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【熊本地震・番組動画】緊急報告・熊本地震(4)どう支える 被災した高齢者

2016年04月29日(金)

2016年4月28日『ハートネットTV』 「緊急報告・熊本地震(4) どう支える被災した高齢者」

熊本県などで相次ぐ一連の大きな地震。被災した障害のある人、高齢者の置かれた状況、必要な支援についてなど、現地を緊急取材して生放送で2夜連続で伝えました。

 




2016年4月28日『ハートネットTV』
「緊急報告・熊本地震(4)どう支える 被災した高齢者」

出演 久保純子さん(フリーアナウンサー)/戸枝陽基さん(全国医療的ケア児者支援協議会代表)/山田賢治キャスター
電話出演 菊本圭一さん(日本相談支援専門員協会 代表理事/鶴ヶ島市社会福祉協議会 事務局次長)


【VTR

熊本地震からきょうで2週間。避難生活が長期化する中、とりわけ厳しい状況に置かれているのが高齢者です。


支援チーム・看護師 もうちょっと食べれるでしょ、ね。あんまり食べてなかったから。よいしょ。


地震が起きて以来、食べ物がのどを通らなくなったという女性。

支援チーム・看護師 口を閉じてね、うん。おいしいでしょう。ねえ。

 
過酷な避難生活が急速に体力を奪われ、命の危機にさらされるお年寄りも増えています。

支援チーム・看護師 ものすごくハイリスクだと思います。相当この1週間で摂取量が低下していると思うので、そのうち熱が出てくる、たんが増えるということが起こってくる。二次的に起こるのは肺炎ですよね。

生きる意欲をどのように維持していくかも大きな課題です。
避難所ではなく、被災した建物にとどまり続けている高齢者。

利用者 ここにおる。
奥村 ねえ、大丈夫よ。


お年寄りの気持ちを大切にしながら、安全に過ごせる環境をどのように作っていくべきか。

 

奥村 避難所とかにいるよりも、ものすごく表情がいいですね。危険だなって、ちょっと思ったけども、皆さんが安どの表情というかですね、笑顔を見せてくれるようになったんで、何とか。でも、本当はだめなんだと思うんですけどね。

 
被災した高齢者に、いまどんな支援が求められているのでしょうか。

 

 

【スタジオ】

山田 熊本での最初の地震から2週間がたちました。震度1以上の地震がきょうで100回を超えるなど、活発な地震活動が続いています。ハートネットTVでは、きのうに引き続き生放送で、被災した高齢者をどう支えたらいいのか考えていきます。
久保 番組のホームページでは、被災地の障害者や高齢者の団体や施設などに取材した情報を掲載しています。その一部を画面の下にご紹介してまいります。
山田 さて、今回の地震で、これまでに49人の方が亡くなっています。一方で、地震から生き延びたものの、過酷な避難生活などによって命が失われてしまうという、震災関連死も増えています。その震災関連死の疑いがある人は現在16人で、そのうち14人が高齢者という状況です。
高齢者はいまどんな状況に置かれているんでしょうか。いち早く被災地に活動している高齢者ケアチームを取材しました。

 

 

【VTR
避難所を訪ね、お年寄りに声をかけて回る女性たちがいました。全国から応援に駆けつけた看護師などの支援チーム。食事やトイレ、避難所での過ごし方など、生活全般の指導を行っています。
声をかけたのは、毛布をかぶって横になっていた男性。1日の大半を寝て過ごしているといいます。

 

《益城町総合体育館》

支援チーム 家ではあんまり、そこまで歩いてなかった?
家族の女性 家では、ベッドからトイレまで自分で行けるぐらいの距離で、ずっと同じ家なので距離感も分かるし、杖をついて歩いてはいたんですけど。
家族の男性 そう。16日の朝だったですかね、ひどいのが来たでしょうが。あの時、バタッと倒れたんですよ、あそこで。
家族の女性 だから、ちょっとそれもあって、怖いのは怖いんで。
家族の男性 それがトラウマになって。

 

過去の災害では、元気だった高齢者がわずか数週間の避難生活で寝たきりになってしまったケースも報告されています。

 

支援チーム でもね、どんどん立てなくなる。こうやってずっと、座ったり寝てたりすると。だから、そこはちょっとね、トイレに行って帰ってくる時だけでいいから、それをやってもらえるといいな。
家族の女性 はい。分かりました。本人と相談しながら。
支援チーム 本人と相談しながら、やってみてください。
家族の女性 はい。

