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【熊本地震】緊急報告・熊本地震(1) 障害者・高齢者は今

2016年04月19日(火)

2016年4月18日『ハートネットTV』 緊急報告・熊本地震(1) 障害者・高齢者は今

震源に近い益城町周辺では、建物の倒壊などにより死傷者が出ています。さらなる余震による被害も想定される中、障害のある人や高齢の人など、生活する上で支援が必要な人たちの状況はどうなっているのでしょうか。安全の確保や避難環境の整備のため、今何が求められているのか。現地取材をもとに、生放送で最新の情報 を2日にわたってお伝えしました



2016年4月18日『ハートネットTV』
 
緊急報告・熊本地震(1) 障害者・高齢者は今

出演 久保純子さん(フリーアナウンサー)/立木茂雄さん(同志社大学教授)/今村登さん(自立生活センターSTEP江戸川)/山田賢治キャスター



【VTR】

16日未明に発生した、マグニチュード7.3 の大地震。余震が続く中で、震源近くの町は壊滅的な被害を受けました。
避難生活を強いられている人は、NHK の調べでおよそ9万5000人。その中で、とりわけ苦しい立場に置かれている人たちがいます。

ディレクター きのうはじゃあ、もうずっとお座りになって過ごしたっていう。
男性 はい。


半身まひの男性。横になるとトイレに立つことが難しいため、一晩座って過ごしました。

男性 ほとんど寝てないですね、だから。
ディレクター 床には寝られないんですか?
男性 きょうは寝てみようと思います。やっぱ横にならんと。

こちらは、気管切開をしている 60代の男性。

男性 チューブが中に入ってるでしょ?
ディレクター はい。
男性 こすれて。出血するんです。

ガーゼを新しいものに変えられず、衛生面の不安が募ってきています。
いま、被災地の障害者や高齢者に何が起きているのか。現地からの緊急報告です。

 

【スタジオ】

山田 障害者や高齢者の皆さんが厳しい状況に置かれています。熊本県などで、いまも続いている地震。今日と明日は支援が必要な方たちの声を、手話や字幕、それに、解説放送を交えて生放送でお伝えしていきます。
久保 番組では可能なかぎり週末からきょうにかけて、障害者の団体や、そして、高齢者の団体や施設などに連絡を取っています。そして、皆さんがいま困っていることは何か、聞きました。その結果、たくさんの切実な声が届いています。


「避難所生活がもう限界!」 熊本県発達障害当事者会Little bit
発達障害の人たちの避難所での生活が限界にきている。音やにおいに敏感なため、集団生活がつらい人が多い。症状を理解してもらえず、周囲のトラブルが多発。必要な支援をうまく伝えられず、「大丈夫」と言ってしまう
 

「介助経験のあるボランティア緊急募集中!」 NPOヒューマンネットワーク熊本
熊本市内にある熊本学園大学には、ホールに障害者・高齢者、40名ほどが避難中だということです。介助経験のあるボランティアを切実に求めています。ヒューマンネットワーク熊本にご連絡を

「認知症の人たちの厳しい非難状況」 認知症の人と家族の会 熊本支部
認知症の人たちは避難所にはいられない。軽度だと周りに白い目で見られる。重度だと行けない。そして、デイサービスは職員不足で受入困難。ふだんと慣れない場所は嫌がって車中泊も難しい

「特別養護老人ホーム 孤立の危機」蘇望苑 熊本県山都町
熊本県と宮崎県の県境にある入所者 50名の特別養護老人ホームが孤立しそう。職員は食材やおむつなど、物資の調達に駆け回り、入所者のケアに手が回らないという、本当に皆さんがまさにいま抱えている
 



山田 番組では、ツイッターで皆さんからの声や情報を募集します。「#ハートネット熊本地震」をつけてお送りください。また、阪神淡路大震災や東日本大震災を経験した当事者や支援者の皆さん、助言などありましたらぜひ教えてください。お待ちしております。
久保 お待ちしています。
山田 熊本県ではきょう午後1時半の時点で、632か所の避難所でおよそ9万4000人が避難しています。また、大分県でも午後5時の時点で、5つの市で 556人が避難しています。その中には、障害のある方たちも多く含まれています。まずはその現状からご覧ください。

