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【チエノバ】荻上チキ「連鎖を断ち切らないといけない」

2017年04月14日(金)

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 4月6日放送(4月13日再放送)
 WEB連動企画“チエノバ” 精神疾患の親を持つ子ども

コメンテーター・荻上チキさんからのメッセージです。

写真・荻上チキ.jpg
撮影:越智 貴雄


―― カキコミ板には、「親が精神疾患であるということを話しづらかった」「誰にも言うなと家族に言われた」等の声が寄せられました。やはり、「精神疾患」への偏見がまだあるのでしょうか。

障害全般に対する理解が進んでいないというのがまず1つあると思います。
例えば、身体障害のある方、車椅子の方、高齢者、そういった歩行困難な方に対して「困っていることに気付こう」といったようなキャンペーンが現在は行われていたりしますよね。でも、知的障害や発達障害、あるいは精神疾患などに対しては、まだまだ遅れているなという感覚を得ています。


―― 誰にも言えない悩みを子ども1人で抱え込んでしまう背景には、他にどんなことが考えられますか。その原因は何だと思われますか。

父親、母親が精神疾患である家庭に育った場合、何かその子どもに困難が生じること、そうした家庭環境が社会的に放置されていること、つまり精神疾患の親のもとで育った子どものところにまで支援の手が行き届いていないんですね。そのために、子どもに負担がまるがかり、まる乗っかりしてしまうということがあります。精神疾患のある親の方も自分を責めてしまうこともあるし、子どもの方も自発的な感覚を内面化して育ってしまう、そのような連鎖を断ち切らないといけないと思います。

また、こういった構造に持っていかないようにするためには、「家族だけで解決をしなくてはいけないものなのだ」という意識を変えなくてはいけない。育児、介護、それから様々な医療的な問題も含めて、まず家族に負担をしてもらうことが中心の考えになっているのが問題です。「病は市に出せ」(※)という発想がなかなか浸透していないんですよね。つまり何か困ったことや病気があったりすれば、市、つまり外に出す。外に出す事によって、1人で抱えずみんなで解決したほうが早い、お互い様だよというような感覚というのがなかなか浸透していないがゆえに、この問題が根深くなっているのではないかと思います。


※「病は市に出せ」・・・岡檀(おか・まゆみ)著『生き心地の良い町 この自殺率の低さには理由(わけ)がある』で紹介された日本一自殺率の低い徳島県海部町で昔から使われている言葉。

▼関連番組 2017年4月6日  『ハートネットTV』WEB連動企画“チエノバ” 精神疾患の親を持つ子ども
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