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【シリーズ 依存症】人はなぜ依存症になるのでしょうか? コラム:松本俊彦医師

2017年10月26日(木)

松本俊彦医師

  松本俊彦(精神科医/国立精神・神経医療研究センター精神保健研究所)

 

「依存症」と聞くと、「快感を求めて発症している」と思われるかもしれません。
でも実際は、「本人の主観的な苦痛や苦悩を緩和するために」、はまってしまっている人が多いんです。

 

依存症患者さんの多くが、アルコールや薬物の使用量が増加した時には、何らかの苦痛を抱えたり、現実生活で困難に遭遇したりしています。そして最終的にコントロールを失っているのです。

また、依存対象である薬物などの多くは、これまでその人が抱えていたコンプレックスや生きづらさを解消し、弱点を補ってくれる作用を持っています。
たとえば、意欲低下や対人緊張、不安、落ち着きのなさを改善したり、体重コントロールを容易にしてくれたりするわけです。

アルコールや薬物は、いわば「松葉杖」となって彼らの生きづらさを補い、助けてくれていた可能性があるのです。

つまり、なぜやめるのがこんなに大変なのか、なぜ罰や叱責ではどうにもならないのかというと、快感をあきらめるのが嫌だからではなく、苦痛を和らげてくれる「松葉杖」を手放すのが怖いからなんですよ。

もちろん、そのまま放置すればその人は生命的な危機に瀕する可能性が高いでしょう。しかし、だからといって、依存対象であるアルコールや薬物をやめさせるだけでは生きづらさが増すだけなんです。

私たち専門家が肝に銘じておくべきなのは、依存症からの回復支援とは、アルコールや薬物といった「モノ」の排除ではなく、痛みを抱える「ヒト」の支援であるということなのです。


ハートネットTVでは、11月に三夜連続で「依存症」を特集します。
『ハートネットTV』 シリーズ依存症 10月31日(火) 第1回 ギャンブル依存症―孤立する当事者と家族―
 11月1日(水) 第2回 クレプトマニア―罰だけでなく治療を―
 11月2日(木) WEB連動企画“チエノバ”“依存症”―家族はどうすればいい?
■ お役立ち情報「依存症・アディクション」
 特設サイト「これって依存症?~“やめたいのにやめられない”あなたへ~」

 

コメント

私の母は、アルコール依存症で、私が9歳の時から、毎月に一度位、ベッドに、酒瓶10数本を抱え込み、寝込みました。その酒は全て空になっていました。父は浮気癖があり、女性が切れない人で、母は苦しんでいましたが、父と結婚当初モルヒネの中毒だったのを治してくれたから恩人だと言い文句も言いませんでした。酒を飲むとだれかれ構わず長電話をしまくり、酒壜を、抱え込みながら、寝込んでしまう母を家で見守るのはいつも家に残される私の役目でした。14歳の時、そんな家が嫌で自殺未遂をし、それから二、三度発作的に死にたくなり未遂しました。平常時はやさしく穏やかで友だちにはいつも良いお母さんねーと言われていました。だから外の人には一切知られないようにしていました。家出して駆け落ちしたのも、こんな悩みがあったからだと今はわかりました。22年連れ添いましたがわざと、反対されるような苦しい結婚をしたのも、今思えば母に対する復讐だったよう
気がします。分かっていただけますか?前夫と離婚してから15年になります。今は縁あって再婚して穏やかにくらしていますが、まだたまに怖い夢や、心理カウンセラーになって私の様に苦しむ子どもたちや母の様な精神的ダメージを受けている女性の味方になり救うような仕事に就きたいと考えたりします。一生後遺症は続きます。母の生まれも実父は早世し生母とも引き離され早く別れたかわいそうな身の上でした。負の連鎖を感じてしまいます。

投稿:とんずら 2017年11月03日(金曜日) 18時54分

松葉杖というか、私の場合は「こうでもないと狂って死んでしまう」ものでした。
手放すのが怖いではなく、生きるためには手放せないものでした。

頑張り続けることを要求される環境
休息が認められない環境
の中、
私には、安全基地がありませんでした。
周りからの存在否定が強く、いつの日かそれに負けて、自己否定に。
自尊心が低過ぎるので、
自分を慰めることも出来ず、

ただ、でも、「ホッ」としたくて

人間誰でもホッとしたいでしょ

でも頑張り続けないといけなかったんです。
だから、なんとしてでも、酒等のパワーを借りてまで
動き続けるないといけなかったんです。

ほんとは、自分自身の受容を求めてました。
ホッとしたいだけ。
でも出来ないんです。

哀しかった。

手放すのが怖いじゃなくて、
生きるためには、手放せなかったんです。
援助者が現れるまでは。

投稿:まんまるまんまる 2017年11月03日(金曜日) 03時29分

依存は確かに「松葉づえ」かもしれません。
なんかわからないけど生きづらいからその解消方法が依存のような気がします。
自分は理解を得にくい買い物依存なので社会に分かってもらいたいです。

投稿:ひんしのくま 2017年10月27日(金曜日) 18時53分