学校の行き渋り <番組内容>
今回のテーマは、「学校の行き渋り」。
●行き渋りとは?
年間30日未満の欠席、あるいは遅刻を繰り返す、保健室登校や行きたくないのに無理して行っている子どもたちのことを指す。(不登校に関しては、文科省が年間30日以上欠席することと定義づけをしている)
*不登校と言われる子どもたちは、約10万人と言われているが、行き渋る子どもは、その3倍、約33万人いるという調査結果も。
(※2018年日本財団「不登校傾向にある子どもの実態調査報告書」より)
*コロナの影響で、かなり急増しているのでは、と懸念している。(尾木ママ)
お悩みホゴシャーズ【息子たちの行き渋りに悩む マルベリーさん】(小6男・小3男)
「親子の中が険悪になってしまい、毎朝起こすのが辛い。
一度遅刻を許してしまうと、それが当たり前になってしまうのでは・・・と心配している」

お悩みホゴシャーズ【「学校に行く」と言うのに行かない息子に悩む、シマエナガさん】(高2男)
「『お腹が痛い、頭が痛い』と日によって違う理由で行き渋る息子。つい『学校に行くって言ったじゃないの!嘘だったわけ!』と声を荒げてしまう。いいことではないと分かっているけれど、自分に歯止めがかからない・・・」
●日々の診療で、親子のこころのケアを行っている 田中恭子先生(国立成育医療研究センター)解説
多くの子どもたちは、「学校に行きたい」のに、何らかの理由でしんどくなり、行けなくなっている状態。
親が登校を強いると、子どもは「学校に行けない自分=ダメな自分」と思い込み、徐々に自信を失くしていく。
ますます学校に行けなくなる、健全に生活を送ることも出来なくなるなど、深刻化してしまう可能性がある。

●マルベリーさんの息子さんたちは、なぜ学校に行きたくない?胸の内を聞いてみたところ・・・
・学校に行きたくないというより行く意味が分からなくなってしまった。
・新型コロナウィルスの影響で、学校で友達とワイワイ喋ったり遊べなくなったことで、楽しくないと感じるようになった。
しかし、
簡単に「休んでいいよ」とは言えない・・・
学校って行くのが当たり前だと思っていたから、「なんとなく行きたくない」という気持ちに共感できない・・・
という保護者の苦しい想いもある。
●休むことは子どもの心を回復させる大切なプロセス【田中先生解説】
行き渋りは、【家族】【学校】【心】など、様々な要因が複雑に絡み合って起こる。
その為、子どもは自分の気持ちをうまく言葉にすることが難しい。
学校に行く行かないではなく、学校に行けなくなりつつある子どもの辛さに共感をしていくことが大事。

●子どもの休む権利について【尾木ママ解説】
身体が悪い時や心が疲れた時は、休むのが当たり前なのだから、休んだってよい。
(2016年 文科省 「教育機会確保法 第13条」にも明記)
親として 子どもが休むことを肯定した結果、元気を取り戻した親子【リクガメさんのエピソード】(高2女)
リクガメさんの娘の行き渋りが始まったのは中2の秋。
リクガメさんのもとに学校から「登校していない」という連絡が入ったのだ。
近所を探しまわったところ、通学路の途中にある橋の上でひとりたたずむ娘を見つけた。

行き渋り始めた当初は娘自身も理由が分からなかったという。そして徐々に食事も摂れなくなっていった。
リクガメさんは、そんな娘の様子が心配になり、学校の担任や保健室の先生の相談しにいくと・・

そこで必ず言われたのは「学校行きなさいと言うな」「暖かく見守れ」「子どもにプレッシャーをかけるな」という言葉。「学校に行けるんじゃないの」という思いをぐっと飲み込み、声掛けを我慢するようになった。
そんなリクガメさんの変化を、娘は「お母さんは自分を受け入れてくれているのかな」と感じるようになり、徐々に心がほぐれてきたという。その中で娘も行き渋りの理由も見えてきて、親子の会話も増えていった。
リクガメさんも、娘の苦しみを知り、やっと、心から「休もう」と言えるようになった。
保健室登校から、教室まで通えるようになったが、今でも時々学校を休むことはあるという。
しかし、そんなときも、少し休んで、親子でゆっくりと過ごす時間を大事にすることで行き渋りと向き合っている。
●食事を摂れているか、睡眠時間がとれているか、親が気にかける「見守り」が大事【田中先生解説】
保護者が「学校を休む」ことを肯定することで、子どもの心のプレッシャーが減ってゆき、自分自身の事を考える時間が持てるようになる。
●我が子が元気になってまた歩んでいく未来を信じる【尾木ママ解説】
我が子の未来を信じることが大事。
そのためには、親も辛い気持ちを1人で抱え込まずに、カウンセラーの先生などに相談することが必要。様々な事例を聞くことで、我が子を信じる気持ちが湧いてくる。
「東京 親の会」行き渋りや不登校に悩む親が集まる場所
相談員や経験者に、悩みを話したり、情報交換も出来る。