 

支援チームがとりわけ力を入れているのが食事です。避難所で支給される食べ物は、かむ力や飲み込む力が弱い高齢者にとって、食べづらいものが少なくありません。
この日、食べるのに苦労している男性を見つけました。

 

支援チーム ちょっとまひがあるんですかね。
家族の女性 脳梗塞が。
支援チーム どっち側のまひですか?
女性 最初は左やって。
支援チーム 最初は左だった。こっちは?
女性 次、右ですね。
支援チーム 食べるのは問題ないんですか、日ごろは。
女性 やっぱり、ほら。
支援チーム ちょっと食べにくい? こぼれたりする?
女性 こぼれたりするんですね。
支援チーム とろみ剤とかも使ってたんですか?
女性 はい、使ってました。
支援チーム 使ってた。



支援チームでは、症状に応じておかゆやジュースなどを提供しています。

支援チーム 栄養のね、バランスがしっかり考えられとるジュースです。
女性 そうですね。
支援チーム そう。だから、ごはんがあんまり食べれない時には、こういうの飲んでもらうのもいいかなと思って。

 

チームでは、食べる力を取り戻すための支援も行っています。
この日訪ねたのは、大勢のお年寄りが避難生活を送っている高齢者施設。
食べ物がのどを通らないという女性に対して、姿勢を改善してみてはどうかと提案しました。



支援チーム テーブルがすごい高いんですよ。あの状態で食べると、のどが上がってむせやすいんですよ。
支援チーム 申し訳ないんだけど、もうちょっと前に体やりましょうか。
女性 はい。
支援チーム ねえ。そのほうが食べやすいね。よいしょ。

 
緊急性が高いケースもありました。こちらの女性、地震が起きて以来、ほとんど何も口にしていないといいます。

 

支援チーム もうちょっと食べれるでしょ、ね。あんまり食べてなかったから。よいしょ。

 

体の角度を変えながら、食べやすい姿勢を探っていきます。

 

支援チーム 口を閉じてね、うん。おいしいでしょう。ねえ。

 

チームによれば、支援した高齢者の大半が必要な栄養を摂取できていませんでした。

 

支援チーム ものすごくハイリスクだと思います。相当この1週間で摂取量が低下してると思うので、そのうち熱が出てくる。たんが増えるっていうようなことが起こってくる可能性がありますよね。

支援チーム 命に関わるっていうことですね。必要な栄養と水分が命の源になっているわけですので、それがとれなければ、当然その人の命を守ってあげることができないですよね。

 

命を守る食事の支援。チームでは、口の中を清潔に保つ口腔ケアにも力を入れています。
水が不足しがちな避難生活では、歯磨きなどがおろそかになりがちです。

 

支援チーム ちょっと口の中を、あーんって開けてもらっていいですか?

 

しかし、そのまま放っておくと、口の中で細菌が増殖。肺炎を引き起こす恐れがあるといいます。

支援チーム 1日たりとも口腔ケアをしないと、抵抗力がない人に口腔内の細菌が増えていって、それが肺のほうに入っていったら、これは気管支炎とか肺炎を容易に起こすんですね。
支援チーム 入れ歯はいつも洗ってた? 家では。
女性 一時洗ってもらえば・・・
支援チーム 応急措置で、ちょっといま、洗っておくから。よし、きれいになった。ちょっとね、さっぱりしたかもよ。どうかな?
女性 はい。
支援チーム ねえ。ほっぺたね、ぷーして。べろ、べーして。そう。

 

高齢者が健康を損なわないための支援。
震災関連死をこれ以上増やさないためにも、こうした支援のさらなる広がりが求められています。

 

支援チーム 医療チームはこういうところまで見ないと思います。姿勢が十分じゃない人は、口の中のケアも十分じゃない。口の中のケアが十分じゃない人は、当然飲み込む力も弱い。栄養も足りない。そして、姿勢も十分じゃない。全部つながってるんですね。ですので、何か1つ気になることがあったら、そこから、これはどうかな、次はどうかなっていうふうに、広げていかなきゃいけないんですね。