【VTR】

避難所となっている益城町西部の小学校。1回目の大きな地震のあとから、ここに身を寄せる親子がいます。真田瞳さんと、母・裕美子さん。

ディレクター 娘さんはどういった障害があるんですか?
母・裕美子 知的障害ですね。2歳と4か月、3か月かな? 知能指数が。人のものでも何でも、飲み物があったら持ってきて飲もうとするし…。 
ディレクター そういうこともあるんですか。
母・裕美子 てんかんもあるんです。
ディレクター てんかんもあるんですか。
母・裕美子 てんかんの発作が起きない発作止めと精神安定剤を飲ませてる。


瞳さんからは、片時も目を離すことができません。母の裕美子さんは、炊き出しの列に並ぶことも難しい状況です。


母・裕美子 ここに来てからいちばん困るのが、食べ物とおトイレですね。
ディレクター 食べ物とトイレ。
母・裕美子 おにぎりは並べばいただけるんですけど、並ぶことが。2時間、3時間並ばなきゃいけない。
ディレクター うん。
母・裕美子 自衛隊の方が。1時間なら並べるけど、1人置いとると。みんなに頼まなきゃいけないし。
ディレクター 並んでる間に。
母・裕美子 そうそうそう。何かあった時がいかんけん、そうするとお願いできなくて。だけん、食べれなかったですね。
ディレクター 並べなかったってことですね。


避難所に身を寄せながらも再び自宅に戻ってしまう人もいます。下半身に障害のある松本隆さん。大勢の人が殺到していた避難所では、居場所がなかったと言います。

ディレクター 避難所で過ごそうということでは?
松本 全然苦手ですね、どっちかっていうと。
松本 (避難所に)行っても迷惑というか、車いすでどうしようかって、いらんことばっか考えてですね。家におったほうがいいやって感じでですね。


自宅に戻ったものの、ガラスが散乱。安心して過ごせる場所ではありません。


ディレクター 
今晩はどうされるんですか? 今日は?
松本 今日は、どうしましょう。こんな感じだから。一応寝ます。
ディレクター ここで?
松本 うん。


結局この日は、押し入れの中で過ごすことになりました。
しかし、この夜。これまでで最も大きいマグニチュード7.3 の大地震が発生。急いで松本さんの元へ駆けつけました。

ディレクター こんばんは。松本さん、ご無事ですか?