代表の平野さんは、親自身のケアも大切だと考えている。
「悩みを共感することで、辛いことも頑張ろうと思えるようになる。」
「保護者が元気を回復していくことで、子どもにプラスにならないかもしれないが、子どものマイナスにはならないと思う。」
●「子どもに」ではなく「子どもと」一緒に考えてゆく【田中先生解説】
子どもの苦しさに気づいた時が、ベターなタイミング。親自身を責め過ぎないでほしい。
これからどうしていけるかな、ということを子どもと一緒に考えてゆくことが大事。

●学校に行けない=幸せのレールをはずれたわけではない【尾木ママ解説】
今は、いろんな学びの機会や方法、場所もある。これらの情報を子どもに教えることで、親が味方になれることもある。できることから始めていけばいい

※全国には、自分の子どもが行き渋っている、または不登校になっている保護者の気持ちを話したり聞いたりできる場所がたくさんあります。
★「教育相談室」(全国の市区町村に設置)
各行政HPに案内があります。
心理や教育の専門員が相談を受けつけています。保護者だけでなく、子どもも一緒に、または子どもひとりでも相談できます。「いじめ相談」や「フリースクール」「近くの医療機関」などの窓口紹介なども行っているところもあります。
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投稿者:制作スタッフ | 投稿時間:21:30 | カテゴリ:番組内容 | 固定リンク
ウワサの保護者会スペシャル「学びの地域差 学生のホンネ」<番組内容>
今回の「ウワサの保護者会」は特別編!
「学びの地域差 学生のホンネ」として、54分の枠で放送。
「いま、学びを守ろう。」キャンペーン
https://nhk.jp/manabitai
キャンペーンのホームページに寄せられた「地方であるがゆえの悩みや苦労」について話し合った。

テーマは、「学習機会」「ICT環境」「経済的負担」「地方では将来についての情報が少ない」の4つ。
・参加してくれたのは、北海道から沖縄まで全国の高校生・大学生、24人。
・ゲストは栃木県出身のタレント 井上 咲楽さん、
IT企業経営者 合田 文さん、
子どもたちを支援する 李 炯植さん(NPO法人 Learning for All代表理事)、
教育格差を研究・発信する 松岡 亮二さん(早稲田大学准教授)。

★「地域での学習機会」について 学生が感じること
・地元の電車が1時間に1本あるかどうか。送り迎えにかかる親の負担を考え、塾に行かずに受験を乗り越えたが、塾に行っていた友だちは希望の大学に受かっている子が多く、差を感じた。(岐阜県在住 高3 女)
・地元に進学塾はあるが、隣の県の都市に比べると、いい塾が少ない(群馬県在住 高3 男)
・家の近くに図書館が1つしかなく、開館の40分前に行っても、100人以上並んでいて入れないということも。(広島県在住 高3 女)
●学生たちが感じているこの地域差について 教育格差を研究している松岡亮二さんは・・・
「社会経済的地位」(親の世帯所得や学歴、職業など)と「地域」「性別」
この3つによって、本人には変更できない初期条件によって教育達成に差がある。
この差は、戦後ずっと続いてきている。
学生のみなさんが感じている差は、家庭の経済的なものと、親が大学に行くべきと思っているかどうかとプラスして、地域で(塾などの)リソースが少ないというものが常に重なっている

