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【出演者インタビュー】佐々木 亮さん「あってはいけない死です。」

2013年09月18日(水)

9月12日放送(9月19日再放送)
若者を潰す“ブラック企業”―巧妙な手口・対策はあるのか―
にご出演の弁護士、佐々木 亮さんの収録後インタビューです。


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《佐々木 亮さん プロフィール》
弁護士、ブラック企業被害対策弁護団 代表


――「ブラック企業」という言葉がこれだけ巷で広がってきた背景には、
 どのようなことが考えられますか。

元々弁護士として労働事件に長く取り組んできているので、
若い人の過酷な労働というのはだいぶ前から目についていました。
最初の頃は、若い人は真面目だから頑張っちゃうのかな
というぐらいな見方だったんですけど、
その後、非正規労働が拡大したのと共に、
構造的な社会の問題を感じて、どうにかしなきゃいけないと。


――何年くらい前からそれを意識されるようになりました?

10年くらい前からですかね。


――実態以上、やや煽り気味に
 この言葉を使い過ぎな昨今の風潮ではないか、と言う
 批判的な声も一方でありますが。

それはそうではないでしょうね。
おそらく実態がそうだったから、
それを説明する「ブラック企業」という言葉が現れて
一気に顕在化したという見方が正しいのではないでしょうか。
昔は過労死と言ったら、40~50代が中心でしたが、
今ではもはや年代問わず。
むしろ若い人の方が多いとすら言われている。
そこにも現れてきているのかなと思いますね。


――過労自死やうつなどの数字が伸び続け、過去最多を記録。
 その中でも20代・30代が半数近くに及ぶという。

やっぱり、あっちゃいけない死なんですよね。
番組のVTRの中で出てきた、
息子を亡くされたお母さんの「息子は使い捨てられた」という言葉とか、
自死する前にお姉さんに送られたメールの内容とかを見ていると、
やはり涙が出てきてしまいますね。
本当はもっと防げたはずのことなんだと。


――苦しんでいる人にどのようなメッセージを送りたいですか。

まずは誰にでもいいので相談して欲しい。
友だちでもいいですから、そこできっかけを掴めば、
労働基準監督署などへの相談につながってくる。
また、緊急避難的には会社を辞めてしまうのもありだと思います。
それはブラック企業という社会問題を解決する手段にはなりませんが、
その人自身の過労死や病気はまず防げると思います。

中期的には、労働組合の力を復活させて加入率を上げることだと思っています。
私は首都圏青年ユニオン()の顧問弁護団でもあるのですが、
労働組合があれば、少なくとも戦える土壌はあるわけですから。
そして長期的に見ると、教育です。
労働者がどういう権利を持っているのかを、
ひとりひとりが知っていかないと、この問題は解決しない。
それはこれから社会に出る人たちも、
すでに働いている方も含めた教育です。それが大事だと思いますね。
※一人でも入れる労働組合。
 パートや派遣など雇用形態を問わずに加入できる。若者を中心に組織されている。


――「ブラック企業対策プロジェクト」として、
 国もこの問題に対してこの8月から本格的に動き出した。
 この流れ、改めてどう思われますか。

ブラック企業の社会的問題としては、若い人が使い潰されていくわけですよね。
これははっきり言って国にとっては大損失なんですよね。
ただでさえ少子化で若い労働力が少なくなって
どうしようかと頭を悩ませている一方、
そんなことをおかまいなしに、
大事な戦力になる若い労働者を企業が使い潰している。
これは国が立ち上がって当然だと思います。
ただ、立ち上がらせたのはいろんな労働組合、NPO法人、
弁護士などが力をあわせてやってきた成果だとも思いますので、
ここで歩みを止めないように私たちもしっかりと続けていきますし、
国にも本腰をいれてやっていただきたいですね。

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