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【出演者インタビュー】荻上チキさん「不登校の子たちの多様なニーズをちゃんと汲み取ることが重要」

2016年02月15日(月)

21060128_ogiue.jpg1月28日放送(2月4日再放送)

WEB連動企画“チエノバ”

シリーズ「不登校」

第1回「子どもの声に向き合う」

ご出演の荻上チキさんにメッセージをいただきました。

 

《荻上チキさん プロフィール》

1981年生まれ。評論家。ニュースサイト「シノドス」編集長。メディア論をはじめ、政治経済や福祉、社会問題から文化現象まで幅広く取材し分析。著書に『ウェブ炎上』『ネットいじめ』『僕らはいつまで「ダメ出し社会」を続けるのか』など。


――番組ではWEBを介して、実際に不登校で悩む子どもや体験者から声を集め、今、何に悩んでいるのか、どんな状況が子どもたちを不登校に追い込むのかについて考えました。さまざまな書き込みや当事者のお話をご覧になって、荻上さんはどのようなことを考えましたか。

 

不登校の状態と一言で言っても、きっかけも違えば、不登校に対する思い入れもひとり一人違います。ですから、登校支援が大事なんだという考え方だけでも間違いだし、不登校を楽しめばいいじゃないか、逃げてもいいんだよというように、その状態を肯定するだけでもダメなんですね。子どもによっては、学校に行きたいので教室をなんとかしてくれという人もいるし、行きたくないから教室以外の場所での教育を認めてくれという人もいるので、多様なニーズをちゃんと汲み取っていくことが重要だと改めて思いました。


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命に線引きする時代を考える 前編

2016年02月09日(火)

WebライターのKです。

救命・延命しても人間らしい生活の質を確保できないとして、医療サイドが一方的に治療中止を決める「無益な治療」論。いつどのように死ぬかは自分で決める権利があり、医師に毒物を処方してもらうことも人権擁護だとする「死ぬ権利」議論。欧米先進国でさかんに論じられているそれらの議論に対し、フリーライターの児玉真美さんは拭いがたい違和感を覚えると言います。「人権を重んじる考え方を装いながら、実は、“治療に値する命”と“治療に値しない命”に線引きし、切り捨てる議論なのではないか」と疑問を呈します。


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児玉真美さん。立命館大学びわこ・くさつキャンパスの講演会場で。

見えない困難を抱える人のための"お願いタグ"を開発

2016年01月19日(火)

WebライターのKです。

障害者や難病患者などの中には、一見しただけでは、当事者であることがわかりにくい人たちがいます。そういう人は見た目に症状は表れていなくても、活動に制約があるために、不愛想だとか、怠け者だとか、自分勝手だとか、さまざまな誤解を受けることがあります。

そんな見えない困難を抱えている人たちのために、ヘルプマークなどのタグをカバンやベルトなどにつけて、誤解を受けないようにする試みが全国に広がっています。そんな中、武蔵野美術大学4年生の菊池彩水(あやな)さんは、卒業制作として独自の表示タグを開発しました。


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菊池さんの開発した表示タグ。色はオレンジ・青・黄の3色。
ピクトグラム(絵文字)とメッセージで周囲に理解を求めます。

 

いじめを乗り越え、難病と闘い、自宅警備アイドルしてまっす! 後編

2016年01月15日(金)

WebライターのKです。

自宅で母親の介助を受けながらのベッド生活が始まりました。不安と孤独にさいなまれる日々でした。手の自由も利かなくなったので、もう自分の思いをノートに綴ることもできなくなりました。それまで書き溜めていたノートは家族に見られないように廃棄してしまいました。唯一心を癒してくれたのは、ミュージシャンたちがネットを通じて発信する動画やブログの書き込みを眺めることでした。