【スタジオ】

久保 命を守るためには本当に生活面でのこういったケアが、いま必要なんだということが本当によく分かりました。
山田 はい。いままさに必要だということで、電話がつながっています。避難所で食べることのサポート活動を続けている医師の前田圭介さんです。前田さん、こんばんは。
前田 こんばんは。前田です。
久保 お願いします。
山田 お忙しい中ありがとうございます。よろしくお願いします。
久保 ありがとうございます。
前田 よろしくお願いします。
山田 地震が起きて2週間がたちましたけれども、高齢者の皆さん、状況、いかかでしょうか。
前田 最も被害の大きい益城町では、避難所のパンク状態がまだ続いていると思います。硬い床で寝ている高齢者はまだたくさん見られます。最近まで、避難所の運営も混乱していましたが、ようやくそのピークを越えてきたというような状況だと思ってます。
久保 こういった支援をしているのは、普通に皆さん行っていることなんでしょうか。
前田 これはなかなか行われていないことでして、5年前の東日本大震災で、食べる支援という必要性が明るみになってきまして、その支援に入ったメンバーのほとんどが、早期介入の重要性を感じてました。それを受けて、私たち今回、とにかく早い時期から食べる支援をしたいと思って活動を始めさせていただきました。ただ、私たちのこの取り組みは、多くの避難所で行われているわけではなくて、まだ、少なからず混乱が続いていてケアが十分に行き届いていない益城町の避難所に限られています。
久保 そういうことなんですね。
山田 命の危険を感じるようなケースもありましたか。
前田 はい。いまVTRでありましたように、もともと歩けていたけど、数日の避難所暮らしで歩けなくなってきたとか、または、トイレ回数を減らすために水分摂取を我慢していたとか、そういう方々はやはり、肺炎を代表とするような続発症の高リスクだろうと考えています。
山田 大きなことにならないように、その手前、手前でやれることはやって、防いでいきたいですね。
久保 最大限ですね、はい。
山田 前田さん、どうも、お忙しい中ありがとうございました。
久保 夜分に失礼いたしました。
前田 どうもありがとうございました。

 

山田 ここからは、高齢者のケアに詳しい新田國夫さんとともにお伝えしていきます。新田さん、よろしくお願いいたします。
久保 お願いします。
新田 よろしくお願いします。
山田 新田さんは在宅医療に長く携わっていらっしゃいますが、いまの映像、そして、インタビューでもありました、「食べることで命を支えていこう」という動き、どうご覧になりますか?
新田 いまいちばん、非常に大切なチームだろうなと思ってるんですが、なぜかというと、地震後2週間目っていうのは、先ほど話がありました関連死を含めて、大変重要な時期です。なぜかといいますと、いままで普通に生活してた方が、こういった避難所生活をする。ということは、先ほど説明がありました、普通の生活で動かなくなる。動かなくなるということは、食べる能力すら落ちる。そして、脱水も起きる。低栄養になるということで、いま支援しないとこれからそういった関連死も増えるわけですから、これはわれわれが防げる話だろうなと思ってます。
山田 いま重要な時期とおっしゃいましたが、ちょっとこちらをご覧ください。こちら、東日本大震災で発生した宮城県内の震災関連誌を時期別に表したものです。地震発生後1週間から1か月が最も多いことが分かります。上から2番目ですね。
久保 本当ですね。
山田 長期化する避難生活の疲れから、体調が悪化しやすく、最悪の場合死に至ってしまう危険な時期といえます。
久保 まさ、いまが大切な時期で、この時期にどういうケアが求められるんでしょうか。
新田 いろいろありますが、いわば重度な高齢者、いわゆる要介護状態。その方たちにとって必要なことは、いまのような口腔ケア、食べることを維持するということでございます。一般の元気な高齢者には、普通の生活、例えば、歩くとか、ちょっとしたトイレも自分でみずから行くとか、普通の生活をしていただくということですね。ただ、いまのような当たり前のケア、いわゆる食べることを支援するには、食べるというのは口腔の中の清潔動作だけじゃなくて、機能も作ってあげるということですね。
山田 はい。
新田 いままで忘れられてきたことなんですね。私たちは身体の、いわゆる筋力とか、そういうことだけを注視してきましたけれども、これは重要な視点で、いま言った、私はきちっと全体の場所にやっていただきたいなと思っています。
山田 食べるっていうのは、もちろん機能の維持にも大事ですけれども、“おいしい”、生きる意欲にもつながってくると思うんですよね。
新田 そのとおりですね。被災者というのは受け身になるんですね。受け身になることで、さらに精神的ショックもありますから、そこで食べる意欲もなくなると。そのために、人が入り、そして、ケアをし、そして、食べる楽しさを味わいというような、環境作りも必要ですね。
久保 そうですね。今回私も口腔ケアが本当に高齢者にとって大事なんだっていうことを、改めて知ったんですけれども、やっぱり、そうじゃないと病気を誘発するっていうことを、先ほど何度も。
新田 そうですね。これはここ数年、日本で本当に進歩してきたんですが、“口腔ケアをすることによって、肺炎を防止する”という、先ほど話がありましたけど、これはきちっと証明されている話です。ただ肺炎を防止するだけじゃなくて、私たちは口の中を、入れ歯もきれいにして、会話がまたできますよね。機能も保つということで、機能を保って会話ができて、食べることの意欲を増すという、そんなことだと思います。