★一方、環境の差について「しかたない」と感じる声も…
・生まれた環境で格差が出てしまうのはしょうがないと思う(神奈川県在住 高3 女)
・小さな格差は、いずれは大きな差になるのでは。自分の夢をかなえるため、希望が通るためには、環境は大きな差につながると感じる(静岡県在住 高2 女)
・プログラミングを学べる場所が地元では少ないので、しかたなく独学で勉強をした。東京は人も多いし、日常的に浴びられる情報の質や量が圧倒的に違う。
夢に向かって飛び立ちたいときに、青森県だと夢に飛び出すための滑走路が短く、自分で滑走路が長い場所に行かなきゃいけないと感じる。(青森県在住 高3 男)
●差があることそれ自体は防ぎようがないことだが「取り除くべき格差は絶対ある」と語る 李 炯植(り ひょんしぎ)さん
教育格差の要因である貧困や虐待などを「取り除くべき格差」として子どもたちに無償の学習支援や、居場所支援などを行っている。
環境を大人や社会が用意すれば、子どもたちの可能性は変わることを実感している。
一方で、夢を諦めざるを得なかったり、色んな不利益を被ってる人は多く、本人がどれだけ努力しても「与えられたスタートライン」が違い過ぎる現状がある。
これは「取り除くべき格差」だと思うので、社会がきちんと取り組んでいくべき。

●VTR取材でとりあげたのは・・・
★地域による教育の差を埋めるツールとして期待されている「ICT環境」。
その事例として、5年前からいち早くICT環境の整備を進めた、愛知県の豊根村を取材。
自治体での導入までのいきさつや、学校でうまく学びに活用する方法などについて考えた。
★地域で感じる「経済的負担」については、上京する大学生のために、学生寮を提供する民間の支援団体「あしなが育英会」を取材。
学生への金銭的支援・居場所支援について、利用する学生の声を聞いた。
「あしなが育英会」・・・病気や災害で親を亡くしたり、親が重度の障害がある高校生や大学生を支援している。
★さらに「地方では将来像をイメージしにくい」「将来についての情報が少ない」という不安の声については、京都府京丹後市の「ルーツ」を取材。
「ルーツ」・・・市の委託事業として去年10月にオープンし、街を出たい高校生も残りたい高校生もその将来を応援してもらえる場所。相談員が1人ひとりに寄り添って情報をくれる。

●4つのテーマで 学生の声に耳を傾けた感想は・・・
・合田 文さん「大人たちも学生の意見を吸い取って、政治や仕組み作りに生かしたりギブアンドテイクなんじゃないかなと感じた」
・井上 咲楽さん「地域で思考が狭くなっちゃうところだけ、もったいないと感じるのでいろんなものに触れていくチャンスは平等にあって欲しい」
・尾木ママ「学生側は、不満や怒りの気持ちは、声を上げていかなきゃいけない。我々は、子どもの声をしっかり聴いて、子どもとパートナーシップでコロナの時代をどう乗り越えるかというところに、踏み出すことが重要。」

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投稿者:制作スタッフ | 投稿時間:21:00 | カテゴリ:番組内容 | 固定リンク
父が知らない娘のホンネ<番組内容>
今回は、ピーナッツさんという5人の娘を持つお父さんのお悩みをじっくり取材してみると・・・
娘3人の口からは、親には言いづらいという本音が飛び出した。
ゲストの つるの剛士さんと、鴻上尚史さんとともに、考えます。


A)次女・小学5年生の娘についてのお父さんの悩みは2つ。
1、姉妹の中で、一番反抗的な態度をとる
2、好きなキャラクターにお金をつぎ込んでしまう・・・。
親の目から見ると、「今は熱い思いでも、いつかは飽きるんじゃないかな、もったいないんじゃないんかな」と思い、「貯金したら」とアドバイスをする。

