エピソード1 兄・信長は鬼となった!
織田信長と弟・信勝(のぶかつ)は対照的な兄弟だった。嫡男・信長は本来格式を重んじる武家にあって奇抜な格好を好み、身分よりも実力で家臣を選ぶ。一方、両親の愛情を一身に受けて育った信勝は旧来の織田家安泰を望む常識人となる。古参の家臣たちは弟・信勝に家督を譲らせようと画策、兄弟の亀裂は大きくなってゆく。ところが弘治2(1556)年、両者が激突すると信長軍は倍以上の兵の信勝軍を撃破、その上信勝らを全員赦免することで一挙に人心を掌握する。孤立した信勝は2年後再び謀反を計画。これを知った信長はついに弟を手にかけることとなる。当時信長と親しかった宣教師の手紙にも綴られた兄弟の悲劇。
エピソード2 がんばれ長男!信長流教育のすべて
信長の後継者教育は苛烈だった。長男・信忠(のぶただ)は早くから父と共に戦場に赴き、19歳で岐阜・岩村城攻めの総大将を任される。信忠は武将たちの命を救うことを条件に開城に成功するが、父・信長は助けるはずの武将たちをことごとく処刑、戦国の世の厳しさを思い知らせた。信長に「器用なだけの愚か者」と厳しい評価を与えられた信忠は奮起、26歳の時武田攻めで大きな功績をあげついに信長から天下を譲ると約束される。ところがこの直後、本能寺の変が発生。この時近くにいた信忠は「逃げのびて織田家を継ぐ」という道を選ばず、数百の手勢で1万の明智光秀軍に立ちむかい戦死する。信忠の選択は正しかったのか?
織田家の運命に大きな影響を与えた信長の後継者教育に迫る。
エピソード3 父よ 僕はあなたになりたかった…
本能寺の変後、織田家の後継者に躍り出たのが三男・織田信孝(のぶたか)。実は信孝は本来出生順では次男になるはずだったが、直後に生まれた別の子供・信雄(のぶかつ)の母の方が家柄が上だったため三男とされてしまった。格式で次男と差をつけられた信孝は戦場で活躍、何とか父に認めてもらおうと奮闘する。本能寺の変直後には弔い合戦の総大将として明智光秀を破り、家督を継ぐかに見えた。しかし次男・信雄が反対、信長家臣だった羽柴秀吉までがこれに味方し、得意の根回しで信孝を孤立させてゆく。秀吉・信雄に攻め込まれ、捕えられた信孝は愛知の寺に送られ切腹させられる。寺には今も信孝が切腹の時にはらわたを投げつけたという血染めの掛け軸が秘蔵され、その無念さを物語っている。