
2日間にわたる「平和キャンペーン」の入り口となるプロローグは、広島市の平和公園から生放送でお伝えします。キャンペーンのキャスターはミュージシャンの石井竜也さんと、原爆資料館でピースボランティアとして活動している被爆3世の中本真樹さんの2人。石井さんは、被爆者の女性を訪ねて平和への思いを伺い、中本さんは小学生たちといっしょに元安川の河原に埋まっている“原爆瓦”を掘り、被爆を追体験します。子どもたちにも分かりやすい形で、 「核の本当の恐ろしさ」を実感として伝えます。

世界を揺るがす北朝鮮の核開発やイランの核開発疑惑。そしてアメリカなど軍事大国の「使える核」の開発。今、人類が直面する新たな核の時代を描く「核クライシス」、その第1集は新たな核攻撃の恐ろしさを見つめます。
核拡散に危機を感じた広島市は今年、初めて、核攻撃を受けた時の被害を詳しく想定し調査しました。その中で、現実に起こりうるとしているのは、テロリストが都市に持ち込んだ核兵器を爆発させる“地表爆発”です。科学者たちの調査により、残留放射線が都市に想像を超える被害をもたらすことが明らかになってきました。
また、アメリカが将来起こりえる核攻撃として警戒するのが、ミサイルに搭載された核兵器が上空数百kmで爆発する“高度爆発”です。この爆発が起きるとアメリカの国土の大半に強力な電磁波が降り注ぎ、電子機器が麻痺するなど、国家としての機能が崩壊すると、軍関係者は警告しています。
番組では、新たなる核攻撃の恐ろしさと、それが世界の核状況にもたらす影響を徹底検証します。

人類史上初めて原爆を描いた作家といわれる大田洋子(1903~1963)。近年取り上げられることが少なかった、いわば“忘れられた”作家です。被爆とその後の自身の体験を、まさにその瞬間に、リアルに描いた数々の作品が今再び注目されています。
被爆の年に書き上げた最初の作品「屍の街」は、被爆後の想像を絶する状況をルポ、「自分も死ぬことを覚悟し」「作家の責任として」書いたといいます。その後、占領軍の報道規制の影響による“出版差し止め”、被爆体験を見つめ続けることの辛さ、戦争が絶えないことへの苛立ち、自らの死への恐怖、そして、「もう原爆はいい」と作品を受け入れようとしない「世間の人々」の目などが、大田さんを精神的に追い詰めました。
それでも大田さんは、「あの日の記憶」と「その後の被爆者の姿」を見つめ続けました。被爆の記憶に苛まれ、心の病に陥った自分自身の姿をえがいた「半人間」(昭和29年)、「原爆スラム」の住民の悲惨な暮らしぶりを描いた「夕凪の街と人と」(昭和30年)などを発表し続けました。
原爆に翻弄された作家、大田洋子は、原爆と向き合うことで、何を感じ何を訴えたかったのか、書き残した作品と関係者の証言を通して、その人生をみつめます。
【朗読】根岸季衣(女優)

8月5日の夜、日本全国、そして、海外に住む被爆者の声にじっくりと耳を傾けてみませんか?
広島・長崎で被爆し、日本全国・海外で暮らす26万人の被爆者たち。年々高齢化が進み、平均年齢は74、1歳。直接体験を聞く機会は減りつつあります。しかし、その4割が未だに自らの体験を周囲に語っていません(2006年広島局アンケート調査)。平和のため体験を伝え残したいという思いがある一方、家族や友人にさえ口にできない方も多いのです。体験したことのあまりの辛さや、周囲はわかってくれないという思いなどからだといいます。
そこで、広島放送局では、この夏、被爆者団体の協力を得て、日本全国、そして韓国、アメリカ、ブラジルなど海外の被爆者にも呼びかけ、次世代への「一通の手紙」をつづってもらいました。手紙という形式でなら、その思いを伝えていただけるのではないか、と考えたからです。「初めて打ち明けるこの思い」「今、一番悩んでいること」「今、子供や若い世代に伝えたいこと」のテーマで募集した被爆者からの手紙を朗読。原爆投下から62年目の今、被爆者が抱える苦しみ、そして経験した者だけが語れる平和・核への思いに耳を傾けます。
当日は、一般視聴者や、被爆者の「2世」「3世」からも、メールやファックスなどで声を生で寄せてもらい、私たちが被爆者の思いをどう受け止め、継承していけばいいのか考えます。
【出演者】
ゲスト 坪井直さん (広島県被爆者団体協議会理事長)
大石芳野さん(写真家)
MC 周山制洋アナウンサー
杉浦圭子アナウンサー(朗読担当)