●娘さんに話を聞いてみると・・・
1、一番反抗的な態度をとることについては
「はい分かりました」っていう感じにできない。
ちょっとなんか、気に入らないときがある。
ムカつくしかない。でもなんか親に強い口たたいたら怒られるから、ちょっと嫌だな。
(態度を)直したいけど、なんか直せない。
2、キャラクターを集めていることについては
(思春期のもやもやした気持ちを)グッズを見ることで癒される。
(嫌なことを忘れて)かわいい、ってなる。
その気持ちを、お父さんに言っても、分かんないかなと思う。
でも自分の中では、これが一番楽しいお金の使い方。
●3人からのアドバイス
★つるの剛士さん
・思春期の気持ちを「なんだかよく分からない」って言っていたが思春期ってたぶんそういうもの。自分もコントロールできないから、ましてや親がコントロールなんかできるわけない。
★鴻上尚史さん
・「ムダになるから」とか言ってたら、ダメ。
・人生相談の連載をやっていて、一番悲しいなと思うのは、「なんにも興味を持てないんです。
それで大人になりました。ハマったことはなにもありません。どうしたらいいでしょう。」という悩み。ハマってることは素敵なこと。
★尾木ママ
・特に10歳を超えると、女性ホルモンが、火山が噴火するように爆発する。
脳だけではなく、心も体ももうグラグラになって、その変化に、自分自身がついていけず、意図せずにイライラする。一番つらいのは、子ども自身。
そんな時に、「貯金しなさい」「使い過ぎ」というような正論をぶつけても、通用しない。
・お金の使い方について話す時は、子どもの好きなキャラクターとは、切り分けて、一般論として話す。一緒にして話すと、子どもは「好きなキャラクターを否定された」と受け取ってしまう。切り分けて、例えば、ニュース番組を見ているときに、ネット詐欺の話題などをきっかけにして、「高額で売っている商品が安く売られたりしてると、それは詐欺の危険もあるよ」などと話して、見極める力をつけることが大事。

B)三女・小学3年生の娘についてのお父さんの悩みは2つ。
三女は、上2人が塾や習い事で家にいないときに、下の2人の面倒を見てくれる、しっかり者!
しかし、そんな娘が最近、お父さんにとっては「ささいなこと」で怒るという。

1)例えば、姉2人に消しゴムをたまたま買って帰ったら、「私にも消しゴムを買ってきて欲しかった!」と、突然怒られたそう。
2)また、お父さんが妹の面倒を見ているとき、話しかけてきたみこさんに、「後でね」と言ったあと、しばらく時間がたってしまい・・・
「後でって言ったじゃん!」とまた、怒られた。
お父さんとしては、5人の娘を平等に扱っているつもり。
年に1、2回ずつ、1対1でテーマパークなどに遊びに出かける日も作っている。
●しかし、娘さんに話を聞いてみると・・・
(お父さんと、1対1でゆっくり話してる時間について)
「そんなにない。一番上のお姉ちゃんがもう中学生だから、いろんなことがあるから、基本的に、妹たち2人とお姉ちゃんの話が結構多い。
(話を聞いてもらいたいときはどうするの?)
「ガマンする。小さいの子のほうが優先的になっちゃってるから。
妹たちのほうがまだ小さいから、小さい子のほうの話を聞いてあげたほうがいいのかなって思うから、そういうのはガマンできる。」
生活の中で、もっとお父さんと話したいのに、日々ガマンしていた娘。
(お父さんのことをどう思っているのか聞いてみると・・・)
「一緒に遊んでくれて、面白いことをしてくれたり、たまには抱っことかもしてくれます。」
●3人からのアドバイス
★つるの剛士さん
・家庭の中で、一番空気を読みますよね。きょうだいの真ん中は。うちも同じ。
★鴻上尚史さん
・一人ずつ、テーマパークに連れていかれるのは本当素晴らしい。
・でも、二人だけに消しゴム買ってしまったのは、これは「やってしまいました」ね。「たまたま」今二人いるから、という状況でも、全員に買うべき。
・今日ピーナッツさんは、娘が我慢していというSOSを聞いて、よかったと思います。
★尾木ママ
・3人子どもがいる場合は「平等にしているよ」だけでは、足りない。
一人一人全員に「あなたの事が一番好きなんだよ、大事にしてるんだよ」ということを言葉でも態度でもしっかり伝えよう。全員に「一番」と言っていい。一番がね、5人もいるわけないけれども。

C)長女・中学2年生の娘についてのお父さんの悩み
1、家で全然勉強せず、成績がなかなかあがらない。来年は受験だし、自分から勉強に向かっていくところを見たい。
2、「勉強して!」と言っても、「わかってるよ!」と反抗的な態度をとられ、勉強してもらえない。