そんなお気に入りのミュージシャンの一人に悠々ホルンさんがいました。ホルンさんは家庭環境の影響で心を閉ざしていた少年時代の思いを歌にして発信し、心の居場所を求める全国の10代の少女などからひそかに支持されるアーティストでした。くれあさんは、過去のいじめや難病のことなどを包み隠さず明かすメールを送りました。そして、ホルンさんから「嫌いな自分を好きになること」の大切さを学んでいきました。 


20160118_001.JPG悠々ホルンさんは、若者たちの代弁者として、講演活動もしています。


いじめを乗り越え、難病と闘い、自宅警備アイドルしてまっす! 中編

2016年01月15日(金)

WebライターのKです。

いじめが残酷なのは、外から言葉や肉体の暴力を加えられるだけではなく、いじめの原因を本人のせいにされ、“自己嫌悪”の感情を根深く植えつけられてしまうことです。「自分に起きた出来事を思い出すと、心がざわつき、自分が嫌で嫌でたまらなくなる」。未来を夢見る成長期の子どもにとって、これほど辛いことはありません。いじめから遠ざかった後にも、ときには大人になるまで、いじめられた子どもはずっと“自己嫌悪”に苦しみ続けることになります。

くれあさんも同じでした。「私が何をしたっていうのよ!」と言い返す勇気は、当時はありませんでした。「みんなに嫌われないように“ふつう”にならないと。でも、“ふつう”って何?どうすれば“ふつう”になれるの?」と自問自答し続けていました。自分を見失い、取り乱し、空回りする様子は、いじめる側に優越感を与えることになり、くれあさんの心を踏みにじることまでが、いじめっ子たちの喜びになっていきました。


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いじめられていても、ペットだけは心を癒してくれました。

いじめを乗り越え、難病と闘い、自宅警備アイドルしてまっす! 前編

2016年01月15日(金)

WebライターのKです。

進行性の難病患者で、視覚に障害があり、歩くことはできず、発声するのも難しいのに、ネットを通じて音楽仲間と交流したり、ライブハウスに出演したりと精力的に活躍し、自らを“自宅警備アイドル”と称して、友達の輪を広げている櫻葉来空(くれあ)さん。自宅警備アイドルの話をゆっくり聞くには、自宅を訪れるしかないので、東京都江戸川区の自宅にお邪魔しました。


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おしゃれが自慢の自宅警備アイドル


アバターが通うバーチャルスクールの試み

2016年01月13日(水)

WebライターのKです。

ネット上の分身であるアバターが身代わりとなって学校に通うバーチャルスクール。そんなネットゲームのような感覚の新しいスタイルの通信制高校が誕生しました。千葉市の明聖高等学校は、通信制高校の新たなコースとして「サイバー学習国」というWebコースを新設し、今年度から生徒を募集しています。 



meisei_001_R.JPG教室では教師やクラスメートとチャットでやりとりします。


自宅で学習していても、定められた登校日に出席し、必要な単位を修得しさえすれば、卒業資格が得られる通信制高校は、集団生活を苦手とする不登校の児童生徒にとっての有力な進学先です。現在、全国の通信制高校の生徒の6割は不登校経験者です。通信制高校では、インターネット授業、CD収録授業、NHKテレビ・ラジオの高校生講座などが正規の授業として認められていて、多様な学習方法が採用されています。

美大生と障害者がアートで地域を変えていく 後編

2016年01月08日(金)

WebライターのKです。

 

小平市の障害者週間のイベントに関して、作業所の障害者の方にも話をうかがいました。
柳原昭三さんは、1954年生まれの61歳。1974年に東京都小平養護学校高等部を卒業してから、市内の作業所で働くようになりました。柳原さんは、知的な障害はありませんが、脳性まひのせいで手足が不自由で、言語障害もあります。周囲の人々とは、パソコン画面に示す文字や指の動きを文字として相手に読んでもらったりして、コミュニケーションを取っています。

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柳原昭三さん。絵画にはそのときの素直な気持ちを言葉で添えます。

 