しかし、そこには松本さんの姿はありませんでした。


【スタジオ】

山田 その後、松本さんと連絡がついて、自力で脱出していたことが分かりました。 
久保 本当に、命の問題ですものね。
山田 そうですね。
久保 心配ですよね。
山田 では、どうしたらいいのか。ここからは障害者・高齢者の防災に詳しいおふたりと考えていきます。
まずは、今村登さん。避難所になかなか居づらいという声がありました。どうご覧になりましたか。
今村 いま VTR を拝見しまして、松本さんですか。車いすの男性が、やはり避難所には行きづらい、遠慮してしまうという発言がありましたが、私も実際に被災して避難所に行った経験はないんですけど、やはり想像するに、そういうふうに遠慮してしまう気持ちは容易に想像ができます。と言いますのは、だいたい避難所というのは地元の小中学校がなってると思うんですけども、まず、車いすの場合、そこの避難所、特に体育館とかが、バリアフリー度がどうであるのかっていう。
久保 そうですね。
今村 私の場合、電動車いすですから、私の体重含めて約200キロ以上ありますから、そこを、1段、2段とはいえ、担いでもらうというのは非常に頼むのも気が引けます。1回だけで済む話ではないので。また、トイレがどうなのかと、そういった環境のことを考えてしまうと、家がよほど潰れていないかぎり、自宅にいたほうがいいかなと思う気持ちは重々分かります。
山田 周りに言いにくいというのは、どういう気持ちからくるんですか?
今村 やはり、その都度手を貸してくださいという声をかけるというのは、そういったことがふだん慣れてなかったりとか、そういうつながりがないとなかなか言いづらいと思います。また初めての人にそれを頼むというのは、なかなか勇気がいることだと思います。
山田 そして、もうひと方、立木茂雄さんです。これまで、東日本大震災、阪神淡路大震災など、大きな震災について調査されていらっしゃいますが、この状況についてどう感じますか。
立木 これは決して特殊な事例ではなくて、いま被災地の中で多くの事例、こんなことが起こってるんだろうというふうに思います。
山田 はい。
立木 確かに混乱していますけれども、被災された多くの方々、みんなが要援護者になったんだという思いを、皆さんが共通してお持ちだと思うんですね。ところが、そういった中で、先ほどご覧いただいたような真田さんの親子、あるいは車いすの方というのは、ふだん地域の生活の中で、さまざまなサービスや福祉の利用をして、それでやっと在宅でお暮らしになっていらっしゃる。それが、災害によって、ふだん使ってきたサービスが使えなくなる状況に、環境が激変してしまっているわけですよね。
そういう中で、じゃあどうしたらいいのか。いままでと違う環境をもう1度作り直していかなきゃいけない。そのためには、周りの方々に頼める、お願いできる、迷惑をかけると思わずに、いまの環境をなるだけ生きられる環境にしていくために、動いていく必要があるんだと思います。
久保 具体的には、どういった行動を起こせばいいんでしょうか。
立木 例えば、お嬢さんの場合、状況がよく分からないで混乱をしている中、みんなに、体が動いちゃうとか、皆さんにとって周りから説明がないと理解ができないような振る舞いをする。そういったタイプの娘なんだということを知っていただくような努力を、お母様のほうからひと言なさる。
あるいは、周りの方々も、そういった人も一緒に避難所の中で避難してるんだ、そういったことを理解をしていく。あるいは、避難所の中でいろんな人たちが避難しているんだ。さまざまな配慮が必要な人たちがいるんだ、いるかもしれないと、それを探っていく努力が、いま必要だと思います。


山田
 では、いまお話にもありました、映像にも出ていました親子の真田裕美子さん、お母さんと電話がつながっています。真田さん、こんばんは。
母・裕美子 こんばんは。
久保 こんばんは。
山田 大変な中、夜分申し訳ありません。よろしくお願いいたします。
久保 申し訳ありません。
母・裕美子 こちらこそ、よろしくお願いいたします。
山田 取材させていただいたのが昨日でした。今日までに何か変化というのはありましたでしょうか。
母・裕美子 きのうまでは、体育館の中でずっと閉じこもっていたんで、子ども本人もパニック状態で、排尿とか排便が出なくて、できなくて。
久保 つらいですね。
母・裕美子 ちょっと状態も悪かったんですけど、きょう利用している施設のほうから声がかかりまして、何人か利用できるっていうことを、声をいただいて、今日、施設に行きました。そして、お風呂に入って、訓練を受けて、お昼寝して、ごはん食べて、十分に満腹したみたいで、爆睡、本当爆睡だったということで。
久保 よかった。
母・裕美子 はい。
山田 そうですか。
母・裕美子 帰ってきてから笑顔がすごくよかったんですが、体育館に入ろうとしたら、またここに入らなきゃいけないのかっていう感じで、本人も足が進まなかったんですよね。
久保 お母様は食事をとったりですとか、ちょっと休んだりっていうことはできていますか?
母・裕美子 できないです。のどを通らないですね。
山田 喘息もあるというふうにお聞きしました。お母さんも心配ですけれども、今、いちばん避難所で、困っていることは何でしょうか。
母・裕美子 いっぱいあるんですけど、1つ本当に挙げるとしたら、こういう子どもたちは、結構明るいところがダメっていうんですかね。
山田 はい。
母・裕美子 こういう、人がいっぱいいるところがダメなんですよね。孤独に入ってしまうんで。この子たち。自閉症もあるもんですから。
久保 ええ。
母・裕美子 だけど、夜の部屋の明かりが明るすぎて、夜も昼も24時間ついてますので、夜、寝る時に電気を消してといって、ワーワー言うんですね。
山田 はい。
母・裕美子 だから、昨日は、これはいかん、いかんと思って。周りの人もみんな心配して下さるけど、この子の病気だけに、私はすぐ分かったから、外に連れて、夜中にずっと外の運動場なんかを連れて回りました。
山田 そうだったんですか。
母・裕美子 そしたら、少し落ち着いて、はい。
山田 そうですか。少しでも落ち着くような環境を整えてほしいなと、本当に思いますね。
久保 そうですね。
母・裕美子 そうなんです。はい。
山田 真田さん、どうもありがとうございました。
久保 どうぞお体にお気をつけて。失礼いたします。
母・裕美子 いえいえ、はい、ありがとうございます。
山田 寒くなるというニュースもありましたので、どうぞ暖かくお過ごしください。
母・裕美子 はい、ありがとうございます。
山田 ありがとうございました。


