『子どもの声を届けたい』(「精神疾患の親と暮らす子どもたち」より)
2012年06月09日(土)
筆者(佐々木アナ)と山田キャスター
こんにちは!『私の声を聞いてください ―精神疾患の親と暮らす子どもたち―』(6月5日放送、6月12日再放送)のリポートを担当したNHK津放送局アナウンサーの佐々木です。
「わが家の母はビョーキです」という漫画本に出会ったのは2年前。取材先で精神科の医師に紹介してもらったことがきっかけでした。
そこには、コミカルなタッチのなかに、精神疾患の親と暮らす子どもの苦悩が描かれていました。社会の精神疾患に対する偏見の中、悩みさえ言うことが出来なかった精神疾患の親と暮らす子どもたち。今まで知らなかった世界に、自分の心が大きく揺さ振られました。
取材は、三重県で始まった「精神疾患の親と暮らす子どもたちが集う会」からスタート。この会には、毎回全国から10人ほどが集まり、悩みやこれまで誰にも話せなかった辛い体験を話し合います。会のメンバーは30代が中心。いずれも大人になるまで、親の病気について誰からも教えてもらえなかった人たちです。
参加して一番心に強く残った言葉・・・、
それは、「親の精神疾患について、子どもの時に正しく知っておきたかった」という言葉でした。親が病気だとわからないから、人に隠し、自分を責め続けたと。
取材を通して、多くの当事者の方に会うなかで、知らされない事の重さ。そして精神疾患に対する社会の偏見の強さを痛感しました。これまであげることさえ出来なかった声。その声が、今少しずつあがろうとしています。
一人でも多くの人に届いて欲しい。ひとつひとつの声を聞いて欲しい。番組に込めた思いです。
番組に寄せて頂いたメールのように、
「お父さんが心の病気でね」
「そうなの、つらかったね。つらいときはいつでも言って、みんなで頑張っていこうね」
と言える社会になることを、取材者としても、一人の人間としても切に願っています。
NHK津放送局アナウンサー
佐々木智一
「私の声を聞いてください ―精神疾患の親と暮らす子どもたち―」
6月12日(火) 午後1時5分から Eテレ
コメント
番組の再放送を拝見しました。
私も、精神疾患の親をもつ子どもでした。
中学生時代から父親が双極性障害をわずらい、約10年。以来そのことが心の奥底にずっとひそみ、あまり人に相談することもできず、正直今も引きずっている部分があります。
番組のなかで、同じような想いを抱えている20代や30代の人たちが多くいるのだということを知り、どこかほっとしたような、自分の暗い闇にサーチライトで光をあてて貰えたような、そんな気持ちになりました。
まだまだ自分自身との闘いだな、と思っていますが、番組に出会えたことに感謝したいです。ありがとうございました。
投稿:ゆか 2012年11月16日(金曜日) 17時40分