瀬戸内海の島に建つ超高級老人ホーム「リル・ドゥレーブ(夢の孤島)」。東京の病院から医師として送られてきた三浦新司は、孤島で富裕な老人たちの健康を管理するという仕事にやりがいを見いだせずにいた。そこに、入居者やスタッフとかかわりを持とうとしない老婆・原美音子がいた。うわさによると元女優という話だが、「私は死にかけたかもめ…」と一日中、海ばかり眺めて過ごす美音子を、皆は「ボケが進んだばあさん」と厄介者扱いしていた。 健康診断に顔を見せず、自分の健康に関心がなかった美音子は、ある日、心臓の病であっけなくこの世を去る。簡素なお別れの会が開かれた後、美音子の部屋を訪れた新司は、クローゼットの中に、古い舞台の台本と、一本のカセットテープを見つける。気になった新司は、ふと、そのテープを再生するのだが…。 人は、心の中に「自分が生きた証し」を残したいという願いのようなものを抱えている。その切ない思いを、女優としての誇りを胸に生きてきた老婆と、青年医師の心の交流をもとに描く。
倍賞千恵子
長谷川博己
きっぱりとあきらめ身を引く美しさよりも、恥をさらしながらも死ぬまで夢にしがみつく姿に、エールを送りたいと思う。それこそが、「生きた証」となるんじゃないだろうか。
このドラマは、そんな思いを脚本家・鈴木そなたさんにぶつけ、ゼロから練り上げた物語です。登場する老女優と青年医師は、倍賞千恵子さんと長谷川博己さんのイメージから作り上げました。瀬戸内海の優しい波や風、鳥の声に包まれて、二人が「夢」について静かに語り合うオーディオドラマ『孤島の花』。「夢」に向かって歩む人、「夢」に疲れた人たちへの、エールとなれば幸いです。
倍賞千恵子 長谷川博己 升原康嗣 小林由芽 池田美佐子
板倉勝久 井原武文 難波香織 大塚弘 青野光臣
作:鈴木そなた
音楽:森光明
演出:長野怜英
技術:北島正司
音響効果:水谷明男