 

山田 長期化する避難生活についてですが、さまざまな声が届いています。
久保 はい。1部ご紹介をさせていただきます。

 

minorinさん 熊本県 60
65歳の男性です。脳出血による身体障害者で要介護3。アパートに独居住まいです。まいちばん困っているのは、介護施設に入所できないことです。どこの施設からも断られて、しかたなくアパートにとどまっています。いつ大きな地震が来るか心配でなりません。1階に住んでいますが、倒壊があれば怖いです

めがねのえっちゃんさん 群馬県 50
熊本市に住む友人夫婦は、81歳の母とともに自宅で認知症の父の介護をしています。避難所に行くことができず、自宅で生活しています。外壁のひび割れは余震のたび大きくなっているとのことです。両親を預かっている施設を探したいのですが、方法が分かりません。夫婦2人とも疲れ切っています。助けてあげたいです。

西原村社会福祉協議会「のぎく荘」 
現在50人の方が避難しています。要支援者25人とその家族です。断水が続いていてお風呂に入れません。介助付きで入浴できる体制を作ってほしいです。ボランティアがまだ不足しています。話をするなど、心の交流をしてくれる人も必要です。

  

久保 とそれぞれの声が届いています。
山田 そうですね。待ったなしの状況で、何とか支援の手が届かないかという思いを強くします。

 

さて、先週放送した番組では、1度は避難所に身を寄せたものの、被災した建物に戻ってきた高齢者施設の皆さんをご紹介しました。その後、別の施設や地域へ移ったらどうかという勧めもあったんですが、いまも危険という紙が貼られた建物で避難生活を続けています。こちらをご覧ください。

 

 

【VTR
益城町にある有料老人ホームです。すぐに倒壊する恐れはないものの、周辺の地盤などに問題があるとして立ち入らないよう、町から勧告を受けています。
ここで避難生活を続けているお年寄りは9人。スタッフが調達してきた支援物資で、3度の食事をつないでいます。

最初の地震から5日目。施設の窮状を耳にして、厚生労働省の職員が訪ねてきました。
安全を確保するため、福岡県内の施設にお年寄りたちを避難させたらどうかというのです。

 

厚生労働省の職員 行くという話になったら、至急輸送の手配をしますので。
奥村 ご家族とお話をさせていただいて、各個人の。ご家族がもしかすると、家に、だったら。
厚生労働省の職員 引き取るって?
奥村 っていう方もいらっしゃるかもしれないので。
厚生労働省の職員 そうすると、9人全員じゃなくて

 

すぐに返事をしなかった代表の奥村さん。ためらう理由がありました。
実は、奥村さんたちは避難所に身を寄せたこともありました。しかし、ホームに帰りたいと大声を出したり、うつの症状を悪化させたり。お年寄りたちは次第にしょうすいしていきました。やむをえず戻ってきた施設。すると、お年寄りの表情に変化が現れました。

奥村 避難所とかにいるよりも、ものすごい表情がいいですね。やっぱりその顔は、戻ってきてよかったなと思います。やっぱり、危険だなってちょっと思ったんですけれども、皆さんが安どの表情というか、笑顔を見せてくれるようになったのでよかったと思います。



100キロ近く離れた福岡に避難をすれば、再び大きな環境の変化にさらしてしまうことになります。

 

奥村 難しいですね、やっぱり。一時避難とはいえ、いつ戻れるか、先の見えないところへ、土地へ行くので。
奥村 別々になっちゃう。なっちゃったらやだな。
利用者 やだなぁ。
奥村 やだねぇ。バイバイする?
利用者 いやよ。
奥村 やだよね。
利用者 ここにおる。
奥村 ねえ。大丈夫よ。

 

