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なぜ若者たちは投票に行かないの?投票率を上げるには?~座談会で旭川大学の学生に聞いてみました~

  • 2022年6月30日

『選挙』や『政治』について旭川大学に通う学生の皆さんとNHK旭川放送局の新人記者が考えてみました。 今回協力していただいたのは旭川大学経済学部で政治や選挙制度を学ぶ黒川伸一教授のゼミに所属する14人の学生たちです。参議院選挙の公示前日6月21日に集まってもらいました。

低い投票率 親世代の影響も?

最初に話題に上がったテーマは「投票率」についてです。前回の参議院選挙での20代の投票率は30.96%。この春まで大学生だった私も投票所に足を運ぶのは正直ちょっと面倒でした。なぜ若い世代の投票率は低いのか。学生たちが考える理由は…。

投票に対しての意識の低さが若者の投票率の低さにつながっていると思う。投票に行かなかったことで起こること、選挙の大切さを理解していないのでは。

そもそも高齢者と若者の母数が違うので、結局高齢者の投票が勝つのではないかと思ってしまう。若者は自分の一票ぐらい入れても入れなくても結果が変わらないと思ってしまうのでは。

なるほどと思ったのは、親世代の行動から影響を受けているという指摘です。

親が投票に行かないと、どうしても子どもが行くということにはなりづらい。投票率の低さは若者の問題ではあるけれど、親や家族の意識の問題という側面もあるのではないかと思っている。

親をはじめまわりの大人たちの関心の低さも理由のひとつかもしれません。

また、若い世代が現状にある程度満足しているからではという意見もありました。

昔の人は民意が政治にあまり反映されていないと思っていたから、『自分たちの意見を通したい』という理由で投票に行く人が多くいた。いまの人は最初から自分の意見が社会に反映されていて暮らしやすいと感じている人が多いので、投票に行く動機が薄いと思う。

若者を含めいまの日本人は平和で不自由なく暮らせるというのが大きい。

投票しようにも判断が難しい

話を進めていって気になったのが、投票しようとしても“何をもって投票すべきか”その判断が難しいという声です。

政策が難しくて分かりにくい。政党ごとに何が違うか分からないとかよくある。

初めて投票に行く前に、ネットで候補者の公約を調べてみたけれど、似ているものもあってすごく迷った。

候補者が何を考えているのか、どういうことを思っているのか目に付く機会が少ない。調べたら出てくるけど、見ようとする人には見えて、そうではない人にはまったく見えない状態。

確かに候補者や政党を評価して投票の判断材料にするのは難しいことです。判断するための情報を得るためにSNSを活用している学生もいました。

若者は新聞よりもSNS。

私がよく使うのはTikTok。インスタグラムでは選挙の話題が流れてくることが少ないけど、TikTokだと流しているうちに見えるので。コメントも見てどういう考えしているのかなとチェックしている。SNSを活用するのが分かりやすいかなと思う。

政治についての配信とかニュースもやっている。自分で見ようと思わなくても流れてくるので目に付く。

一方で否定的な意見もありました。

SNSは自分の見ているものに合わせてシステムが選んでくるので偏った思考になってしまうのでは。

僕はどっちかというと反対。情報リテラシーのない人がSNSを使ってはいけないと思う。新聞やテレビも含め投票の判断材料自体はいくらでもある。政党のホームページだってある。問題はその情報を取りに行かない若者。有権者としての意識があるかどうかにかかっている。

投票率どうすれば向上する?

それでは、どうしたら若い世代の投票率は上がるのでしょうか。

選挙に興味があっても行くのが面倒くさいという若者は結構多いと思うので、もう少し投票所を増やしたら気軽に行けるのでは。何かのついでに行こうと。無理だとは思うけど、コンビニなら行きやすい。

家でネットをやりながら『この人に投票したいな、じゃあ投票しよう』と。それぐらい簡略化したら若者の投票数が増えると思います。

“ネット選挙を実現すべき!”というデジタルネイティブのZ世代ならではの意見です。

さらに、投票所に足を運ばせる仕掛けを作ってみてはというアイデアも。

投票した後にQRコードから有名なタレントやモデル、俳優の特別な動画が見られるとか。ちょっとしたメリットがあれば行く人も増えるのかなと。

そして、最も多かった意見が“選挙についての学校教育の充実”でした。

高校時代は何のために選挙に行くのだろうと疑問に思っていた。授業で選挙制度について学んだ際に先生に聞いてみたら『とりあえず行ったほうがいいよ』と言われて。あ、そんなものなのかと。

高校で『この政党がこんなことをしています』などと、しっかり教えてくれると選挙への興味が出てくると思う。

学校で実際の政党や政策を題材に取り上げるのは、教育の中立性の観点から難しいと思いますが、投票率向上につながるヒントがここにあると感じました。

今こそ若い世代が声を上げるとき

私が今回の座談会で最も印象に残ったことば。それは「若者の投票率を上げるには今がチャンスだ」という前向きで力強い主張でした。

若者の投票率を上げるには今がチャンスだと思っている。若い世代は楽しいとか不自由なく生活できると感じていれば、わざわざ選挙に出向かない。けれど、新型コロナで修学旅行やスポーツの大会がなくなるなど、若者と社会のつながりがコロナ禍でちょっと広がった。政治にこういう対策をしてほしいと声を上げやすいのではないか。

彼らの青春の一部を奪ったコロナ禍。それに加え今まさに直面している物価高騰も若者の政治参加の原動力になると考えています。

僕はコンビニでバイトしていて、値札を値上げで変更する機会が多い。から揚げとか値段が上がっていて、お手ごろ価格からちょっと手を出しにくい価格になったなという自覚はあるので、ぜひそういうところも含めて候補者に政策を聞いてみたい。

政策と聞くと自分たちからは遠く感じるけれど、『すげー!ガソリン1回の給油で100円以上高くなった!』みたいな実感が、選挙や投票への第一歩になりえると思う。

旭川大学の学生だけで期日前投票所を運営します!

黒川ゼミの学生たちは7月5日の一日限定で大学内に設置される期日前投票所を運営します。大学では去年9月の旭川市長選挙と10月の衆議院選挙でも期日前投票所が設置されましたが、投票した学生は合わせて26人。投票数の少なさにゼミ生たちは危機感を持っています。そこで今回、期日前投票所の設置前に、選挙の仕組みや若い世代が望む政策などを学生たちで話し合う座談会を開く予定です。彼らの意気込みが学生の投票数増加につながるのでしょうか。その模様は後日公開の【学生が期日前投票所を運営してみた!】でお伝えします。

この記事を書いたのは…
旭川放送局記者 山中智里 

2022年入局 岩見沢市出身 旭川局で主に警察取材を担当
一見クールに見える学生の熱い思いにびっくり! 
その思いを多くの人に伝えていきたい

 

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