ホームエデュケーションって何?<番組内容>
ホームエデュケーションって、知っていますか?
いま増えつつある、学校に行かない子どもたちが実践する学びの一つ。そんな子どもたちの教育に長年携わってきた朝倉景樹さんをスタジオにお招きして、ホームエデュケーションについて考える。
ホームエデュケーションとは?
家庭を拠点にいろいろな社会の資源を生かして学んでいくこと。学校のように時間割に沿って家で学習するやり方や、子どもの興味・関心を中心に学んでいくやり方などがある。北欧やイギリスなど多くの国で義務教育としても認められている学び方だ。
ホームエデュケーションを実践する2人の小学生
<あきらくん(9歳)の場合>
ホームエデュケーションで学ぶあきらくんのある一週間がこちら。
ヒヨコの餌やりのあと、午前中はお母さんのマコモさんと教科学習をする。国語と算数、英語は毎日勉強する約束だ。その後は自由に過ごす。この日は、ドラムの練習をした。
友達と遊ぶ時間も大切にしている。
ホームエデュケーションをしている子どもたちが週1回集まって外遊びをする会に、ほぼ毎週参加している。
あきらくんが今のような生活をするようになったきっかけは、新型コロナで学校生活が一変したことだった。
あきらくん「(鼻炎があって)マスクをするのがイヤで、学校では遊ぶ時間もちょっとだけでずっと勉強だし。
でも、学校が悪いと思っているわけじゃなく、俺が行きたくないと言ったから。
いつもの家にいる俺と違うなと思って。」
そこで両親は、知人も実践していたホームエデュケーションをやってみることにした。
そんなあきらくんが最近のめりこんでいるのがゴーカート。イギリス人で、車のエンジニアであるお父さんに、エンジンの仕組みやチューニングの仕方を教えてもらっている。
時々、サーキットに行ってゴーカートを走らせる。ゴーカートを通して大人の知り合いもどんどん増えている。それ以外にも、ボランティアやスイミングなどやりたいことでいっぱいだ。
あきらくん「やっていて楽しい。俺が思っていたのと合っているという感じ。」
<まさとくん(12歳)の場合>
まさとくんは小学生になってからほぼずっとホームエデュケーションで学んでいる。
小学校1年生の頃から、学校になじめなかったまさとくん。母のローリエさんは悩んだ末、学校に無理に行かせず、まさとくんが楽しめることを探した。実験や工作などいろんなことをやっていく中で、、まさとくんが一番興味を持ったのが、伯父さんがくれたパソコンだった。
そんなまさとくんの1週間は、ほとんどがパソコン関係。
週に2日、プログラミング教室に通っている。
一つは、本格的なプログラミング言語を教えてくれる教室。
そこでは、小学生ではやらないような、大人が学ぶレベルのプログラミングを学んでいる。
もう一つは、同年代の子どもたちと遊びながら学べる教室だ。
さらに、プログラミングを追究するため英語も学んでおり、海外に留学する目標を持っている。
まさとくん「中途半端なくやれる。自分に合うと思ったことはとことん突き詰めていけるのがいいと思います。」
ホームエデュケーションを始めるまで
ローリエさん
・不登校になった息子を最初は一生懸命学校に行かせようとしたが、そうするとどんどん衰弱していってしまった。
・断崖絶壁に立たされたような気持ちだったが、思い切って公教育を降りてみた。
・すると、学校に彼を合わせるのではなく、彼が何をやりたいか、どう生きたいかを中心に探していけばいいと気づき、そこからすごく楽しく道を探っている。
ホームエデュケーションについて気になること[1]
学校との関係は?
マコモさん
・先生が気にかけてくださって電話をくださったり、家で一緒にドラムを演奏したり交流がある。
ローリエさん
・月に一度学校に状況報告に行く。
・担任、校長先生ともに息子の成長を喜んでくださり子どもを真ん中に据えて立場を超えて話し合える関係性になっている。
尾木ママ
・お二人のお話聞いてほっとした。子どもファーストで歩み寄っておられて素敵だと思う!
朝倉景樹さん
・ホームエデュケーションの子どもは小・中学校の場合は、多くは地元の学校に籍を置く。
・その小・中学校を卒業することができる。
ホームエデュケーションについて気になること[2]
親が大変では?
マコモさん
・教科学習を親が教えるのは難しく、今も試行錯誤している。
・お金もかかるが、子どもが一生懸命好きなことをしていると周りの方がゴーカートをくれたりすることも。親だけでは無理で周りの方にたくさん助けてもらっている。
ローリエさん
・自分の仕事もある中、スケジュールの管理が大変。
ホームエデュケーションについて気になること[3]
周囲の人はどう受け止めている?
マコモさん
・自分はホームエデュケーション家族のコミュニティがあるので気にならないが、祖父母や親せきが心配したり、学校に行かせたいお父さんと、無理やり行かせなくてもいいというお母さんの意見が合わない、ということはよく聞く。
海外のホームエデュケーション事情
アメリカでは、およそ200万人がホームエデュケーションを実践しているといわれる。支援する団体も多数あり、その草分け的存在が、ミシガン州にあるクロンララスクールだ。その創設者であるパット・モンゴメリーさんに話を聞いた。
1978年からホームエデュケーションの家庭のサポートを行っていたが、当時は「学校に行かないことを助長している」と周囲から繰り返し批判されたこともあった。しかし、パットさんたちは活動を続け、90年代にはアメリカのすべての州でホームエデュケーションが法律で認められるようになった。
パット・モンゴメリーさん(クロンララスクール創設者)
・法律で認められるようになると、おばあちゃんや近所の人、親戚などが心配しなくなった。
・批判もしなくなり、「家で学んだ子は大学なんて絶対に行けない」などと言わなくなった。
・最も大切なのは、大人が子どもを信じること。自分の子どもを信じてください。
日本での法整備や支援は?
育教育機会確保法(2016年)があり、学校外の学びを認めている。フリースクールに通う子の家庭に費用が援助されたり、学校に行かない子どもを支援する活動に助成が出る場合もある。
全体を振り返って
マコモさん
・その子に合ったいろいろな学びがあるといいし、そうしたコミュニティが広がるといい。
ローリエさん
・息子の場合はつながる先がたくさんできて、恵まれているが、初めて「ホームエデュケーショをやろう」という方もいろいろな人たちと繋がれるといい。
・いろんな人たちと一緒に育ててもらえると思えると可能性も広がるし心強い。
朝倉景樹さん
・ホームエデュケーションを始めるとき、お子さんがいきなり何かに夢中になるものを見つけられるとはかぎらない。
・ぼーっとしていたりテレビやゲームの時間が長いかもしれない。そういうときは、無理に「何か夢中になれることを見つけなさい」というのではなく、「今、この子は疲れていそうだから休んだ方がいいかもしれない」や、「今うちの子はどういうことを体験しているんだろう」と受け取ることが大切。
尾木ママ
・本来学びは大人が押し付けるものではなく、子どものためのもの。どんな子も本人にとって一番いい、学べる方法を見つけることがすごく大事だと思います。
END
投稿者:制作スタッフ | 投稿時間:21:30