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茂木健一郎さん × 湯浅 誠さん ⑥生活保護受給者の生育環境

2012年07月13日(金)

ハートネットTV・シリーズ貧困拡大社会では4月と5月に、
生活保護について考えました。
放送には出なかった、脳科学者の茂木健一郎さんと
反貧困ネットワーク事務局長の湯浅誠さんとの
スタジオ収録でのやりとりを再構成し、ブログで紹介していきます。

第6回は、生活保護の受給者の生育環境について話し合います。
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山田: 今回の調査では
    家庭環境に問題があると疑われるケースが多かったということですが、
    ケースワーカーへの聞き取り調査でも、
    例えば虐待やDVなど複雑な家庭環境で育った場合が
    少なくないということですが。


湯浅: 幼児期のつまずきというのはやっぱり深刻ですね。
    これはその後の人生にずっと影響を及ぼしてしまうんですね。
    家庭環境が全体として厳しくなって虐待なんかも増えているという中で、
    もうその家族だけで何とかしようという議論では済まなくなっている
    ということだと思います。
    家族が機能しない家族もあるという事実を社会として受け止めた上で、
    周りからどういうふうにサポートしていくか
    ということを考えていかないと、こじれていく一方だと思います。
    この間、家族が丸ごと亡くなってしまうというような
    「孤立死」も随分起きていますが、
    やっぱり支えられる人と家族の中で支えている人がセットだった
    というのが特徴なんですね。
    障害のあるお子さんだったり介護が必要な高齢者だったり。
    たぶん支えている側の人からすると
    自分が支えなければと思い続けていたんだと思います。
    それで、その人が力尽きて倒れた時に、
    家族に支えられていた人も倒れてしまったと。
    家族である自分がやらなければという気持ちが社会全体も強いし、
    本人にも強い。
    そこをもう少し、本人がSOSを出していいんだと。
    あるいは社会はSOSを受け止めるんだと。
    そういう回路が必要ですよね。
    そして、次はあなたが誰かを支えてくれればいいんだという回路、
    つまり支えられる側が支える側に変わるような回路が
    社会の中にもっとたくさんあるということが
    いろんな面で良い効果をもたらすんだと思います。


茂木: ひとつ救いなのは、
    人間の発達って減点法ではなくて加点法だということでね。
    例えば家庭がちょっと難しい家庭だったと。
    親が十分に保護を与えてあげられなかった子供でも、
    例えば学校での友達とのつながりとか、先生とのつながりとか、
    他の人が足りなかったことを補ってあげれば
    しっかり人間的に成長していけるということが分かっているんですね。
    家庭にはいろんな家庭がある。
    お父さん、お母さんにも事情があるかもしれない。
    でもそれは致命的なことではないということなんです。
    それはいくらでも社会が補えるということなんです。
    逆に言うと社会が補っていかなないと、
    そういう家庭で育った子供はとても不利な立場になってしまうので、
    やっぱり社会全体で子供を育てていくという気持ちが必要なんだろうと。
    それは成人しても同じ事ですよね。
    みんなで助け合い、補っていくということが大事だと思うんですよね。


山田: そういうことが、もう一回頑張ろうというという気持ちを
    後押ししてくれるということでしょうか?


湯浅: やっぱり人間は機械ではないので、どこかのスイッチを押せば、
    いきなり元気になるということがないんですよね。
    だから私はいろいろ相談・支援を行ってきて、
    人間は、そのこじれてきた期間、例えばそれが3年だとすれば、
    そこから回復していくのに3年ぐらいはかかる。
    5年だったら5年くらいはかかる。
    そう思うくらいでちょうどいいっていう感じがあるわけです。
    それが4年でできれば大したもんだと。
    よく頑張ったねという感じだと思っているんですね。
    しかし、ともすると折り返し地点で、
    じゃあもう明日から100%で頑張りなさいって言われるんですけど、
    逆にそれは本人を追い詰めていってしまうんです。
    それはものすごく単純な問題。
    人間は機械じゃない、機械じゃなくて人間なんだという
    そこに由来していると思うんです。