●娘さんに話を聞いてみると・・・
・家で勉強しないことについて
姉妹の人数が多いから、ケンカも多いし、言いあいとか結構すごい。
楽しいけど、ガヤガヤしてる感じが結構あるので。勉強もあまり集中してできない。
塾に行っていて、塾では集中できる。
・反抗的な態度をとることについて
自分的に言うと、友達と比較しても、あまり、反抗期はないほうだと思う。
お父さんと仲いいし、悪いところや直してほしいところもない。
お父さんが、塾の塾の送り迎えをしてくれる、「1対1の時間」が大好きで、好きな人や気になってる人の話もする。
●3人からのアドバイス
★つるの剛士さん
・当時塾に通っていた長男に、「そんなに勉強しないんだったら、もう塾辞めなさい」って言い、「逆にパパが代わりに行く!」って言って、その塾に自分自身が行った。
すると、勉強が楽しくなってきて、「僕も40になって、勉強が楽しくなっているから、まあいつかは勉強楽しくなる時来るんじゃないかな」と思い、それからもう子どもたちに勉強しなさいって言わなくなった。すると今、「勉強しろ」と言わなくても、やってるかもしれない。
★鴻上尚史さん
・子どもは「親が言うこと」ではなく、「親がすること」を真似するの。
・親が何かに興味を持って、本を読んでたりすると、子どもは読むようになり、勉強するようになる。
・うちは、僕は1回も「勉強しろ」って言った事ないけれど、それは僕が、家でずっと原稿を書いて本を調べて、とやっているから。
ピーナッツさんも、家で勉強しようと、何か始めると、娘さんは分かってくれるのでは。
★尾木ママ
・思春期の子どもに、命令的な声かけはダメ。
親が危機意識を持って「勉強しろ」言っても、子どもがその危機感にはなってない。
子どもの危機感をベースにして、話し合うことが大事。

最後に、尾木ママからのメッセージ
1日5分でもいいので、日常の中で努力して、隙間時間を見つけて子ども一人ひとりと向き合おう。
1対1で向き合った関係の中で、子どもは親の愛情を感じる。
これが、思春期のすごい支えになる。
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投稿者:制作スタッフ | 投稿時間:21:30 | カテゴリ:番組内容 | 固定リンク
いつから始める?性教育<番組内容>
今、子どもの性教育が注目されている。
その背景には、子どもの性被害防止への関心の高まりや、学校の性教育に不安を抱く保護者のニーズがあるという。一方で、アンケートをとってみると「子どもに性について話すことに抵抗がある」「親が伝える必要があるのだろうか」という声も多かった。
保護者はどう向き合っていけばよいのだろうか?

今回のゲストは、性教育の専門家・村瀬幸浩さん。
もともと保健体育科の高校教諭だった村瀬さんは、およそ半世紀にわたって性教育に携わり、現在も講演や執筆活動を行っている。

子どもに性について伝える試み
~タツノオトシゴさん家の場合~
小2の娘と5歳の息子がいるタツノオトシゴさん。子ども用の本棚に性教育の絵本や漫画を置くなど、家庭で性について当たり前に話せるような環境をつくっている。

実は以前、タツノオトシゴさんは生理中で体調が悪かった妻のじゅりさんに対して気遣えず、傷つけてしまったことがある。このとき初めて、性の知識が足りないことを自覚し、子どもたちにも正しい知識を持ってほしいと思うようになった。実際、子どもがお風呂で生理中の母の体調を気遣うなど、性の知識が伝わっていると実感することもあるという。

<村瀬さんのアドバイス>
・子どもに性について質問された場合、否定したりごまかしたりするのはNG!とっさに答えが浮かばないときは、「いい質問だね、調べておくよ」と言って、後で調べてきちんと答えてあげるとよい。
・子どもが知りたいことと、大人が答えなくてはいけないと考えていることが、大きく異なる場合もある。「どうしてそういうことを聞こうと思ったの?」と、子どもの疑問に寄り添うことが基本。
・思春期を迎えると、性について親に聞かなくなる。子どもが質問をしてくるうちにしっかりと向き合うことで、「性について話してもいいんだ」と子どもが思える信頼関係を築くことができ、トラブル回避につながる。

日本の性教育の現状は?
~海外と比べて~
日本と海外の性教育に詳しい埼玉大学の田代美江子さん。
性教育の国際的なスタンダードとなっている、ユネスコの『国際セクシュアリティ教育ガイダンス』の訳者の一人である。

