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【出演者インタビュー】荻上チキさん「いろいろと悩みながら相談できる場が必要」

2014年06月23日(月)

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6月25日放送(7月2日再放送)
シリーズ 選ばれる命
第4回 反響編
ご出演の荻上チキさんにメッセージをいただきました。

 

《荻上チキさんプロフィール》

1981年生まれ。評論家。ニュースサイト「シノドス」編集長。メディア論をはじめ、政治経済や福祉、社会問題から文化現象まで幅広く取材し分析。著書に『ウェブ炎上』『ネットいじめ』『僕らはいつまで「ダメ出し社会」を続けるのか』など。

 

――収録の感想を教えて下さい。

「産む・産まないは女が決める」と言ってきた一方で、障害者運動が「障害があるからといってその子を殺めることは許されない」と言ってきたように、いろんな当事者のニーズがぶつかり合い、悩みながら進んできた面があるんですね。

それに対して何が一番いい答えなのかというのを当事者の外部が結論を出すことは非常に難しいと思います。「これが答えだ」というのは、個々人が置かれている状況などによっても異なってくる。だからこそ、「何が答えなんだろうか」、「自分はどうするんだろうか」、「自分が決めたことをどう受け止めたらいいんだろう」と悩みながら語り合える“場”があることこそ重要です。倫理面での議論も重要ですが、番組の中で紹介したドイツの事例のように、「相談ができる体制」を整えていくことも重要になってくる。出産はただでさえ誰にとっても一大イベントなわけですから、それをサポートする体制づくりと、今までの出産に対する倫理の面での議論がまだまだ成熟する必要があると感じました。出産・育児等を「個人の選択の問題」だけに押し付けることなく、葛藤を前に相談できる体制は、すべての「親になる人」にとっても重要だと思います。

 

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――そのためにもひとり一人ができることはあるのでしょうか。

親になる前から、親になった時のことを考え、自然とそれを遂行できるという人は本当に稀だと思いますから、「ひとりひとりが考え続けていく」といったことは難しいと思います。ただ、いざ当事者になった人に対して外側から「ああだ、こうだ」と言い続けて、それ自体が抑圧になってしまうような構造は直した方がいいと思いますね。

新しい技術が生まれると、新しい事故が生まれます。そして新しい事故が生まれると、新たに責任対象が探されます。今回の出生前検査で言えば、診断ミスをどう受け止めるかということが投げられてくると思いますが、これが今後どうなるか。たとえば医療側が、予め医師が患者に説明し署名を求めることによって、個人の選択の中に取り込まれるかもしれない。当事者に対して与えられる情報がどんどん増え、結局判断は本人が出して下さいという“かたち”だけで済まされてしまう可能性もあります。逆に、医師は100%確定した間違えのない情報を出して下さいという話に変えてしまうと、医療現場が圧迫されて、かえって医療体制が悪化するかもしれないという悪循環もあり得ます。また、悩みながら相談できる体制を作っていくことが非常に重要だと思いますが、それにも予算が必要になります。予算を割くには国民の合意が必要となるので、妊娠を巡る苦悩に対し、ケアやカウンセリングを行うことの必要性が、もっともっと認識されていってほしい。

複雑で難解に思える問題ですが、絡み合った問題群を丁寧に見直しながら、ひとつずつ制度の枠組みを作っていくことが重要なのではないでしょうか。

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