山田 このようにですね、こんなことをしてほしい、または、こんな支援が欲しいですというような情報もたくさん寄せられています。
久保 はい。ご紹介します。

 

「難病の人に必要な支援」日本難病・疾病団体協議会
希少疾患の場合、医療チームも薬を持っていない可能性が高い。しかし、本人は我慢してしまいがち。支援に関わる人は、「薬で困っている人は遠慮せず申し出て」と声がけを 


「聴覚障害者向けの情報提供を」熊本県ろう者福祉協会
避難所で耳が聞こえなくても分かるように、文字による掲示をしてほしい。中には文字が読めない人もいるため、絵や地図も入れてほしい

「被災した視覚障害者の方へ」 熊本県視覚障害者福祉協会
お困りのことがありましたら、お電話ください。
熊本県視覚障害者福祉協会 電話:096-383-6833

被災したてんかんの人たちへ」 日本てんかん協会「波の会」
急に服薬をやめると重い症状が出ることがあり危険。薬の入手は何科でもよいので、近くの医療機関に相談をしてください。
てんかんホットライン:054-246-4618 (24時間)

山田 きょうは生放送です。ツイッターで皆さんからの声が届いています。ご紹介しましょう。「腎臓病や糖尿病など、食事制限がある方への相談窓口が欲しい」という声もあります。
久保 うん。そうですね。
山田 そして、「健常者・障害者問わず、プライバシー確保のため、避難所内に堂々とテントでも張れるとよいが」という、切実な声が届いています。
久保 うん。
山田 私たちは、さらに避難所を取材していまして、過酷な状況にある高齢者たちに出会いました。

 

【VTR】 
避難所の1つ、益城保健福祉センターです。建物の外で、疲れ切った様子のグループがいました。


ディレクター すいません。ちょっとお伺いしてよろしいですか?
どちらからいらっしゃったんですか。
奥村 安永の施設です。有料老人ホームです。壊れて、廊下とかもひびが入っちゃったりして、棚とかも全部転倒して危ない状態だったので。

介護が必要なお年寄りたち。建物の中ではなく、一晩を屋外で過ごしました。

保健師 (避難所の)中にスペースがなかったかですか。
奥村 そうですね。おむつ(替え)もあったりするので…
奥村 やっぱりおむつなんかは、介助者がいてできることなので、2人でできる個室ですね。プライバシーを守れるところが必要かなとは思います。


しかしこの日、雨の予報が出ていました。

 

奥村 今晩をどう切り抜けるかですよね、本当に。
ディレクター 雨。
奥村 雨です。雨がしのげれば。


翌日再び避難所に行くと、お年寄りたちの姿はありません。お年寄りたちはどこに行ったのか。老人ホームを訪ねてみると。

ディレクター こんにちは。
男性 こんにちは。
ディレクター どうも。こちらにいらっしゃったんですね。 


危険な状態にある建物の入り口に、お年寄りたちが寝ていました。

奥村 結局、排泄の処理だったりはどうしても人目についちゃったりするし、ちょっと危険もあるんですけれども。いまこの現状で、そういった介助がしやすい場所と、雨だったり風だったりをしのげる場所として、いったんこっちに戻ってきたような状態ですね。
女性 あー、痛か、痛か。
 

