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別海高校 生態系を学んで防災・減災?!

  • 2024年2月9日

別海町の別海高校では、地域の生態系を学ぶ課外学習を今年度から始めました。実は防災に役立てる狙いがあります。どういうことなのでしょうか。
(中標津支局 原田未央)

【地域の生態系学ぶ「WAdo」(和道)】

生徒たちが熱心に取り組んでいるのはシカ革の加工体験。色とりどりの革を選んで糸で縫い合わせ、1時間ほどかけ小型のバッグを完成させました。実はこの体験、地域の生態系を学ぶ課外学習の一環なんです。

この学習、「Wild Animal Education in Hokkaido」から「WAdo」(和道)と名付けられました。対象は全学年の希望者で、部活動などと掛け持ちしながら現在14人が学んでいます。

学習が始まった去年5月。「和道」の中でどんなことを学んでみたいか、生徒たちが付せんに書き込みました。寄せられた意見からテーマを狩猟、クマ、ジビエ、野生動物の4つに決めました。

3年女子生徒
「生態系も自分で守る、授業とかそういうのができたらいいなと思って」。

別海高校 多加谷実教諭
「漁業とか酪農とかそういった部分で、野生動物の関わりが非常に多い地域だと考えております。その中で野生動物とか生態について学ぶ事はすごく意義がある」。

【専門的な知識を持つ講師から学ぶ】

課外学習は月1回程度、専門的な知識を持つ講師を招いて行われています。

7月はハンターと町内の森を散策し、野生動物の森の中での行動や、わなの仕組みを教わりました。
9月は、東京から料理人を招いてシカ肉を使った「ガパオライス」など一緒に料理しました。
12月は根室振興局の担当者を招いて、増えすぎたシカによる被害の実例を学びました。

【和道が目指す「防災・減災」】

こうした学習を、ゆくゆくは防災・減災にもつなげる狙いがあるといいます。

たとえば、エゾシカの食害は防風林にもおよんでいます。別海町内でも防風林の若い樹木の新芽が食べられてしまうケースが確認されています。また、食害で森が荒らされることで山の保水力が低下し、水害や土砂災害を引き起こす可能性もあります。

シカを含め地全体域の生態系を知り、バランスを守ることがめぐりめぐって防災・減災につながるのではないかと学校は考えたのです。

【生態系を通じた防災教育】

12月、地元の小学生と生態系の大切さを考えるイベントを開きました。

高校生たちは別海町でのクマの出没地図を小学生に示し、クマが身近な存在であることを紹介しました。
また、クイズなどを通して、野生動物の生態や関わり方をわかりやすく伝えました。
直接、防災・減災とは関係ありませんが、そうしたことの積み重ねが、大事だと学校は考えます。

別海高校 多加谷実教諭
「この地域の道東の自然に着目し、この自然が持つ防災減災能力があるはず。それを踏まえて活躍する人材になってくれればいいかなと考えています」。

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