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トップ  バックナンバー  2009年  6月  第11回 絶望するな ダザイがいる

絶望するな ダザイがいる
~太宰治「人間失格」誕生秘話~

●本放送 平成21年 6月17日(水) 22:00~22:43 総合 全国
●再放送 平成21年 6月24日(水)
平成21年 6月24日(水)
08:15~08:58
16:05~16:48
BS2
総合
全国
全国
※再放送の予定は変更されることがあります。当日の新聞などでご確認ください。

配役:配役  太宰治 役:藤本幸広   津島美知子 役:沙月梨乃

エピソード1 芥川龍之介になりたい

「太宰治」 弘前市立郷土文学館所蔵
「芥川龍之介」 日本近代文学館所蔵
太宰治の憧れは人気作家の芥川龍之介。芥川と同じ東京帝国大学に進学すると、作家気取りで芸者と同棲、ここから太宰の空回りが始まる。実家から勘当を言い渡され、ショックを受けた太宰は心中未遂事件を起こし、相手の女性を死亡させてしまう。昭和10(1935)年、日本最初の文学賞・芥川賞が創設されると、その受賞に執念を燃やす。しかし1回目は、候補者の一人に選ばれるが落選。選考委員の川端康成には作品ではなく、私生活の乱れを指摘されて大喧嘩。3回目に有力候補の一人として太宰の名前が上がると、太宰は、喧嘩を売った川端へ長い手紙をしたため受賞を懇願するが、結果は落選。“芥川になりたい”と肩に力が入れば入るほど、太宰の空回りが続く・・・。
 

エピソード2 太宰の決意 家庭生活を維持します!

健全な家庭生活を維持することが職業作家には必要だと考えるようになっていた太宰は、昭和14(1939)年、石原美知子と結婚。規則正しい執筆生活を続けるようになり、美知子の協力を得て、独特の「一人語り」の文体を確立。「駈け込み訴へ」「走れメロス」「女生徒」などの名作を生み出す。太平洋戦争が始まると、戦時下の暗く辛い時代の中で、人々へのささやかな慰めとして、笑いとユーモアをテーマにした「お伽草紙」を執筆する。戦禍が激しくなると、荷物を避難させるために、普段はペンしか持たない太宰も、美知子と赤ん坊のために自ら大八車を引く。太宰は、プロフェッショナルな職業作家になっただけではなく、家族を守るたくましい男性へと変わったのだった。
大八車を引く太宰(再現)
 

エピソード3 「人間失格」 誕生秘話

「『人間失格』原稿」 日本近代文学館所蔵
日本の敗戦を境に、太宰は大きな違和感を覚えるようになる。それは戦後、多くの文化人が簡単に民主主義を唱え出したことにあった。太宰は自分を含む日本人が戦争に協力し、その罪の自覚をすることが必要であると主張。「罪を深く自覚する者が謙虚でやさしい人間になれる」と太宰は考えていたからだ。その思いを作品「斜陽」に込めて発表。さらに続けて、これまで犯してきた自分の罪を洗いざらい吐き出す「人間失格」の執筆に取りかかると太宰の生活は激変。家庭を顧みず、愛人を囲って、毎晩、浴びるように酒を飲む。それは太宰が人間の悪や醜さを描くとき、自分が幸せな家庭生活を営んでいてはいけないと考えたからにほかならない。太宰は「罪」を描くために、また「罪」を重ねるという矛盾を繰り返す・・・。
昭和23(1948)年5月、「人間失格」全206枚、脱稿。そのおよそ1ヶ月後、太宰は玉川上水に愛人とともに身を投げて帰らぬ人となる
 

◆現在、太宰生誕100年を記念した展覧会が、ゆかりの地で開催されています。

「太宰治展 生誕100年」
6月28日まで
山梨県立文学館:山梨県甲府市貢川1丁目5-35

「太宰治生誕百年記念特別展」
7月12日まで。
立佞佞武多の館 2階美術展示ギャラリー:青森県五所川原市大町21-1

「太宰治生誕100年特別展」
7月11日~9月6日まで。
青森県近代文学館:青森市大字荒川字藤戸119-7
 

この回ゆかりの地は・・・

参考文献

『評伝太宰治』       相馬正一・著 (津軽書房)
『太宰治 心の王者』   渡部芳紀・著 (洋々社)
『太宰治大辞典』     志村有弘 渡部芳紀・編 (勉誠出版)
『回想の太宰治』     津島美知子・著(講談社)
『ピカレスク 太宰治伝』 猪瀬直樹・著 (文藝春秋)
『桜桃とキリスト』     長部日出雄・著(文藝春秋)

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