日本の教科書は海外の教科書と比べて、性について学ぶのに必要な情報が足りていないという。
例えば、ドイツでは、8~10歳向けの生活科の教科書で、性交についてイラストや文章でしっかりと説明がなされているが、日本の学習指導要領には、「受精に至る過程は取り扱わない」との「歯止め規定」がある。
<田代さんの見解>
・体や性は自分自身を形づくるもの。子どもが発達段階に応じて性について正しい知識を身につけることで、自分自身を大切な存在だと思えるようになる。すると、他者の権利も尊重できるようになり、よい対人関係にもつながる。
・小さいうちから性をポジティブに捉える基盤を作ることで、深刻なトラブルを避けることができるようになる。
小学校における性教育の新しい試み
大阪市立生野南小学校の1年生の授業。
子どもたちは、水着で隠れる場所について確認した後、体の様々な部位を触られるとどんな気持ちになるかを考えていく。体を触られて嫌な気持ちになったとき、たとえ相手が身近な大人であっても「嫌だ」と意思表示をし、信頼できる大人に相談してよいということを学ぶ。

<村瀬さんのアドバイス>
・性犯罪の加害者にも被害者にもならないために、子どもにまず伝えたいのが「プライベートパーツ」、つまり「水着で隠れる場所(胸、性器、お尻)+口」のこと。
・そもそも体はすべてその人のものだが、プライベートパーツはその中でも特に他人が触ったり、触らせたり、見ようとしたり、見せたりしてはいけない部分。
・たとえ親であっても、お世話や看護で必要な場合以外に、子どもの性器やお尻をふざけて触ることは避けるべき。プライベートパーツを触ることが「好き」の表現だと教えてしまうことになりかねない。すると、体を触られても拒否できず被害者になったり、逆に相手が嫌がっているのに触ってしまい加害者になったりするリスクがある。
生野南小学校では、1年生から6年生まで「性・生教育」の授業が続いていく。
2年生では妊婦体験などを通して赤ちゃんについて学ぶほか、5年生では恋愛やDVについて、6年生では結婚や子育てについて考えていく。

<性教育とは>
・性教育は自分と社会との関係について考えたり、人間関係をどう作るのかを学んだりするための重要な学び。(尾木ママ)
・性教育は性器や性交についてだけではなく、家族とは何かというような大きなテーマを含む。そういうふうに考えて、勉強してみようかなと思っていただけると嬉しい。(村瀬さん)

最後に・・・
<すでに思春期のお子さんがおられる保護者の方にも、村瀬さんからのメッセージ>
性教育を始めるのに、遅すぎるということはありません。親は子どもに対し「性についての疑問があったらいつでも聞いてね」と、子どもが安心して性の会話ができるという雰囲気や姿勢を示すことが大切です。そのうえで、性教育に関する本や、信頼できる性教育の動画やサイトを提示するのもよいでしょう。
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投稿者:制作スタッフ | 投稿時間:21:30 | カテゴリ:番組内容 | 固定リンク
どうする?子どものSNSトラブル<番組内容>
ウワサの保護者会!今回は「子どものSNSトラブル」。
今や、中高生はもちろん小学生もスマホを持つのが当たり前の時代となった。
そこで保護者を悩ませているのが、子どものSNSトラブル。

子どもがSNSで思わぬトラブルに巻き込まれたときどうすればよいかを考える。
<尾木ママの意見>
・スマホ保有率は年々増え続け、子ども達にとってSNSは人間形成の場としても重要になっている。
しかし、子ども達のSNSリテラシーが追いつかずトラブル多発!親もじっくりと考えなくてはいけない。
<ホゴシャーズの悩み>
・ネクタリンさん「自分が子どもの頃はなかったツールなので、具体的なアドバイスができない」
・ユキヒョウさん「子ども(小5)にスマホを持たせたとき、トラブルに対応できるか不安」
◇子どものSNSトラブル[1] 息子がチャットで返信が遅いと責められた◇
ベルガモットさんの中2の息子はグループチャットで返信が遅いといつも責められていた。
自分にも事情があることを伝えるよう助言するが、状態は悪くなるばかり。

悩む息子を見かねた父親は、結局スマホを没収するしかなかった。
息子はトラブルから解放されて安心したと話す。

<ホゴシャーズの感想>
・ネクタリンさん「子どもがスマホを取り上げられて安心したというのに驚いた」
・ユキヒョウさん「子どもが困っていても、パッと取り上げることができるのか不安」
<尾木ママの見解>
・子どもたちの生活にSNSがどっぷりと入り込んできている
・スマホを取り上げたのは良い判断。いざというときは親が守ることが大切。
◇子どものSNSトラブル[2] “SNSいじめ”にあうことも・・・◇
カシューナッツさんの娘はグループチャットで中学1年から3年まで繰り返し悪口を書かれ続けた。

