり、選挙が行われるまでの間、議員は不在となります。選挙で開票結果が確定したら、当選した候補者はただちに議員となります。

「自主解散」ってよくあるの?

総務省によりますと、記録がまとまっている2007年(平成19年)度から2020年(令和2年)度までの期間では「自主解散」は道外で7例ありました。
例えば、2013年(平成25年)には、福岡県中間市で、市の元職員らによる生活保護費不正受給事件の責任はチェック機能としての役割を十分に果たせなかった議会にもあるとして、出席議員16人のうち13人が決議に賛成し「自主解散」となりました。また、2019年(平成31年)3月には、茨城県美浦村と徳島県石井町が相次いで「自主解散」しました。
一方で、愛媛県八幡浜市や三重県伊賀市など、議会が「自主解散」を審議したものの否決となったこともあります。

白老町議会では、どうして「自主解散」が議論されたの?

前の町長の辞職により3月5日に行われることになった町長選挙と日程を合わせるためです。
公職選挙法では、地方議会が解散した場合には、解散の日から40日以内に選挙を実施することが定められています。このため、このタイミングで解散すれば、3月の町長選挙と同じ日程で議員選挙を行うことができることになります。

そして、2つの選挙を同時に行う主な理由は2つです。
1つは選挙にかかる費用を削減すること。もう1つは選挙への関心を高め投票率の向上につなげることです。
1月、町民でつくるグループからは3月に議員選挙を実施すべきだとして「自主解散」を求める陳情が出されました。
この審議の過程で町の選挙管理委員会は、2つの選挙を別々に行った場合には合わせておよそ4000万円がかかるのに対し、同時に選挙を行った場合の経費はおよそ2800万円となり、1197万円の費用が削減できると説明しました。
また、記録が残っている1975年(昭和50年)以降の選挙では、2つの選挙が同時に行われた場合、議員選挙の投票率はおよそ87%でしたが、町長選挙が無投票となり議員の選挙だけが行われた4回の平均投票率はおよそ68%で、20ポイント近く低くなっているということです。
先に紹介した茨城県美浦村と徳島県石井町なども、首長を選ぶ選挙と議員選挙を同じタイミングで行うために「自主解散」したということです。

「自主解散」を否決した白老町議会。町議会議員選挙は当初の予定どおり、ことし秋に任期満了に合わせて行われる見通しです。

2023年2月6日

北海道の選挙をまとめています👇

ページトップに戻る