2020年05月30日 (土)

長期休校 子どもたちの思い<番組内容>

新型コロナウイルスの影響で子どもたちの生活は大きく変わった。
学校に行けない、友達に会えない──。

そんな中、子どもたちは何を思い、どう過ごしてきたのか。
今回は、ゲストに哲学者・教育学者の苫野一徳さん(熊本大学 准教授)を迎え、「子どもたちの思い」をテーマに話し合う。


休校中の思いを子どもたちに聞いた。

いつきさん【中3男】
大好きな学校に行けなくて ずっとイライラしていた
最後の年なのに部活ができなくてつらかった

ゆうかさん【中1女】
休校になって ずっと友だちと遊べなかった
学校が再開して 前みたいに仲よくできるか心配

いきものさん【小3女】
先生に教わってないので 勉強を進めることができなかった
学校で授業のスピードが上がったら ついていけるか不安



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【尾木ママ】「もし授業のスピードについていけなかったら、正直に速すぎる、わからない、つまらないと、先生に言っていいのよ。親も子どもが大変そうなら声を上げてあげてね。」



感染拡大により、「当たり前」の日常を奪われた子どもたち。不安や不満の声がたくさん寄せられた。

一方で、ふだんできないことに挑戦した子どもたちもいた。

料理好きのねいろさん、小学5年生。
休校期間中、お母さんの勧めで挑戦したのが、魚をさばくことだ。ネット動画をたよりに、探り探りさばいていく。
気づいたことは、ノートにまとめている。
「自分でやってみたほうがいろいろな発見があり、もっと他の魚をさばいたり料理をしたりしてみたい」
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中学3年生のたまきさんは、理科の実験が大好き。
勉強中の滑車について、教科書だけではよくわからなかったので、自分で滑車を作り、実験をしてみた。
さらにそれをパソコンでレポートにまとめた。
好きなことをしているので、一日があっという間にたつというたまきさん。「自分の好きな勉強は、無理に覚えようとしなくてもさっと頭に入ってくる」という。
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【苫野さん】「学びは、本当はとんでもなく楽しいしワクワクするもの。子どもは学校や大人から「あれをしなさい」「これをしなさい」と言われるうちに、勉強は嫌なものだと思うようになってしまう。二人の実践は、本来の学びの姿を思い出させてくれるものだと思います。」


子どもたちからは、他にもたくさんのメッセージが寄せられた。

がくほさん【小4男】
テレビや動画は見飽きて 他にやることがないから
ゲームをやるしかなかった

そうたさん【小5男】
何をすればいいかわからなくて ダラダラしてた
寝る時間が遅くなり 朝起きられなくなった


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【尾木ママ】「家で自分で生活リズムを作るなんて、大人だってなかなかできない大変なことよ。乱れちゃっても仕方がないわよ。でも、学校が始まれば、ちゃんと戻るから大丈夫!」


持て余した時間を、こんな風につかったという女の子がいた。

お母さんの勧めで家族3人分の夕飯づくりを担当した高校2年生のみきさん
お母さんから課された条件は、「予算は一週間で5千円。余ったらお小遣いにしていい」。レシピを研究し安い食材をさがす。
「切り詰めるのがゲーム感覚で楽しかった。一人暮らししても大丈夫、という自信がつきました。」
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【尾木ママ】「みきさんは、お手伝いという実践を通して、生きる力をみがいたわね!!」

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【苫野さん】「親御さんは、みきさんをみて、自分の子どもにもさせなきゃと焦る必要はありませんよ。みきさんの場合は、予算内で買うことをゲーム感覚でできたのがハマったので、子どもの気持ちになって、どうしたらやる気になるかを一緒に探してみてください。」


休校期間中に、苦手な運動にチャレンジした男の子もいた。

体育が苦手なこうきくん
休校中、自分のおなかの肉を見てショックを受け、痩せようと決意。自分のペースでできるジョギングを始めると、汗をかく気持ちよさや運動の楽しさを知った。
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【苫野さん】「体育に限らず、日本の教育は得手・不得手が如実にわかり、苦手意識を持つ子が多くなるんです。それで生涯運動嫌いになったら、もったいない話。こうきくんの例のように、自分のペースでできる多様性が、日本の教育にも求められますね。」