とはいえ、いつまでもいまの暮らしを続けていくことはできません。

 

奥村 ありがとうございました。
男性 ありがとうございました。
奥村 落ち着いたら必ずお礼にお伺いします。
男性 ありがとうございました。
奥村 ありがとうございました。

 

活発な地震活動が続く中、お年寄りたちに疲労も見え始めています。何が最善の選択なのか。奥村さんは考えあぐねています。

 

奥村 9人の皆さんを守る。また、スタッフも守っていかなくちゃいけないし、もし自分がどうにかなった時に、ここにいらっしゃる方たちは、となってしまうので、そういったことも考えなくちゃいけないなという時期に、もうそろそろそういう時期にですね

 

 

【スタジオ】

久保 難しいですね。決して安全とは言えない施設だけれども、「ここにおる」っという女性の言葉が胸に刺さりますよね。
山田 そうですよね。うん。難しいです。新田さん、どうご覧になりました?
新田 これは、個人の意思と意思決定を、いわば尊重するというのがありますね。一方では、その場を客観性に評価して、そして、安全と安心を得るという。これは主に行政が行うことですよね。
それはどの場合でも、二律、相反するんだけど、そのジレンマにあるんだけど、そこのところをきちっと解決策を作らなきゃいけない。そのためには、おそらく僕はよく言う、高齢者の3原則っていうのがあると思うんですが。

山田 3原則。
新田 1つはですね、いわば生活の継続性。なるべくその人が、その人らしい生活ができることをきちっと守るということですね。第2に、いま残された能力を維持するということですね。例えば、元気な高齢者が落ち込まないように。そして、ちょっと要介護になった人が、それをまた元気になる。あるいは、守るようにという、そういうことですね。生活をする中での能力を維持する。
第3に、何よりも大切なのは本人の意思決定、意思を大切にする。さらにいうと、意思決定を誰がきちっと判断するのかという、そんなようなことが求められる中で、おそらくこの方たちが移動することによって、いわば、例えば認知症の人が、新しい場所に行くとロケーションダメージを受けるという心的な障害を受けるということで、その方の身の安全と心の安全をきちっと守ってあげるという。
久保 両方。
新田 このことが、僕は原則だろうなというふうに思います。
山田 身の安全と心の安全。
久保 2つ、両方大事ですもんね。
山田 改めてなんですが、高齢者の命を守るために、被災地では何が今後課題となっていくと思われますか。
新田 私は、いま全国で作られている、作ろうとしている地域包括、難しい言葉でありますが、それはもう少し簡単に言うと、その町がつながりあって、それぞれが支えるという、そういうことだというふうに思います。
そうすると、こういう震災っていうのは、その町を1部壊すわけでございますよね。それで、その生活も壊すわけですね。そうすると、基本はその人たちが元の生活に戻る。何年後か、東北もそうですよね。なるべく早期に戻ることをきちっと守るための生活支援。生活のお互いの作り方ですね。そのことを基本としなければいけないんだろうというのが1つ。
もう1つは、基本は、その時に誰が維持するのかっていう、そこをきちっと、1人1人を大切にする生活のコーディネーターみたいな、マス、たくさんの人で見るんではなくて、1人1人を大切にするという、そういったものを作る必要があると思います。
久保 早急に必要ですね。
山田 そうですね。番組のホームページには、被災された方からの声や支援に関する情報も載っております。また、番組ではこのあとも、熊本県などの地震について引き続き取材していきます。きょうはどうもありがとうございました。
久保 ありがとうございました。


▼関連番組
 『ハートネットTV』
 2016年4月18日放送「熊本地震(1) 障害者・高齢者は今」
 2016年4月19日放送「熊本地震(2) どう支える被災地の要支援者」
 2016年4月27日放送「熊本地震(3) どう支える 被災した障害者」
 2016年4月28日放送「熊本地震(4) どう支える 被災した高齢者」
 2016年5月31日放送「熊本地震(5) 取り残される障害者」
 2016年6月  1日放送「熊本地震(6) 福祉避難所は今」
 2016年7月13日放送「熊本地震(7) 赤ちゃんの“命の砦” NICUからの報告」
 2016年7月14日放送「熊本地震(8) 病院を出された700人-被災した精神科の患者たちは今」

▼災害時のお役立ち情報
 
相談窓口、障害者・支援者向けマニュアルなど、いざというときのための情報、をこちらにまとめています。
 ⇒ 災害・誰も取り残さない

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