柳原さんは、小平市の「障害者週間のつどい実行委員長」をこれまで12年間務めてきました。武蔵野美術大学がかかわる以前から、自分たちの存在をアピールするための場として、アート展を大切に考えてきました。会の運営も細かく見守っていて、今回も学生が制作したカタログの背表紙のタイトルの文字が、「異才たち」ではなく「異彩たち」になっていると、誤植に気づいたのは柳原さんでした。

その柳原さんは、今年の障害者週間のイベントには大満足していると言います。「学生が本当にいろいろなことをやってくれて、うれしかった。今年は外に向かってちゃんとアピールできた。スケジュール通りに計画を進めてくれたのもとてもよかった」と学生たちに感謝しています。

 

美大生と障害者がアートで地域を変えていく 前編

2016年01月04日(月)

WebライターのKです。

WebライターKの地元、東京都の西武線小平駅前。意味不明の「ケヤコレ」という大きな文字と派手な衣装をまとってポージングする障害者のおしゃれなポスターを見て、思わず足を止めました。すぐ隣には「異才たちのアート展2015」の文字が。障害者週間にちなんだイベント(12月1日~18日)に地元の武蔵野美術大学の学生たちが関わったのだとわかり、さっそく取材を申し込みました。

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西武線小平駅前のルネセブン商店街で偶然見かけたポスター

 

不登校の子どもをめぐる基礎情報 第6回「進学先としての通信制高校」

2015年12月11日(金)

WebライターのKです。

今回は、不登校を経験した中学生の進学先や高校で不登校を経験した子どもの再入学先として選択されることの多い、通信制高校についての基礎情報をお届けします。

 
 通信制高校

通信制高校は自宅学習と通学を組み合わせながら、レポート(小テスト)提出とスクーリング(面接指導・授業)や定期試験を受けて高校卒業資格を取る高校です。生徒の6割は不登校経験者です。その子どもたちは、フリースクールなどでなじんだ自由な学習スタイルを継続発展させるためや新たな生活をスタートさせるきっかけとして通信制高校に進学します。

公立が3割、私立が7割
通信制高校は全国で237校、内訳は公立が77校、私立が160校。生徒数は、公立約6万7千人、私立11万4千人、総計18万1千人が在籍しています。(2015年「学校基本調査」)。

全国規模の広域高校が増えています
公立の通信制高校は、各都道府県に1か所以上設けられていて、その都道府県内に暮らす子どもを入学対象としていますが、私立の通信制高校では、複数の県から生徒が入学することができます。3つ以上の都道府県から生徒が入学できる通信制高校を「広域制通信高校」と呼び、私立の通信制高校の半数以上を占めています。広域制の通信高校の多くは、各地に生徒が通学できるサテライト拠点を置いています。通信制高校では、インターネット授業、CD収録授業、NHKテレビ・ラジオの高校生講座などが正規授業として認められていて、それらのメディアも有効に活用されています。

不登校経験者に受け入れやすい学校制度
通信制高校が不登校経験者にとって、利用しやすい理由は大きくは3つ。ひとつは、週に何日登校するかを自分のペースで選ぶことができて、通学を強制されず、自宅で自由にしていられる時間が確保できること。もうひとつは「単位制」です。日本の学校は、大学以外は、「学年制」を取っていて、同じ年齢の子どもたちが、同じ学習内容を同じ学年で学び、履修がすむと全員で次の学年に進むやり方です。しかし、通信制高校は、大学のように、最終的に74単位を履修しさえするなら、3年間でどのような履修計画を立てても構いません。「クラスのペースに合わせなければ」というプレッシャーを感じることなく、学校生活を送りたい不登校経験者の子どもたちにとっては、受け入れやすいスタイルです。

3つめの理由は、不登校経験者がたくさんいるのでコンプレックスを感じなくてもすむことです。通信制高校に行って、中学校のときとは打って変わって、たくさんの友達を作り、学校生活をエンジョイする子どもたちもいます。