行き場をなくした高齢者と施設のスタッフ。疲れはピークに達しています。


【VTR】  

久保 本当に、こんな状況で。
山田 うん。
久保 危険がもう隣り合わせで、しかも、今夜から冷え込むっていうような予想が出ている中で玄関で寝ているっていうのは、本当に心配ですね。
山田 建物が倒れる危険性もあるという中で、本当に心配です。取材している平田知弘ディレクターと電話でつながっています。平田さん。
平田 はい、平田です。
山田 その後、状況は何か変化はありましたでしょうか。
平田 今日ですね、またホームに訪れてみました。そうすると、そのホームの建物に、「この建物に立ち入ることは危険です」という貼り紙が貼られていたんですね。これは何かというと、町の災害対策本部が建物の危険度判定を行った結果だったんです。そういう状況なんですが、それでも変わらず玄関に布団を敷いて、皆さん寝ていらっしゃったという状況でした。
久保 まだ余震は続いているんですよね。
山田 そうですね。その中で、なぜこのような状態になっているんでしょうか。
平田 代表の奥村さんが、避難所にいられない理由としておっしゃっていたことですが、まずスペースがありません。スペースがないことです。お年寄りがつまずいて転倒する危険性を、大変心配していらっしゃいました。本当に避難所はすし詰めのような状態のところもあって、足の踏み場もないというような状況のところもあるんです。
さらに、入居者の中には排泄の介助が必要な方もいらっしゃいます。そのような方が、混み合った避難所の中でそういった介助をしていくと、便のにおいが立ちこめてしまうと。そういうことが周囲の方に迷惑をかける、嫌がられてしまうんじゃないかということも、気にしていらっしゃいました。さらに、肺炎など感染症の心配などもあって、やむなく建物の外で過ごしておられたと。
こちらは、今もそうなんですけど、昼は暖かいんですけども、朝晩は大変冷え込むような状況でして、今後がとても心配です。
山田 健康状態が本当に心配になりますけれども。
久保 寒暖の差が激しいですものね。
山田 今後の見通しというのはあるんでしょうか。
平田 代表の奥村さんは、受け入れ先の入所施設を、県に問い合わせるなどして探していらっしゃいます。ただ、入居者の9人の方、皆さんが一緒に入られる所となると、近くではなかなか見つからないんですね。今では、車で1時間近くかかる所にも電話をかけて探していらっしゃるんですけれども、まだ見つかっていないということで、全く見通しというものは立っていない状態です。
山田 分かりました。平田ディレクターでした。

立木
 いまの施設ですけれども、場所が見つからない。なぜか。近くの施設にこだわっていらっしゃるからです。県内で考えたら、たくさんの旅館業協会の方々が個室を提供する、それから、サポートする人たちもいます。足があるんでしたら、広域に避難場所を考える。ともかく今、100時間までは命を守ることが先決です。そのために、緊急避難としてもう少し広いところで避難場所を考えるということを、ぜひしていただきたいと思います。
山田 今村さんはどういうふうにご覧になりましたか。
今村 3.11 を受けてですね、私たちも広域避難ということを、実際にいわきのセンター、私たちの仲間たちを東京で受け入れたということをやったんですが、そういったことをシステム化、ちゃんと制度として成り立たせようということを、いま検討を始めたんですが、改めてその必要性を感じています。
いま立木先生が言われましたけども、県内でも、熊本県の中でも旅館業界とか受け入れを提携しているらしいので、ぜひ施設にこだわらず問い合わせをされるといいと思います。
山田 立木さん、本来は配慮が避難所にあるべきだと思うんですが、そのへんいかかでしょう。
立木 この4月1日から、障害者差別解消法、これは障害者の権利条約と関係して、平時だろうが、災害時だろうが、合理的な配慮を提供するということが、行政については義務になったんですね。それから、事業者についても努力義務になりました。
どんなことか。暗闇が必要な人にはそれを提供すること。車いすのスペースを提供すること。個室が必要な人にはそれを提供すること。情報が必要な人には情報保障すること。これが私たちの社会では、法律によって施行がされた全く新しいフェーズにいま入っているわけです。それができるかどうかが、いま問われているんですね。
この情報をぜひ自治体の方々、事業者の方に知っていただいて、いまの 100時間の間ですと、また新しい社会を作ることができます。何とか当事者の方に合理的な配慮を提供することが、行政にとっての義務になったんだ。当事者は何とか、遠慮なさらずに、それが必要だと声を上げていただきたいと思います。
久保 例えば、先ほどの真田さんでしたが、光を苦手としている。
立木 例えば、テントの中ですとか、パーティションの陰になるとか、あるいは個室、別のお部屋とか、何らかの配慮、それが合理的な配慮なんですね。それをお願いしてかまわないんです。それに対して、行政は応える責務が4月1日から生まれています。
山田 今村さん、歩み寄りですよね。
今村 そうですね。私も遠慮するってことを言ってしまいましたけども、やはり「助けて」「手を貸してほしい」というひと言で、周りが変わる。いま、お互い様だと思いますので、そこで変わっていくと思います。
 