★補足情報★ 
苫野さんによると…
イモムシのようなモコモコした専用ウェアを着て行うラグビーや、せっけんの泡を手に付けてプレイするハンドボールなど、身体能力や障害の有無などにかかわらず、みんなで楽しめる競技を体育にも取り入れていこうという動きになっているという。



休校中は、家族で過ごす時間が長くなった。こんなメッセージが寄せられた。

ゆうすけさん【小6男】
家族全員 家にいるので みんなストレスがたまっていた
親や兄と ささいなことでケンカばかりした

はるとさん【小3男】
お母さんがイライラしていた よく怒って 八つ当たりされた

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【尾木ママ】「同じメンバーが家の中でこもっているんだから、ぶつかるのは当然のこと。ぶつかったからといって、ウチはダメだ、なんて思わなくていいのよ。ごめんねって親も子も謝ればいいの。」

尾木ママからのアドバイス★
植物を育てたり、ペットを飼ってみたり、他の生命体を入れてみるのも、家族のぶつかり合いをやわらげる一つの手よ。


一方で、こんなメッセージも。

りかさん【高2女】
学校で出た課題がわからなくて困っていたら 父が教えてくれた
うるさくてグータラな親だと思っていたけど ちょっと見直した

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【苫野さん】「たとえ家族でも、見えているのは相手の一面でしかない、ということが発見できたわけです。その意識を持てたことは、これからの人間関係を築くうえでも、とてもいいことです。」


休校中、両親が仕事に行っている間、さくらんぼ農家のおじいちゃんの家で過ごしていたというあやたくんからもメッセージが届きました。

あやたさん【小5男】
おじいちゃんがサクランボのせんていを教えてくれた
田植えも教えてくれた。大変だったけど とても楽しかった
僕が知らないことを いっぱい知っているおじいちゃんはすごい

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【苫野さん】「子どもは学校だけじゃなく、周りの大人から生活の中で学べることが非常に多いです。大人は、自分にも教えられることがあるという意識を持っているといいですね。教えるといっても、机に向かって勉強を教えるということでなくても、経験の幅を広げてあげるとか、本物を見せるとか、そういうことでもいいんです。」


休校中、こんな過ごし方をした女の子もいた。

小学6年生のななこさん、休校中は歴史にはまった。
これまでは、学校の宿題や3つの習い事で忙しい日々。
何かに熱中する時間を、なかなか取れないでいた。
時間がたっぷりできた休校中は司馬遼太郎に読みふけり、大河ドラマを毎日見て、さらには、オリジナルの小説を書くまでになった。
「時間があったからこそ集中できた。没頭しているものに詳しくなって、詳しくなっていくのがとっても楽しい。」
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時間があったからこそ、好きなことに没頭できたななこさん。
とはいえ、時間があっても何もしない、という子の場合、親はどうしたら?

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【苫野さん】「教育で大事なのは、「信じて、任せて、待って、支える」とよく言われます。すぐに没頭できることを見つけられるとは限らないから、待つことが大事。でも、放任するのではなく、支えることが大事で、大人は、新しい経験をさせてみるなど、「ちょっとしたおせっかい者」になる必要があります。



続いて、子どもたちから、「大人に言いたい!」というメッセージを紹介。

ひよりさん【小6女】
9月入学や夏休みをどうするかなど 学校のことを大人だけで決めないで子どもの意見も聞いてほしい

ようすけさん【小5男】
夏休みをへらしたり 無理に授業を増やしたりしないでほしい
学校があるのは何のため?


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【苫野さん】「学校や大人は、子どもたちに一方的に与えるのではなく、子どもたちの声を聞くことが大事ですね。
学校でも「先生も、困っているんだよ」と子どもたちに相談してこれからのやり方を一緒に作っていけば、子どもは立派な仲間になってくれるはず。」



最後に尾木ママから子どもたちへのメッセージ。
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【尾木ママ】「子どもたちは、日本のどんな大人も遭遇したこともないこの異常事態を乗り越えるなかで、いろんなガマンをしてきたはず。それだけでも立派よ。この3か月の休校の経験は、きっと今後にいかせるはずよ!」





END

投稿者:制作スタッフ | 投稿時間:21:30


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