親子喧嘩で偶然その事実を知ったカシューナッツさん。
しかし、話を聞いてなぐさめることしかできず、無力感にさいなまれた。

カシューナッツさんは、どうしてSNSいじめに気付けたのか・・・?
カシューナッツさん「イライラした様子の娘と喧嘩が始まり、そこから話を聞いていくと娘が打ち明けてきた。」しかも「お父さんやお母さんに心配かけたくなかったから言わなかった」という。
<尾木ママの見解>
・親子喧嘩を通して偶然知ったというが、全然偶然ではない。必然となる、親子の信頼関係があった。だから、日常の生活の中の親子関係作ることが大切。
・信頼できる親子関係があれば、子どもからサインを出してくるはず。
子どもの変化に気付き、SNSでトラブルがあると分かったらどうすればいいのか?
◇「子どものSNSトラブル」に対して、親が注意すべきこと◇
<専門家の情報>
子どものSNSの問題に詳しい、兵庫県立大学環境人間学部准教授の竹内和雄さんからのアドバイス。

[1] 1人で抱え込まない
先生やカウンセラー、いろんな人に相談をする。ただ、子ども自身が「こうしてほしい」という具体的な策を持っていることもあるので、まずは子どもの話を聞くことが大切。学校に相談する場合は、複数の先生に頼ることが重要。先生もまた一人で抱え込んでしまい、うまく解決につながらない場合があるからだ。
[2] SNS上で解決を目指さない!
文字だけでは自分の状況が十分に伝わらず、誤解がなかなか解けないことがある。
実際に会うことで、相手の抱えている事情がよく分かることもある。

<尾木ママの見解>
・母親が弱気にならず覚悟を決めて動くことで、子どもの力にもなる。
・色々な相談窓口に頼ってほしい。解決の糸口は必ず見つかる。
・SNSトラブルの解決もリアルな“人との信頼関係”が基礎になる

◇SNSについてのルールを作った学校◇
長野県にある松川高校にはスマホルールがある。
そこには「SNSに誹謗中傷を書かない」というルールも定められている。

このルールを作ったのは、なんと生徒たち。きっかけは、学校がスマホの使用を禁止するかもしれないと告げたこと。授業中にスマホを触る生徒がいたためだ。そこで、吉村さんたちは学校側の動きを阻止するために、スマホのルールを作ろうと考えた。

当時、同級生の間で度々SNSによるいじめが起こっていたことも、その理由の一つだった。
二人は、全校生徒を巻き込んで話し合いの場を作った。すると、実は、多くの生徒がSNSの誹謗中傷を目にしながら、何もできずにいたことが分かった。

吉村さん「(誹謗中傷を)私も見た、俺も見たっていう意見はやっぱ出てきて、『変えなきゃ』って言ってる意見ももちろんいっぱい出てきた」
議論を重ねた結果、授業中にスマホを使わないようにすることだけでなく、「SNSの誹謗中傷もなくしていこう」という機運が生まれた。
ルールができて、およそ1年半。二人の志は、後輩達にも受け継がれている。
<尾木ママの意見>
・自分たちの問題は自分たちが一番分かっている。
ルール化し、それを守っていく事により学校のスマホ文化が根付いていく。
・トラブルを完全になくすことは難しい。だから、親子関係をどう築くのかが大事。
トラブルが起きても、相談しあえる親子関係があれば解決に向かっていく。
<SNSトラブルに巻き込まれた場合の相談窓口>
★文部科学省 24時間子供SOSダイヤル(0120-0-78310)
都道府県及び指定都市教育委員会に相談窓口が設置されています。
24時間子供SOSダイヤル「0120-0-78310」に電話をかけると、お近くの教育委員会の相談窓口につながります。
夜間・休日を含めて24時間対応しており、子どもも相談できます。
★警察相談専用電話(#9110)
全国の警察本部などに相談窓口が設置されています。
警察相談専用電話「#9110」に電話をかけると、お近くの警察本部などの相談窓口につながります。その場で専門の相談員が対応する場合や専門の担当部署をご紹介する場合などがあります。
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投稿者:制作スタッフ | 投稿時間:21:30 | カテゴリ:番組内容 | 固定リンク