茂木: 日本の社会はいろんな意味で曲がり角を迎えていると思うんです。
    僕はやっぱり湯浅さんが今おっしゃったように人間機械ではないと。
    だから育むためには
    それなりの時間とエネルギーを投資しないといけない。
    だから人間への投資というのが僕はひとつの鍵だと思うんですよね。
    やっぱり従来、我々どうしても
    国や地方公共団体の仕事というと道路を造ったりとかね。
    ああいうものが主流だったと思っていたんですけど、
    よく考えてみると人間への投資って十分にやってないような気がして、
    そのことがいろんな形で問題となって表れている気がするんですね。


山田: 特に若い世代に投資していると、
    後々にまた働いて税の収入が増えたりという考え方も
    できるような気がするんですが。


湯浅: これも厚生労働省が2年前に試算を出しましたが、
    若い世代に2年間集中的に支援する。
    生活保障も入れて2年間で500万円くらいかかると。
    でも、もしその人がずっと働き続けていければ、
    その人の納める税金だけで6000万くらいになると。
    この500万円は、いわゆる費用対効果で言っても、高くはない。
    もちろん最終的には費用対効果の話ではないんですが、
    金がもったいないだろうという人も世の中にはたくさんいて、
    そういう人たちに分かってもらうためには、実はそのお金というのは、
    茂木さんがおっしゃったように人間への投資なんだということですね。
    その投資をできない社会では、
    人口も減っていく中でますます支え手が減っていってしまう
    ということなんだと思います。


茂木: 人間って日本が唯一持っている資源ですからね。
    天然資源が無いんですから、日本って。
    唯一持っている資源を大切にしないと、
    やっぱり日本の未来は明るくならないと思うんですけどね。


湯浅: そう思います。


(敬称略)

コメント

tyaさんが月15万円の仕事を見つけて働くことと、保護の打ち切りは違うと思います。
保護の継続について要否判定がなされるはずです。
世帯分離の要件にあてはまる可能性があります。

制度でできることには限界がありますが、
良いことを見つけて良い方向に進んでいきましょう。
そう思ってくれるといいなと思います。


投稿:imadake 2012年10月23日(火曜日) 21時41分

63歳女、配偶者無し、12年前、病気退職、現在無職、家は持ち家、ローン無し。12年間に入退院の繰り返し(精神疾患ではない)手術4回。現在の生活は、子供の障害年金と自分の厚生年金合わせて月7万円。固体資産税、国民健康保険税、医療費(二人で約2万)
掛け捨ての医療保険料、管理費それらを払って残るのは、2万位。その2万で水道光熱費と二人分の食費、雑費に当てます。我慢が美徳とは思いません。でも頂いた年金で暮らそうとするのは当然と思っています。ありがたいと感謝もしてます。確かに決して楽な生活ではありませんが、働けない分、頭を使い、労力を使えばなんとかなるものです。現に私は生きてます。ただそれすら出来なくなったら、お世話になるしかないと思っています。(福祉課からは保護の申請をするように勧められていますが)
学者、学識者、コメンテーターの方々は本当の貧困を知らなさ過ぎです。対談で出てくるような人ばかりが保護を受けていません。周りで見聞きするのは不正と思われる人がいっぱいです。テレビでも、カップ麺が貧困の代名詞のように思われていますが我が家からすればカップ麺は凄い贅沢品です。タバコ、ビールなんて論外。ワーキングプアの若者にも、申し訳ない気持です。
この財政難に、あまりに安易に生活保護を受ける、またそれを当然のごとく弱者の味方発言する方々。このままでは日本は潰れてしまうのでは?生活保護どころじゃなくなりませんか。自分で自分の首を絞めてるように見えるのは私だけでしょうか。
生活保護は見直すべき時でしょう。

