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居場所作りの大切さを―「見えない世界に生きる 知的障害の女性たち」に寄せ

2013年12月03日(火)

ディレクターEです。
4月まではハートネットTVの制作におりましたが
今は別の部署で福祉の現場に携わっています。
 

軽度の知的障害は見過ごされやすく、
支援がないまま社会に投げ出されると、
仕事や人間関係に適応できずに孤立してしまうことがあります。

その結果、路上生活を余儀なくされたり、
万引きなどの犯罪を繰り返して
何度も刑務所に入ることになる人も少なくありません。

山本譲司さんが「獄窓記」を著してから
ようやくその問題に注目が集まり、
司法領域ではさまざまな取り組みが進んできました。
また、過去にはハートネットTVでも、
昨年12月に放送した「シリーズ・罪を犯した障害者と向き合う
などで、このテーマを取材してきました。

しかし路上や刑務所で障害が明らかになる人の多くは男性で、
女性がどうなっているのか、明らかではありませんでした。


今回、ハートネットTVの若手女性ディレクターが
この問題に切り込んでくれました。
約4ヶ月間、根性の取材を形にしてくれました。

20131202_hujinhogo001.jpgのサムネイル画像
取材を続けてくれたディレクターも、自ら取材の状況を語ります。


私はまだ見ていないのですが、辛い現実も出てくると思います。
しかし実際にその現実を生きている人が大勢いて、
しかもその事実が何十年にもわたって見過ごされてきたものである以上、
それを直視することからしか物事は進まないのだと思います。

私が途中まで取材していて、一番びっくりしたのは、
昭和30年代にはすでに婦人保護施設に多くの知的障害女性がいることを、
当時の厚生省も支援者も重々把握していたにもかかわらず、
具体的な施策は長期収容施設の設置以外、
なにも採られていないことでした。

これ以上「見て見ぬふり」を続けてはいけないと思います。
折しも障害者権利条約の批准がまもなく行われそうなときですが、
これをゴールではなく、
厳しい現実を変えていくスタートにしなければいけないとあらためて思います。


Eテレ・ハートネットTV
◆見えない世界に生きる 知的障害の女性たち

本放送 :12月10日(火) 20:00~20:29
再放送 :12月17日(火) 13:05~13:34

コメント

軽度知的障害の女性、本人です。
今まで社会生活や学校などでずっと、排除され続けてきました。
関わり方が経験できなかったので人との関わり方もわかりません。
どこへいっても、疎外感を持ちます。
犯罪の被害者になったり加害者になることは、人ごとではないな、と思います。
少数派の人間にとって住みよい社会になるのか?遠い道のりです。
女性の軽度知的障害について。
こんなピンポイントの部分に焦点を当ててくれたディレクターさんに、感謝と、これからも取材を続けていってほしいです!期待をしています。

投稿:yuu 2014年03月28日(金曜日) 20時04分

先日のクローズアップ現代で正規雇用から排除され非正規でしか働くことが出来ない10代、20代の女性の生活実態が取り上げられていました。生活苦で子どもを育てながら風俗店で働く彼女たちの本当に深刻な現実はアベノミクスで浮き立つ社会から見捨てられた存在に見えました。こうした現実を取材したスタッフの皆さんに敬意を表します。そしてこうした現実を多くの皆さんと語り合うことが大切だと痛感しました。

投稿:永田雅信 2014年02月07日(金曜日) 21時38分

今日の特集とても良かったです!若い女性ディレクターというのは納得!男社会から批判もあるかもしれませんが、ぜひ性風俗産業と女性の搾取の問題について、タブーを恐れず伝え続けて欲しいです。

投稿:もも 2013年12月10日(火曜日) 23時57分