【出演者メッセージ】シリーズミックスルーツ 第2回 多様性って?! リアル座談会
2016年04月18日(月)
4月21日放送(4月28日再放送)
シリーズ ミックスルーツ 第2回 多様性って!? リアル座談会
総勢10名!熱いトークを終えて・・・
【出演者メッセージ】 座談会の参加者に収録を終えて感想を頂きました。
マリーさん 長野エドウィン・タケルさん 水谷誠さん
海老原周子さん タイ スイ(戴 思憶)さん ちょん うひ(鄭 優希)さん
サンドラ・ヘフェリンさん 須本エドワード 宮ヶ迫ナンシー理沙さん
《マリーさん プロフィール》
父はセネガル人 母は日本人
東京生まれ東京育ち ファッションモデル
今回、多種多様なバックグラウンドを抱え生きてきた皆さんといろんなお話ができたこと、とても光栄に思います。ありがとうございました。
多文化共生ということがテーマではありましたが、その前に『人』として、みんなそれぞれ違うこと。そんな当たり前をより理解し合い、より敬いあえるような世界になることを改めて強く願うきっかけになりました。
『ハーフ』であることも『在日』であることも『日系』であることもただの肩書き。
肩書きは他人が名付ける事も容易だし、自らその名を作ってしまうこともできます。
だからそんな表面的なものにマリーは自分の全てを表現したいともされたいとも思わないし、これから先も、自分自身が納得できる形で素直に生きていきたいと思いました。
今回の討論会を糧にして、今後も表現のお仕事を通じて誰もが生きやすい日本社会を作っていければと思います。マリーがどこまで力になるのかは分からないけど、そんな社会を追い求め続けたいです。
本当に貴重な体験、そして番組を見て下さる全ての皆さんに感謝します。
ぜひぜひ感想や質問等、たくさん投げかけて頂ければ幸いです!
Thank you!! LOVE ALWAYS,
《長野エドウィン・タケルさん プロフィール》
父は日本人 母はコスタリカ人
4年前に岡山に移住した3児の父
私たちは、それぞれ様々なバックグラウンドがあり、「ルーツ」があります。それって何も、「ハーフ」だけのことじゃないはずなんです。全ての人間には「ルーツ」があるはずです。しかし今の社会は「ハーフ」「外国人」に対してまだまだ偏見や違いを感じてると思うし、言葉で表現したり区別したりしてしまってますよね?社会って何でしょうか?目に見えるものだけが、全てじゃないはずです。みんなと話をしてみて、「目に見えないもの」を捕まえること、イマジネーションすることってすごく大事なことだなあと思いました。つまり「ルーツ追求」することで、「ルーツ学習」(ルーツに沿って歴史を学ぶ)し、自分の「暮らし」に活かすことだと、考えます。身近なとこから理解し、学びあえる場所が、とても必要で、「新しい社会」(未来にルーツを伝えていく社会)を、すごく私たちが求めているなぁーと感じました。
《水谷誠さん プロフィール》
2歳の時 難民としてラオスから来日
去年 東南アジア料理店をオープン
今回「ミックスルーツ」というテーマで年齢もルーツもバラバラなほぼ全員初対面のメンバー同士が集まりました。収録の中でアイデンティティの話題を1つとってもポジティブにとらえている人もいればネガティブな意見があったりと、その時の時代的なものや各々のルーツが影響しているのかなと思いましたが、よくよく考えると同じ時代に生きた同じルーツを持つ人との間でも考えや意見が違うのでここでの話はパーソナル性が高いものと考えるべきだと思いました。ただ、未来の日本をどんなルーツやバックグランドを持つ人でも暮らしやすい社会にしたいという事が共通していたと思います。国際結婚が増加する中、日本は確実にミックスされていきますがそれをマイナスにとらえて欲しくないです。そして、いつか外国人の特徴を持つ人が日本で日本人だと名乗っても全く違和感のない社会になればいいなぁと思いました。
《海老原周子さん プロフィール》
両親とも日本人 日本・ペルー・イギリスで育つ
外国と地域の人をつなぐ活動を展開
多様性はこれからの21世紀をサバイバルしていくための必然です。
何かを成し遂げようとするとき、今までにない問題を解決しようとする時、なるべく多くの視点や切り口から考え得られた方がいい。その時に、異なる環境・階層・文化的・人種的立場から培われた感覚やものの見方は他にはない強みです。