投稿:貧すれど鈍せず 2012年10月06日(土曜日) 15時45分

例の民主党の子供手当改め、児童手当の中身はどうなったのか。
年収200万以下でも、900万でも同額の現金をばらまいているのか、そんな予算があったら、本当に困っている人たちを支援してほしい。

投稿:gankobaa 2012年10月06日(土曜日) 13時42分

39歳女性連れ子17歳と夫との子1歳を連れ、26歳の夫と離婚しました。離婚理由は、夫の低収入。妻、高校生の連れ子は働かず、生活レベルを落とせない(浪費)と夫を非難しました。
離婚翌日、妻は生活保護を受給し、「月額26万もらえる。」と喜んでいました。離婚した夫の手取りは21万でした。妻の両親・親族はすべて生活保護。妻が19歳の時身ごもった時には、生活保護は受けられなかった、でも、親が生活保護を受けているので、自分は月10万も稼げば子どもと楽に生活が出来たと、生活保護の親元に居候していたそうです。本当に、この妻が月10万も稼げば、夫とも離婚することはなかったと思います。婚姻中、高校生(無試験入学)の息子は、生活保護の親族から、パソコン・ゲーム等を買い与えられ、昼夜逆転してゲームに興じています。卒業後は働きたくないので、専門学校へ行きたいそうです。1歳の子はADHDと思われ、終始異常な興奮状態です。妻は、離婚後も働くつもりはなく、職業訓練校に通いながら、保護を受け続けるそうです。学校に通う2年間は働かなくても済むそうです。妻も高校生も一見、大人しい人に見えます。
就労支援ではなく、精神症状の治療が先だと思います。

投稿:失礼ながら 2012年10月06日(土曜日) 12時08分

はじめまして。私は、現在、緊急で生活保護を受けています。
滋賀県に刑務所出所後に、派遣社員として名古屋から赴任しましたが、震災後の始業縮小名目での派遣切に合いました。
その後、社会福祉協議会からの借り入れなどで食いつなぎ、被災地の仕事とかしましたが、賃金も払ってもらえず、裁判などの支援制度もたらいまわし、やっと生活保護を受けれるようになったのも、弁護士や市議会議員の介入で受けれるようになりました。しかし、車の所持は禁止だとか、交際している女性に支援してもらえばなどという発言などが職員からありね精神的にかなり追い詰められました。今は、大手自動車メーカーの期間工の立場から現場上司のパワハラで疾患の再発で自主退職し、再度派遣の仕事で、残業4時間室温40度近い現場で働いています。そうでもしないと、稼げない時代なのではと。
退職してから、今回の仕事の給与までの間の一ヶ月間の生活保護を申請し、すんなり受けられましたが、これも行動力があるからではないかと思っています。行動力や車など無い限られた環境ではなかなか自立は難しいと思います。いろんなことが重なって今の自分が悲しいものです。

投稿:ひだまりのねこ 2012年08月14日(火曜日) 13時38分

こういう話を聞くと、胸が痛くなります。誰もが避けたい事実が眼前にあります。現実を直視しようとすればするほど、身が引く思いです。自分のここと受け止めるには時間がかかりそうですね。

投稿:shou 2012年08月08日(水曜日) 21時30分

若者(30歳代)母親と二人暮らし。生活保護受給者。
現在、母親が精神病院に入院中。(回復の見込みなし)
若者は、そううつ病で、現在安定しています。そこで、仕事を世話をしようと、月額15万円程度のところを、紹介したら、仕事をしたら生活が成り立たないといわれました。
何故なら、15万円の給与をもらうと、生活保護が打ち切られ、母親の病院代に8万円かかり、残りで生活はできないということでした。
自立するためには、別世帯にして部屋をさがさなければならず、生活保護を受けながら、そんな金銭の余裕はありません。つまり、自立できない国のシステムになっていますので、変えないと若者がかわいそうです。

投稿:tya 2012年08月06日(月曜日) 20時23分