【出演者インタビュー】硯川潤さん「様々な立場の関係者が、対話を絶やさずに進んでいくことが大切」
2016年02月26日(金)
- 投稿者:番組ディレクター
- カテゴリ:災害・誰も取り残さない
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3月5日(土)午後10時 放送 Eテレ
ハートネットTV+
誰も取り残さない防災
にご出演された硯川潤さんにメッセージをいただきました。
《硯川潤(すずりかわ・じゅん)さん プロフィール》
国立障害者リハビリテーションセンター研究所
福祉機器開発室 室長
――本日の収録を終えて、どのようなことを感じましたか?
障害者の災害対策が、まだまだ問題山積みであることを改めて実感しました。個別避難計画の作成などは、確実な避難を実現する上で重要な意味を持つことはわかりますが、現状では作成のための地域のリソース(主に人手)が決定的に足りないように思います。そんな中、VTRで大分の村野さんの取り組みを拝見できたのは、明るい知らせでした。彼女のような地域での防災の取り組みにおけるキーパーソンをいかに育成していくかということが、今後の課題だと思います。収録でも触れましたが、彼女は私の研究室で開発した「障害者の災害対策チェックキット※ (外部リンク・NHKを離れます)」を使ったワークショップに一度参加され、生活状況の把握から必要な備えのリストアップに進むプロセスに共感して下さいました。立木先生が強調されていたように、障害者の防災を考える入口は、通り一遍の障害分類などではなく、その人個人の体や生活の実際の状況であるべきだと思います。難しい作業ではありますが、村野さんがチェックキットを活用して首藤さんの生活を細かく把握されている様子を見て、私の研究も少しはお役に立てたかなと、うれしくなりました。
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――改めて、「2倍の死亡率」を繰り返さないために、どのようなことが大切と思いましたか?
この問題が、解決には程遠い状況であるということを社会全体が認め、危機感を共有することが重要だと思います。個人が担うこと、地域社会が担うこと、自治体や国が担うこと、と様々な段階での課題がありますが、それぞれを切り離して考えることは解決策の形骸化につながります。様々な立場の関係者が、対話を絶やさずに進んでいくことが大切だと思います。私の専門は、新しい福祉機器を上手く設計するための方法論をつくることですが、エンジニアとユーザである障害当事者の対話をとても重視しています。直に顔を合わせて話していれば、相手の必要としていることや求めていることがとても自然な形で伝わり、開発の失敗を防ぐことができるのです。防災についても、全く同じことが言えるのではないでしょうか。お互いの不備を責めるのではなく、どうすれば互いの役割をカバーし合えるのかを考えれば、より建設的な対策につながると思います。
※障害者の災害対策チェックキット(国立障害者リハビリテーションセンター研究所福祉機器開発室) (外部リンク・NHKを離れます)
障害のある方が自身の防災の備えを把握するため、その人が活用している支援機器や介助者など、日常生活に欠くことのできない要素を漏れなく洗い出すことを支援するチェックキット。
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