山田 ツイッターでも声が届いています。ご紹介しましょう。「熊本県精神科救急情報センターでは、休日と夜間に精神疾患のある方の救急医療相談に応じています」という情報です。もう1つ、「岩手在住の僕は何ができるのかと考えながら番組を見ています」という、被災された方だからこそ、何かしたいという気持ち。
久保 思いが伝わってきますよね。
山田 そうですね。たくさん届いています。

山田
 ハートネット独自の調査の情報は、番組のホームページでご覧いただけます。
また、ツイッター「#ハートネット熊本地震」でも、引き続き皆さんの声をお持ちしています。また、ホームページのカキコミ板でも、皆さんからの意見・感想など、お待ちしています。あすも被災地の障害者・高齢者支援の状況、生放送でお伝えします。みんなで考えていきましょう。ありがとうございました。
久保 ありがとうございます。

 


▼関連番組
 『ハートネットTV』
 2016年4月18日放送「熊本地震(1) 障害者・高齢者は今」
 2016年4月19日放送「熊本地震(2) どう支える被災地の要支援者」
 2016年4月27日放送「熊本地震(3) どう支える 被災した障害者」
 2016年4月28日放送「熊本地震(4) どう支える 被災した高齢者」
 2016年5月31日放送「熊本地震(5) 取り残される障害者」
 2016年6月  1日放送「熊本地震(6) 福祉避難所は今」
 2016年7月13日放送「熊本地震(7) 赤ちゃんの“命の砦” NICUからの報告」
 2016年7月14日放送「熊本地震(8) 病院を出された700人-被災した精神科の患者たちは今」

▼災害時のお役立ち情報
 
相談窓口、障害者・支援者向けマニュアルなど、いざというときのための情報、をこちらにまとめています。
 ⇒ 災害・誰も取り残さない

コメント

この度の地震で被災された障害者の皆様、心よりお見舞い申し上げます。私も精神障害者(双極性障害)で複数の疾患も抱えていて服薬が欠かせません。特殊な薬も飲んでおり、もし我が身に同じことが起こればと思うと不安になります。普通の避難所では過呼吸発作を起こしますし、膝も悪いので和式のトイレは使えません。母も要介護2で身体障害者でもあります。車椅子を必用としますので段差のあるところには行けません。また、肺疾患もありますので毎日吸入しないと痰が排出できなくなり肺炎になるリスクがあります。私が住んあでいる地域にも活断層がたくさんあります。とてもひと事とは思えません。それらを考えるとどうしていいのかわからないのが正直なところです。まだ余震が続いていて疲労もピークに達していることと存じますが、諦めず、少しでも体力を温存して酷なようですが耐えて頂きたいと思います。辛い時は遠慮せずに言葉に出して訴えて下さい。こういう時こそお互い様で助け合いが必要なのではないでしょうか。早く余震が収まることをお祈りすると共に皆様の障害や病状が悪化しないことを切に願います。

投稿:ゆき 2016年04月22日(金曜日) 01時45分

お見舞い申し上げます。本当に大変な事になりました。我が家も難病患者がおります。他人事ではありません。薬を飲むための水やトイレ、何処で遭うや知れずで不安や恐れに襲われます。毎日もやっとなのでこの事態に圧倒されています。ただ、祈る事しか出来ません。

投稿:タマ 2016年04月20日(水曜日) 06時28分