2023年02月02日 (木)広島出身・現役大学生がカラー化で伝える戦争の記憶


毎週金曜日の午後5時5分からR1で放送している「中国!ちゅーもく!ラジオ」

2月3日(金)の放送は、私が取材・制作を担当しました。

広島出身で現在は東京大学の3年生、庭田杏珠(にわた・あんじゅ)さんのインタビューです。

230202_anaran001.jpg(写真右が庭田さん。先日のインタビュー収録後に)

 

AIによる最新技術や戦争体験者への取材を通じて、

戦前や戦時中の白黒写真をカラー化する取り組みを進めています。

2年前には350枚の白黒写真をカラー化した本も出版されました。

 

取り組みを始めたのは高校生の時。平和学習の一環でカラー化の技術と出会いました。

白黒写真とカラー化された写真を見比べたときに、時が止まったような印象から、

写真の中の人たちの話し声が聞こえそうだったり、いまにも動き出しそうだったりと、

これまで見てきた戦争に関する写真とはまったく違って見えたことに驚いたといいます。

それから、戦争体験者の思いや、当時の暮らしをよりリアルに伝えたいと、活動を続けています。

 

インタビューでは、著書に掲載されている写真をもとに、

カラー化で明らかになっていく当時の暮らしや、庭田さんの熱い思いをじっくりお聞きしました。

内容はラジオをお聞きいただきたいのですが、

どのように白黒写真がカラー化されているのかをより詳しくお伝えできればと思い、

今回、庭田さんが紹介してくださった写真を、放送前にWebに掲載させていただきました。

ぜひ、ラジオでの庭田さんの解説と合わせてご覧ください。

中国!ちゅーもく!ラジオ

 

それでは、放送で紹介されている写真をご紹介します。

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(提供:濵井德三)

こちらは、1935年に撮影された白黒写真。
ご近所さんが集まってのお花見の様子です。


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(提供:濵井德三、カラー化:庭田杏珠)

こちらがカラー化された写真。
桜の鮮やかなピンクや、スーツ、着物の色などもわかるようになりました。

 

でも、当時AIは桜の葉を緑色にしていたんだそうです。

写真を提供してくれた濵井さんとのやり取りでお花見の写真だったことがわかり、ピンク色になりました。

コロナ禍で最近はお花見の様子をあまり見なくなりましたが、いまも続く「季節の楽しみ」のひとつですよね。

 

AIによる色付けは全体の1割程度。ほとんどが聞き取りなどでわかる戦争体験者の記憶の色をたよりに、

庭田さんが手作業で色をつけています。1枚のカラー化写真が完成するのに1か月はかかるということです。

カラー化をしていく過程で、白黒写真のままでは明らかにならなかった記憶の色がよみがえることから、

この取り組みは「記憶の解凍」とも呼ばれ、当時の暮らしをより詳しく伝えることにつながっています。

 

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(提供:緒方昭三)

1932年頃に撮影された写真。
中島地区(現在の平和公園)にあった、丸二屋商店の様子です。
店頭には、大勢の人が並んでいます。
せっけんや化粧品の卸問屋で、新商品が出るたびにチンドン屋が雇われていたそうです。

 

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(提供:緒方昭三、カラー化:庭田杏珠)

かなり豪華な色合いのお店だったようですね。
緑の看板に金色の文字で商品名が書かれ、紅白ののれんもかかっていることなどがわかります。
このように目立つ色合いのお店があったら、中に入ってみたいと思いませんか?
私は思いました。

 

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(提供:緒方昭三)

店内のショーウインドーの様子も・・・

 

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(提供:緒方昭三、カラー化:庭田杏珠)

化粧品が入った色とりどりのビンが並んでいます。
庭田さんは、当時の商品が残る静岡の企業資料館を訪ねて、
実際にどんな色だったのかを取材して、色付けしたそうです。

 

いまで言うデパコスのようなかんじにも見えますよね。

当時の女性たちもこの様子を見て、ワクワクしていたのかなぁと、想像が膨らみます。

 

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(提供:共同通信社)

こちらは、1946年、原爆投下から1年ほどが経過したときに撮影された写真。
廃墟と化した広島市内を見つめるカップルの様子です。

 

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(提供:共同通信社、カラー化:庭田杏樹)

SNSや恩師の紹介などを通じて、写真に写る男性・川上清さんと直接会うことができた庭田さん。

復興への希望も込めて最初は明るめに色付けをしたものの、

当時はまだ煙が立ち込めそうなくらいに暗い景色だったということ。

また、このデパートの屋上は2人のデートコースで、後にご結婚されていたこと。

お互いに大切な人を戦争で失った中で2人の時間がとても大切なものだったということなど、

白黒写真のままではわからなかったエピソードをたくさん聞くこともできました。

 

 

家族や大切な人との思い出、にぎわう商店街など、当時もいまと変わらない人々の暮らしや幸せがありました。

それがたった1発の原爆で奪われてしまうことが、どんなに悲しいことなのか。

庭田さんは、カラー化を通じて、よりリアルに想像してもらいたいと活動を続けています。

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(庭田さんとHIPPYさん。インタビュー収録とコイらじ生放送がちょうど同じ日でした!)

最後に、こちらの写真。

シンガーソングライターで、コイらじ水曜パーソナリティでおなじみのHIPPYさんの姿!

実は庭田さん、HIPPYさんとのコラボで、音楽を通じて平和を訴える活動もされています。

庭田さんは作詞とコーラスを担当。

HIPPYさんからたくさんアドバイスをもらったようで、お兄ちゃんのような存在だということでした。

どのような曲になっているのか、こちらもぜひ、ラジオをお聞きください!

 

番組名:「中国!ちゅーもく!ラジオ」(R1)

放送日時:2023年2月3日(金)午後5時5分~5時55分

 

投稿者:志賀 隼哉 | 投稿時間:15:00


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