また同時に、それぞれのルーツがどこか、何人か、ミックスか、ハーフか、日系人か、在日コリアン韓国朝鮮人か、それは一つの要素であって、それよりも、その人がどんなビジョンやパッションを持っているのか、どんな未来を一緒に作り上げていきたいか、そこを共有して社会に働きかけて行くこと。NPOの代表として働く私にとっては、その方が重要です。
違いを潰すのではなく、伸ばしていく環境と教育、そしてただ「違っていいね」というだけでなく、違いを活かして行くためのマネジメントとリーダーシップ。その2つがあって始めて、多様性が生きる多文化共生社会が実現できると思います。
《タイ スイ(戴 思憶)さん プロフィール》
両親とも中国人 親の仕事により17歳で来日
日本の大学進学を目指す
番組を参加させていただき、人生で二回目はないと考えてもいいくらい、珍しく素晴らしい体験をくださって本当にありがとうございます。
今日の議論の内容について私なりの考えをいくつか述べたいと思います。
イジメについては、人の立場で考えることができる年頃になる前の年齢層の子どもは、やはり『見た目』とかで違うものを排除する傾向があると思います、それをどうやって解決するかはわかりませんが、問題はそこだと思います。
また、日本で暮らし易いかという議論については、議論の場ではちょっと言葉が整いませんでしたが、両面性があると思います。中国の上海という都会で生まれ育った私でさえ、日本の生活水準が平均的に高いと感じ、品物も日本人の真面目さ故に品質が保証されているから、使っても食べても安心でいいもののように思います。
しかし、自分は17歳から日本に来て、ただ脳科学が勉強したいだけなのに、日本語学校、高校浪人、学費が不足したため私立大学を中退、大学三浪を経験し、国公立大学に行くのに何年の時も無駄したのも現状です。しかも、そうしたところで、今度は年齢があまりにも上だからと言って就職が見つけにくくなるかもしれないなど、いろんな問題に直面し、それを考えると日本は暮らしにくいようにも思えてきました。
あとミックスルーツの人の母国語の習得についてですが、クローバル化が進む今、もはや英語は出来ても珍しくない。自分が多文化共生センターで働いた視点から見ると、あまり知られてない言語の方がかえって重宝されます。なので、せっかく環境があるなら、自分の持つルーツの言葉を習得した方がいいと思います。それはアイデンティティと関係なく。
以上、私の今回の番組参加を通して思ったこと、気付いたことを書きました。
《ちょん うひ(鄭 優希)さん プロフィール》
東京生まれ東京育ち 在日コリアン3世
記者志望の大学3年生
今回出演の話を頂いて、在日以外の多様なルーツを持つ方々と出会う機会はあまりないと思い承諾させていただいたのですが、その直感を信じて良かったと思っています。普段初対面の方とこんなに深く議論できる場はないのと、視聴者の方にも一つの考え方を提示する点で何か刺激を与えられていたら嬉しいです。同時に自分が発した言葉が無意識に誰かを傷つけてしまったのではないかという不安もあります。
現代社会には国民国家というものに全ての人が当てはまるという前提が充満していて、そこからはみ出た者には不寛容すぎる社会であることを再認識しました。人種以外の枠でも大きな圧力に気付けずに、自分のせいだと追い詰めてしまう人はたくさんいるはずです。
私は在日コリアン3世ですが、今はもう4・5世の時代で歴史はますます伝わりづらくなると思います。年末1世の祖父が亡くなったばかりで、私は間に挟まれているのだなぁと痛感しています。私はたまたま豊かな環境に生まれ、自分がマイノリティだと主張するのは傲慢に感じます。しかし、今でも「在日」として重い責任を背負って生きている友達もいて、「在日」というレッテルに振り回されてきた親戚がいます。そんな周りを見ながら育ってきた事実を忘れずに、今でも・これからも環境のせいで辛い思いをする人たちの声をすくっていく人間になりたいと、改めて考えさせられました。
《サンドラ・ヘフェリンさん プロフィール》
父はドイツ人 母は日本人
日本在住18年のコラムニスト
この度『ハーフ』の皆さんと座談会ができたことを嬉しく思います。私自身『ハーフ』をテーマに本やブログなどで執筆をしておりますので、このテーマと日々かかわっているわけですが、今回のように「ハーフ同士で集まり真面目な話をする」機会って実はあまりないんですよ(笑)
ふだん、ハーフ同士で集まることはあるのですけど、やっぱりお酒も入る「飲み会」が多いですね(笑)飲み会はもちろん盛り上がりますが、当然あまり真面目な話にはならないので、今回、色々な立場の『ハーフ』同士で集まり、アイデンティティーのことも含めて真面目に話ができたことは貴重です。
日本も国際化するにつれ、これからもどんどん増えていく『ハーフ』の子供たち。彼らに語学取得のチャンスなども含めて色々なチャンスをあたえることは大事ですが、「自分は何人(なにじん)であるか」というアイデンティティーの部分を決めるのは「本人」。周りの大人は私も含めてくれぐれも、ハーフの子供に対して「日本人として誇りを持ちなさい」とか「外国人として誇りを持ちなさい」などと余計なことは言わないようにしたいなと皆さんの話を聞いて改めて思いました。
《宮ヶ迫ナンシー理沙さん プロフィール》
ブラジル生まれの日系2世 9歳で来日
音楽雑誌編集者
日本に暮らす外国人が急増した90年代のその最初の時期に日本に来て、自分と同じように日本で育った外国にルーツをもつ同年代の人たちとは積極的に出会ってきました。最初は同じ南米出身の人たちが中心でしたが、徐々に輪が広がり呼び名も仲間の間で対話をね、"ミックスルーツ"という呼び名を使うようになりました。同じミックスルーツというカテゴリーのような枠ができてしまうと、日本との関わりや、生活の状況はそれぞれに異なるので、なんだか違和感も覚えてくるものですが、私はそれぞれの違いを知り理解するための対談だと思って今回の企画に参加させていただきました。限られた放送時間の中で伝えられることは限られていますが、多文化共生という綺麗なスローガンは、ある本の作者の言葉を借りれば「宗教家めいた博愛精神でも、盲目的な平等主義でもなく、相容れない部分を持つ人たちと、いかに折り合いをつけるか、という技術とマナーの問題」だ思います。直接的に人を知ることなく先入観やイメージで人を判断し、心ない言葉を浴びせることがあまりにも多くなっていて、ギスギスした雰囲気に息苦しさを感じます。対談はこういう雰囲気を打開するための小さな一歩だと感じました。どうもありがとうございました。
《須本エドワードさん プロフィール》
父はベネズエラ人 母は日本人
NPOミックスルーツ・ジャパン代表
非常に興味深い濃い内容の話しを、多様な面々でできたことは良かったです。3時間のものを15分くらいに短くするということですので、どれくらい伝わるかが疑問です。是非ともノーカットもしくは縮小バージョンをネットで配信して頂けると幸いです。
また、今後もこういう対話の場を提供して下さると何よりです。やはりMCの方も毎度違うトピックを扱われているので、鋭いご指摘や良い提案もあるのですが、なかなか参加者のそれぞれの性格や背景を完璧に把握するには短い時間では難しいと思います。もう一、二度会って話し合う機会があればより良いものになるかと思います。
コメント
偶然(ごめんなさい)番組を見て、ヘフェリンさんのサイトからこのページの皆様のコメントを読ませていただきました。
とても多彩な顔ぶれだったので、もっと出演者の皆さんの話が読みたいです。「ノーカット版をウェブにUPしてほしい」という須本さんのご意見に大賛成。
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私自身は日本で生まれて海外三カ国で育った、いわゆる"帰国子女”でした。そのせいか、子供のころからidentityを意識して生きてきました。
日本に帰国したのはすでに何十年も前のことですが、周囲の日本人が"自分が何者なのか”という点にあまりにも無自覚で(それはそれである意味幸せなのだろうとも思いつつ)、今でもビックリすることがあります。
日本社会は"みんなと同じようにふるまう”ことをしない、あるいはできない個人に対して過剰に反応するのでみんな気疲れしちゃいますよね。
番組を見ていて、私も"日本人らしくふるまう”ことに慣れてしまって自分のidentityの大事な部分がいつの間にか窒息していることに気づかされました。
明日からもう少しみんなが(自分も)のびのび暮らせるように心を広げて身近な人たちと接しようと思いました。
思いがけず、解決した気になっていた自分自身のidentityについても考えさせられて、いま悩みの真っただ中にいる若者たちを応援したいという想いも出てきました。
良い企画をありがとうございました。
投稿:midori 2016年04月21日(木曜日) 21時40分